アルミロードの完成形として2010年に登場したCAA10ですが、アメリカから台湾へ製造拠点を移したものの価格は据え置きのままでした。多くのメーカーが製造拠点をアジアに移しより安価な製品を提供し始めている状況を考えるといささか強気が過ぎるのではと感じていました。
確かに6069アルミをここまで加工し溶接することを考えればある程度価格が高くなることは止む終えないところではあるのですが、20万円を切るカーボンロードがここまで増えてくるとCANNONDALEとしても値下げに踏み切らざるを得なかったのでしょう。
当初、CAAD10 5(105)が1万円値下がりし189,000円だったのですが、10月に入り一機に2万円も価格を下げ169,000円に。CAAD10 3(ULTEGRA)とCAAD10 Black(ULTEGRA Di2)が共に3万円のプライスダウンで239,000円と369,000円になりました。フレームセットも149,000円から119,000円へと一機に2割以上も値下がりしています。
CANNONDALEとすれば、PINARELLOがFP UNO CARBONを199,000円で発売することを受けて、当初CAAD10 5を189,000円とすることで何とか乗り切ろうとしたようですが、SPECIALIZEDがTarmac SPORT Mid Compactを169,000円で発売するに至っては、CAAD10の値下げも已む無しと判断せざるを得なかったのではないかと推測しています。
TIAGRAの10速化でアルミロードは10万円を切るようになる中、CAAD10は頑なに値下げを拒んできた観がありました。まぁ、それだけの価値あるバイクであることは間違いないのですが、やはりカーボンロードがここまで安くなるとCANNONDALEとしても無視できない状況なのだと思います。
確かにCAAD10は台湾製になってから溶接がやや荒くなったことは否定できませんが、乗り味に影響することはありませんでしたし、アルミロードのフレームセット販売にCANNONDALEの自負も十分に感じられることもまた確かなのです。さらに、SUPERSIXにまでTIAGRAを搭載しているのに、CAAD10だけは頑なに105以上のコンポーネントを貫き通していることからも、それは感じられるところです。
カーボンロードが安くなりつつあることは確かですが、現段階ではカーボンロードが必ずしもアルミロードを陵駕しているとは言い切れないと、個人的には思っています。
確かに細かな振動吸収性においては明らかにカーボンはアルミを陵駕していることは確かです。これはCAAD10とSUPERSIXを乗り比べても一目両全でした。ただ、カーボンフレームにしたからといって不快な振動が全くなくなる訳ではありませんし、その高さや質もカーボン素材やフレームの構造によって大きく異なることは知っておかなければならないでしょう。
カーボンはアルミよりも軽いというのはあくまでも素材の問題で、カーボンフレームが必ずしもアルミフレームより軽いとは言い切れない。例えば、PINARELLOのFP UNO Carbonはフレームセットで1250gとCAAD10より100gも重いのです。
これはカーボンが50t・60tと表記される引張弾性率が高いほど剛性が高くなるので、フレームをより薄くすることができますが、24tなどのミドルクラスのカーボンの場合だと強度を出すために、どうしてもフレームを厚くせざるをえない結果なのです。
勿論、カーボン糸の編み方やカーボンシートの重ね方によっても剛性感は変わってきますが、アルミのような金属素材と異なり、単純に径を大きくし肉薄にすることが難しいこともまた事実なのです。従って、引張弾性率が低い低・中級カーボンの場合チューブを厚くするには、重ねるカーボンシート数も多くしなければならなくなるので、剛性や強度に関してはある程度限界があると考える必要がると考えています。
また、低価格のカーボンチューブは内部の整形が不十分でカーボン滓が残留しているケースが多く見られます。その結果としてフレーム重量が増すことは当然ですが、フレームのバランスも悪くなります。フレーム販売でもあれば重量やフレームバランスなどを確認してから購入することも可能ですが、20万を切るようなカーボンロードではフレーム販売があるはずもありません。
あくまでもレース指向がなく乗り心地の良さを求めるのなら剛性が高くない中級以下のカーボンロードでもいいのかもしれませんが、ある程度脚力が付いてくると物足りなさを感じることも多くなるはずです。
個人的には衝撃を程よくいなし、レースでも十分に通用する剛性感を持ち合わせるCAAD10なら中級カーボンロードには全く引けを取らないと感じていますので、CAAD10 3(ULTEGRA)が239,000円ならこれをお奨めします。軽さに拘るならフレームセットを購入してSRAMのコンポを組み込めば完成車重量が7kgを切ることも不可能ではありません。
コンポーネントに関しては廉価版だと必ずアップグレードに余分な費用が掛かってしまうので、最低でも105、できればULTEGRAグレードがベストチョイスだと思います。一度CAAD10に乗れば、次は間違いなくカーボンのフラッグシップモデルでなくては満足ができなくなるはずです。
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このような記事は本当に参考になります!
CAAD10はアルミフレームですが、30万円程度のミドルグレードのカーボンロードと比較しても全く引けをとりません。
また、ロードならコンポは最低でも105は必須だと思います。初のロードならCAAD10 105にして後悔をすることは決してないと思います。
アルミロードの最高峰に乗った上で、それとの比較で次のカーボンロードを考えるのがベターだと、私は考えています。