21世紀 脱原発 市民ウォーク in 滋賀

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日米原子力協定が 自動延長    余剰プルトニウムは?

2018-07-25 09:03:07 | 記事

◆ 第70回・脱原発市民ウォークin滋賀のご案内 ◆

  2018年7月28日13時半、JR膳所駅前広場に集合 

暑いさなかですが上記のとおり市民ウォークを行います。
ご都合のつく方はぜひご参加ください。
様々な市民が自由に参加できるウォークです。
参加のスタイルも自由です。

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■ 日米原子力協定は自動延長されたが、 余剰プルトニウムはどうする? ■
日本に使用済み燃料の再処理による核物質プルトニウムの回収を認めることを内容に含んでいる日米原子力協定が7月16日、30年の満期を迎え、自動延長されました。今後は日米どちらか一方の事前通告により、半年後に協定を終了することができるようになります。日米原子力協定は、1988年7月に発効した条約であり、アメリカ合衆国から日本への核燃料の調達や再処理、資機材・技術の導入などについて取り決められており、日本の原子力政策を左右するものです。

プルトニウムは原爆に転用できるため核不拡散条約の下では非核保有国による再処理は許されていません。しかし、この日米協定により、核兵器を所有していない国のなかで日本だけが原発での使用済み燃料を再処理してプルトニウムを回収することを例外的に許されています。このため、日本はこの協定に基づき原発で使用済みの燃料の再処理を行い、回収したプルトニウムを高速増殖炉「もんじゅ」で再利用するという、いわゆる「核燃料サイクル」を目指してきました。この目的で日本はこれまで使用済み燃料の大半を英国とフランスの再処理施設で再処理してもらい、一部を東海再処理施設で再処理してきました。

再処理により回収されたプルトニウムは高速増殖炉「もんじゅ」で使用されるはずだったのですが、「もんじゅ」の研究開発はトラブル続きであり、1995年に事故を起こし、ほとんど稼動できないまま2016年に廃炉にすることが決定されました。この間、プルトニウム利用の主軸である「もんじゅ」での使用が見込めないために余剰プルトニウムの量が急増、政府は余剰プルトニウムを減らすための苦肉の策として、いわゆるMOX燃料(ウラン酸化物とプルトニウム酸化物の混合物)を用いて通常の原子炉で発電を行うプルサーマル発電を推進しようとしてきました。しかし計画通りには進んでおらず、プルサーマルを導入した原発は一部に留まっており、これまでのところプルサーマル発電に使用されたプルトニウムの量はわずかなものに過ぎません。

その結果、日本は国際社会に対して「利用目的のないプルトニウムは持たない」とする原則を掲げてきたにもかかわらず、余剰のプルトニウムがたまり続け、今では47トン(長崎型原爆6千発分)を国内外(国内に10トン、英仏に37トン)に保有するに至っています。

日米協定が自動延長されたために、日本が今後も使用済み燃料を再処理することに当面は支障が生じることがないものの、使うあてもないまま大量にプルトニウムを保有している日本を取り巻く国際的な環境は厳しさを増しています。「核拡散や核テロにつながる」と国際社会が不安を募らせており、日本に余剰プルトニウムの具体的削減策を求める声が国内外で強まっています。

韓国は2015年の米韓原子力協定の改定で日本を引き合いに再処理の権限を要求しており(米側が拒否)、サウジアラビアもウラン濃縮技術の獲得を求めているとされていますが、今年2月に開かれた米上院公聴会では上院議員が「日本で起きていることが地域の核拡散のリスクを高めている」と訴えています。日本にそのつもりがなくても、余剰プルトニウムを抱えることで軍事転用への疑惑はついてまわります。このため日米の外交当局間の協議では、原子力協定は自動延長するものの、米側は日本に対してプルトニウムの具体的な削減計画を示すよう強く迫ったと伝えられています。

高速増殖炉計画は事実上破たんしており今後増殖炉によるプルトニウムの利用は見込めないこと、プルサーマルの導入も福島原発事故を境に停滞しており将来的に大量のプルトニウムが消費されるとは考えられないこと、ウラン鉱石の埋蔵量は豊富であり現在ウラン供給は安定しているためコスト面でもわざわざプルトニウムを使う理由はないことなどを考えると、もう日本がプルトニウムを必要としていないことは明らかです。すなわち現在青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場がもう不要の長物であることは誰の眼に目にも明らかです。

それにもかかわらず、政府は政策の転換を決断せずに六ヶ所村の再処理工場とMOX燃料加工工場を稼働させる方針を押し通そうとしています。その大きな理由の一つは、再処理から撤退するとなると、これまで国が計画してきた、再処理後の核廃棄物を地下に最終処分するという方針を根底から見直し、使用済燃料を未処理のまま地下に処分するという方針に変更しなければならないということです(海外では未処理のまま最終処分するいわゆる「ワンスルー」と称される方法が一般的です)。政府がこの方針変更を実行するとなると様々な厄介で困難な問題が予想されるため、まったく先行き不透明のまま再処理を続けようとしているに過ぎません。

しかし、このままずるずると再処理を続けるのでは余剰プルトニウムを大量に保有している問題は何も解決できません。政府は一日も早く方針の変更を決断すべきです。余剰プルトニウムの問題は非常に厄介で解決困難な問題ですが、いま私たち市民もこの問題を真剣に考え、六ヶ所村の再処理工場の稼働に反対していかなければならないのではないでしょうか。

2018年7月23日 

《脱原発市民ウォークin滋賀》呼びかけ人の一人:池田 進

連絡先:電話/FAX:077-522-5415


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