ロードレースは必ずしも強いものが勝つとは限りません。特に21日間にもわたる長丁場となるグランツールはピーキングが難しく、昨年のポガチャルはそこでマイヨジョーヌを逃しているのです。ワンデーレースなら優勝はポガチャルと言い切れるのですが、今回のアシスト陣を見る限り、ポガチャル頼みの様相なのです。
イタリアのランプレが母体となっているUAEチーム・エミレーツですが、近年はあまりジロ・デ・イタリアに主力選手を送らない傾向にあります。ランプレ時代にはジルベルト・シモーニやダミアーノ・クネゴがcannondaleのバイクで勝ちまくっていたというのに…使用バイクも台湾のMERIDAからイタリアのCOLNAGOになっていても、ジロ・デ・イタリアにはポガチャルを一度も出場させていないのです。何かチーム事情があるのでしょう。
今回はチームの正式発表前にジロ・デ・イタリアを主催するRCSスポートが30秒に満たない短い動画をSNSに投稿したという異例の事態が起きていました。デビュー年にブエルタ・エスパーニャで区間2勝で総合3位という結果を残し、翌年からツール・ド・フランスを連覇、クラシックレースも勝ちまくりながら、一昨年、昨年とマイヨジョーヌを逃しているのです。
UCI世界ランキング1位のチームが弱い訳はないのですが、グランツールは全てチーム・リアースバイクに持っていかれているのです。ワンデーレースでは圧倒的に強いのに、長丁場のグランツールではその力が十分に発揮されない傾向があるようです。UCIの個人ランキングで3年連続の1位のポガチャル頼みになっているのが少し気がかりです。3月のストラーデ・ビアンケから今季10レースに出場し、そのうち7勝という驚異的な勝率を残しているので、それも致し方ないことなのかもしれません。
ジロ初日は、残り4.3km地点から始まる平均9.8%(最大16%)の登りで予想通りポガチャルがアタックするも、この短い登りではジョナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアズ)を振り切ることができず、また下りでマキシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ)の合流をも許してしまい、3人のゴールスプリントに持ち込まれました。本来、ゴールスプリントにも強いポガチャルですが、ゴール前はずっと先頭を引かされていては流石に分が悪く、ナルバエスとシャッハマンの後塵を拝することになってしまいました。
ただ、ゴールまで残り21.9kmのマッダレーナ峠(カテゴリー2)をミッケル・ビョーグ(デンマーク)とフェリックス・グロスシャートナー(オーストリア)が500W近い出力でオランダのティメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアズ)やフランスのロマン・バルデ(チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL)を置き去りにしたのは大きかったと思っています。
このステージを勝ちマリア・ローザを獲得したのは、最大のライバルチームのイネオス・グレナディアズでしたが、エースのゲラント・トーマスとは14秒の差をつけて、今日の頂上ゴールになる第2ステージを迎えることになりました。今日のステージは1級山岳サンチュアリオ・ディ・オロパ(距離11.8km/平均6.2%)の頂上ゴールなので、余程のアクシデントでも無い限りポガチャルが勝つと思います。
幸か不幸かマリア・ローザを獲得したのがライバルのイネオスなので、第2ステージの集団コントロールはイネオスが担うことになるでしょう。前半の平坦コースはイネオスにコントロールさせれば、大きな逃げが決まる可能性は少ないとみています。最初のスプリントポイントを過ぎた辺りからUAEのアシストが動き出し、ポガチャルのステージ優勝とマリア・ローザの獲得を目指します。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます