このように春先のレースだけを振り返ってみても、UAEはチームTTや個人TTの強さが際立っていました。資金が豊富で強い選手をお金で買っているイメージもあるUAEですが、アユソやデルトロといった若手が多いのも特徴です。ポガチャルもそうでしたがツール・ド・ラブニールで結果を残した選手を青田刈りしている傾向はあるものの、大金で選手を買うケースはそれほど多くは無いと思っています。
UAEは特にタイムトライアルに特化したトレーニングをしている印象があります。タイムトライアルに強い選手を集めていることもありますが、科学的なトレーニングをしっかりしているはずです。それはポガチャルを見ていれば良く分かります。ツールを連覇し頂点に立った感のあるポガチャルですが、5年前のポガチャルは粗削りで未完成な印象が強くありました。
ヴィスマにそこを突かれて2年連続でマイヨジョーヌ争いに敗れたことで、ポガチャルの数少ない欠点が明らかになってしまうのですが、今年は明らかにその欠点を見事に修正して来ているのです。特にタイムトライアルの走りが大きく改善されているように感じています。ポガチャルといえば登坂だったのですが、今では平坦も下りも安定して速いのです。これはエアロダイナミクスを意識したUAEの資機材やフォーム改良に加え科学的に計算された補給等、UAEチームが選手達にもたらしたものは大きいと思っています。
スプリントに特化するのではなく、長い距離を登り・下りに関わらず速く走ることが重視されているせいか、スプリント争いではむしろ弱い印象があります。そもそも総合系のチームなので、スプリンターを抱えてもメリットが少ないと考えているのかもしれません。それよりもエースのポガチャルの為に強烈な牽引力を育んでいるのは当然なのかもしれません。
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