1998年のマルコ・パンターニ以降、あのクリス・フルームもアルベルト・コンタドールもなし得ることが出来なかったジロとツールのWツールが怪物ポガチャルによって成し遂げられようとしています。ジロとツールの間が短いことや気温差やコースレイアウトの違い等、様々な理由から近年は不可能とされてきたのですが、ポガチャルがそんな偉業をいともあっさりと成し遂げることになりそうです。
最終日の個人TTを前に非常に厳しいアルプスのステージだったにも関わらず、ポガチャルは余裕の連勝で終えることになりました。この日も逃げを容認しようと思っていたというポガチャルでしたが、クイックステップがエヴェネプールの総合2位狙いで積極的に前を牽いた結果、最後の1級クイヨール峠で逃げグループを捕まえてしまいました。
最終日の個人TTを前に非常に厳しいアルプスのステージだったにも関わらず、ポガチャルは余裕の連勝で終えることになりました。この日も逃げを容認しようと思っていたというポガチャルでしたが、クイックステップがエヴェネプールの総合2位狙いで積極的に前を牽いた結果、最後の1級クイヨール峠で逃げグループを捕まえてしまいました。
エヴェネプールのアタックは失敗しヴィンゲゴーにタイム差を付けられる結果になってしまいましたが、エヴェネプールの時代は必ず来るはずです。今年がツール初出場で、マイヨブランは確実にしているのですから。ただ、未だポガチャルとヴィンゲゴーの壁はかなり厚いのも事実で、この二人がいるレースでは3番手であることは明らかです。ただ、TTに強く、今回のツールでは登りで大きく遅れることも無かったので、この二人との差は年々少なくなくなってくるでしょう。
ただ、今のチームではツール・ド・フランスを征するのは難しい。UAEにはアユソやデル・トロなどの若手がいるので、彼らがポガチャルの後継となって行くのでしょうが、ログリッジが移籍したヴィスマはクスやヨハンネセンがいるとはいえ。ヴィンゲゴーの後釜にエヴェネプールを考えても不思議ではありません。エヴェネプールもここまで来るとクイックステップにいてもクラシックは勝ててもグランツールには手が届かないことは分かったと思います。今年のツールでもまともなアシストはランダひとりしかいなかったのですから。来シーズンのエヴェネプールの移籍に注目です。
それにしてもこれだけ厳しいアルプス2連戦を最小限の力だけで勝ってしまうポガチャルの強さには脱帽です。一昨年はチーム力の差でヴィンゲゴーに敗れ、昨年は骨折明けのツールで調整の失敗があり、3週目にバッドデイを迎えてしまいました。チームはメンバーを揃え、ポガチャルは過去の失敗から学び、常に攻撃的な姿勢を見せ続けたポガチャル。ジロで6勝、ツールでも5勝、これでブエルタに出場すればどんな記録が生まれるのでしょう。
流石にトリプルツールを狙うことは無いでしょうが、予測不能なポガチャルのことですから、オリンピックの結果次第でブエルタも走ると言いかねないのです。ただ、UAEには今回はコロナで早期リタイヤしたアユソがいるので、普通に考えればアユソでブエルタを狙うというのがチームの計画のはずです。
今の調子ならパリ・オリンピックでの金メダルも夢ではないでしょう。ジロの時からどこか力をセーブしながら走っている感じがしていました。今回のツールも全開で走ったのはプラトー・ド・ベイユだけだったように見えました。今日の個人TTはオリンピックのトレーニング程度に考えているかも知れないのです。
2位ヴィンゲゴーとは5分以上、3位エヴェネプールには8分以上のタイム差があるので、無理をする必要は全くないのです。ツールからオリンピックまで時間が無いので、既にオリンピックの調整に入っている可能性すら考えてしまうのです。エディ・メルクスの再来と呼ばれ注目されていたポガチャルですが、ヴィンゲゴーの登場でツールで連敗を喫していたのですが、その敗戦から多くを学び成長した姿が今のポガチャルの強さなのかもしれません。
ただ、今でもスイッチが入ると補給を忘れてしまうというポカもある選手で、今年もアシストがボトルの水をポガチャルにかけているシーンが目立っています。そこは年齢を重ねるにつれて改善されるはずです。2020年にツール初優勝した時はいったいツールを幾つ勝つのだろうという期待が高まりましたが、ヴィンゲゴーというライバルが登場し、苦い敗戦を味わうことで、ポガチャルもさらに強くなって行きました。
5月にポガチャルがジロを圧勝して以来ずっとポガチャルのWツールの可能性について考えて来ました。この記事を書き始めた当初から2008年のコンタドールの例をあげながら、その可能性は高いと言ってきましたが、それが今日実現します。今年のポガチャルの強さは異常といえるレベルに達しているようです。昨年のツールの敗戦がポガチャルをより強くしたのでしょう。
昨年、Wツールを狙うと宣言した時にはそれなりの自信があったのだろうと推測しています。レース数を抑え、ジロを圧勝、そこからもレースに出ずに調整に当て、回復とアルプスでの高地トレーニングを経てツールに入り、アルプスでの厳しい山岳は全て勝っているのは偶然ではないでしょう。1週間後にはオリンピックのタイムトライアルが、10日後にはロードレースが待っています。ポガチャルはロードレースに出場予定です。
ツールを早目に去ってしまったログリッジは東京五輪の個人TTの金メダリストですが、パリ五輪には出場しないようです。アシストもモホリッチとトラトニック、メズゲッツという強力なメンバーですから、今のポガチャルの調子なら金メダルも手に入れられるかもしれないと思っています。幸い今年のオリンピックはパリですから、東京五輪のような長距離移動がないのも有利に働くはずです。Wツールに加えてオリンピックの金メダルまで手にしてしまいそうです。
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