21世紀 脱原発 市民ウォーク in 滋賀

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ロシア軍による ウクライナの原発・核関連施設への攻撃 について

2022-03-29 20:15:48 | 記事
《第103回脱原発市民ウォークのご案内》

コロナ禍がまだ続いていますが、桜の季節になりました。
次回、103回目の脱原発市民ウォーク in 滋賀を4月2日(土)に
おこないます(午後1時半、JR膳所駅前広場)。
どなたでも自由に参加できます。ご都合のつく方はぜひ足をお運びください。

■■ロシア軍によるウクライナの原発・核関連施設への攻撃について■■

今回の案内では原発のテロ対策についての続きを掲載する予定でしたが、去る2月24にロシア軍によるウクライナ侵攻が始まり、そのなかでウクライナの原発や核関連施設が攻撃対象とされるなど、危険極まる深刻な事態が未だに続いているため、テロ対策の続編の掲載は延期し、ロシア軍によるウクライナの原発・核関連施設への攻撃という問題について記すことにします。原発を国内に多数保有している日本の市民として、この問題をどのように受け止めるべきなのか、様々な考え方があるものと思われますが、とりあえず私の個人的な考えを以下に記します。この問題を考えるに際して参考にしていただければと思います。

《ロシア軍によるウクライナの原発・核関連施設への攻撃の概要》

まず、ロシア軍によるウクライナ侵攻の初日、2月24日、チェルノブイリ原発が攻撃を受け制圧されました(チェルノブイリ原発は1986年に4号機が大事故を起こした後、1~3号機は国際的圧力もあって廃棄されています)。次いで、3月4日、ウクライナ南東部にある欧州最大級であるとされるザポロジエ原発(原子炉6基、総発電量は600万キロワット)が攻撃を受け、同原発の敷地外にある研修施設が炎上、その後ロシア軍に制圧されました。検査期間中であったため攻撃時に稼動していたのは1基だけでした。この攻撃については「ウクライナの当局は冷却する機能が失われた場合、放射性物質が放出され、チェルノブイリや福島第一原発などこれまでに起きた原発事故を上回る規模の事故になるおそれがあり、さらに敷地内には使用済み核燃料の貯蔵施設もあり砲撃によって損傷した場合、放射性物質が放出されるおそれがあると警告している」と報じられています
(以上は3月4日NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220304/k10013513381000.html
などによる)。

また、3月6日と10日には、核物質を扱っているハリエフの物理技術研究所(原子核物理学の研究施設)が攻撃にさらされ、複数の施設が破壊されています。

《原発を多数保有している日本の市民としてロシア軍による原発に対する攻撃という事態をどのように受け止めるべきなのでしょうか》

ロシア軍の原発・核関連施設への攻撃はおそらく原発施設を制圧し電力供給を支配下におくことを意図としたものであり、原発自体を破壊することを目的としたものではなかったのではないかと推測されます。しかし、戦闘行為では意図せざる誤爆や誤射が付きものであることを考えるならば、まかり間違えば、攻撃を加えたロシアの側や周辺の国々までもが極度の放射能汚染にさらされ、福島第一原発事故やチェルブイリ事故を上回る破局的な事態になりかねない危険極まる行為であったことは紛れもない事実です。

このたびロシア軍による原発と核関連施設に対す攻撃が行われたことを知って、原発の賛否に関係なく、日本でも多くの人々が「またしてもチェルノブイリ原発や福島第一原発における原発事故のような事態に至っていたならば・・・」と身震いするような思いに駆られたのではないでしょうか・・・

とりわけ、日本を含めて原発を数多く保有している国々は、原発・核関連施設に対する攻撃という事態に冷や水を浴びせられる思いをしたことでしょう。このたび、原発に対する軍事攻撃という事態がロシア軍により実際に引き起こされるまでは、日本も含めていずれの原発保有国も、戦時には原発が攻撃され破局的な事態になりかねないという、原発の存在に伴う避けることができない最も重大な問題点を直視することを避けてきたのではないでしょうか。多数の原発を保有しているにもかかわらず「戦争と原発」という問題にこれまで目をそむけ続けて一度たりとも真剣に考えずにやり過ごしてきたものの、このたびのロシア軍による原発攻撃により、「戦時には原発の存在が破局的事態を招きかねない」という、いわば「不都合の真実」に目を向けざるを得なくなったと言えるのではないかと思います。
(注:「不都合な真実」:クリントン政権下で副大統領を務め2000年の大統領選で敗れたアル・ゴア氏の地球温暖化問題の深刻さを記した著作の題名)

いまさら言うまでもありませんが、原発の安全性には多々問題があり、このため安全性を高めるための様々な対策が十分ではないにしても講じられてきました。しかしながら、それらの対策は原発へのテロ攻撃に対する対策を含むものではありましたが、戦時を想定したものではありませんでした。戦時に原発の破壊を目的に意図的に効果的な攻撃が行われたならば、すなわち、原子炉が破壊されるに至ったならば、未曽有の大災害、文字通り破局的事態に至ることを確実に防ぐ手立ては事実上まったく存在していないと言っても過言ではないでしょう。このような破局的事態を確実に避けるには、もちろん戦乱や紛争に巻き込まれることがないよう最大限の外交的努力をはらうことが必要ですが、それだけではなく、根本的には原発を廃止するしか他に道がないと考えざるを得ないのではないかと私は考えます。

戦時に原発が攻撃目標にされるという事態が現実に起きてしまったという事実を前にして、私たちはそのような危険を覚悟してまで原発を持つ必要がいったいどこにあるのかという、根本的な疑問に突き当たらざるを得ません。私たち日本の市民は、ヒロシマ・ナガサキの原爆投下を経験しただけではなく福島第一原発の大事故も経験しました。それにもかかわらず依然として多数の原発を保有している日本の市民として、原発に賛成であっても反対であっても、今一度この機会に立ち止まって、原発の必要性について根本から真剣に考え直すべきではないでしょうか。

3月22日付けの朝日新聞が報じていた世論調査(19、20日に実施)の結果によれば、停止中の原発の再稼働に賛成の人々が38%、反対の人々が46%とされており、賛否の差は一段と縮まりつつあるものの、一方において、「日本の原発が他国から攻撃される不安を感じるか」という設問に対しては、《不安を感じる》とした人々は59%であり、「不安を感じない」とした人々の35%を大きく上回っていたとされています。

しかし、このような状況のなかで、「政府は、原発への軍事攻撃がウクライナ侵攻で現実の脅威になったとして、軍事攻撃から原発を防衛することを考えており、このため政府は原子力発電所の安全を確保するため、自衛隊を活用した迎撃ミサイルの配備や平時からの警護といった対策を検討し、国家安全保障戦略など年内に改定する文書に反映する」と報じられています
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA116HC0R10C22A3000000/#k-unlock-form
2022年3月18日付け日経)。
また、福井県知事は3月8日に岸信夫防衛相と会談し、ロシア軍による原発への攻撃を踏まえて「福井県は全国最多の15基の原発が立地しており、住民は今回の武力攻撃に対して不安を抱いている」と指摘し、原発への攻撃に備えた対策を求め、自衛隊による迎撃態勢に万全を期すよう要請し,防衛相は「不断に検討していく」と答えたとされています
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022030801085&g=pol 3月8日付け時事)

上記の二つの報道は、政府や福井県は、軍事攻撃にさらされる危険が現実のものとなったために多くの国民が原発への軍事攻撃が起きるかもしれないと不安を抱いているにもかかわらず、自衛隊の動員などの軍事的手段を講じることにより、あくまでも原発の維持・推進の方針を貫こうとしていることを明確に示しています。しかしながら、日本が何らかの戦乱や国際紛争に巻き込まれたならば、自衛隊を動員して「迎撃態勢」をとったとしても、果たして原発を攻撃から確実に守ることができるかどうかは多分に疑問ではないかと思われます。迎撃態勢を強力なものにすることによりミサイル攻撃や爆撃・砲撃から原発が守られる可能性が大きくなるとしても、原発が確実に守られるという保障はどこにもありません。戦闘の間隙を縫ってわずか一発でもミサイルや強力な爆弾・砲撃が国内のいずれかの原子炉を直撃したならば破局的な事態になりかねないことは明らかだからです。自衛隊を動員して迎撃態勢を整えたとしても、それはいわば「気休め」に過ぎず、原発が破壊を確実に免れることの保障にはならないでしょう。戦時に原発が破壊をされ破局的な事態に至ることを確実に避けるためには、原発を保有しないこと、すなわち脱原発を実現するしか他に方法がないことは明らかです。

先に記しましたので繰り返しになりますが、この機会に国も市民も、原発の必要性を根本的に考えるべきです。原発を廃止することを、今一度真剣に考えるべきです。戦時には原発が破壊され破局的事態になりかねないという危険を冒してまで、そのような危険を覚悟してまで、原発を持つ必要がいったいどこにあるというのでしょうか?

私たちはこれまで原発推進に強く反対し続けてきましたが、ウクライナにおける事態を踏まえて今後いっそう強く反対の声を挙げていかなければなりません。

★ ロシア軍によるウクライナの原発・核関連施設への攻撃を絶対におこなわないよう求めるプーチン大統領宛てのハガキを送っていただければ幸いです。

<あて先> 
〒106-0041 
東京都港区麻布台2丁目1-1 ロシア連邦大使館
特命全権大使ミハイル・ガルージン様 気付
ロシア連邦大統領 ウラジーミル・プーチン 様

文面は自由ですが、たとえば以下のように記してください

NO WAR ! NO WAR !
NEVER ATTACK NUCLEAR POWER PLANTS and
NUCLEAR RELATED FACILITIES in UKRAINE !
決して原子力発電所や核関連施設を攻撃しないでください!

最後の署名と日付をしるしてください。
住所とお名前はおさしつかえなければ記してください。

<参考:ウクライナの原発事情について>

ウクライナでは、チェルノブイリ1号機を1978年に運転開始して以来、2013年12月末時点で4つの原子力発電所に計15基が設けられており、総発電設備容量は1,381.8万kWとされています。なお、チェルノブイリ原子力発電所は、4号機が1986年4月26日に国際原子力評価尺度(INES)レベル7の深刻な事故を起こしたため、同型の1号機から3号機まで、いずれも2000年までに国際的圧力を受けることにより、閉鎖されています。総発電量に対する原子力発電への依存度は約43?48%とされています。
(以上は https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_14-06-02-03.html
日本原子力研究開発機構の2013年12月時点でのレポートによる)

ウクライナの人口は4400万人で日本の約3分の1ですから、日本の人口に換算して考えると、14基×3=45基の原発を保有していることになります。福島原発事故当時の日本の原発保有数約50基でしたからウクライナは日本とほぼ同レベルの原発大国であるということができます。また、原発への依存度は、日本の場合は福島原発事故当時約20%でしたが、ウクライナの場合は上記のように40%を上回っているため原発への依存度は極めて高いということができます。ただし国土面積は日本の約1.5倍、原子炉の総数は日本の約3分の1ですから、単位面積当たりの原発の密度は日本よりずっと低いことになります

2022年3月28日
《脱原発市民ウォーク in 滋賀》呼びかけ人のひとり:池田 進

〒520-0812
大津市木下町17-41 
電話/FAX:077-522-5415
メールアドレス:ssmcatch@nifty.ne.jp

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