愛
単色で塗ると
好きであることが見える色
そのページがめくられた剥離のあとで
淡い木陰になって
茫洋とした空気のなかで
再生される
やっかいな白紙
それでいて
おいしいたべものである
林檎のたくらみ
果皮は目にまつわりつき
油脂をさされるような
不安をそそる
暗夜の空の円月
培う術は不明
語韻の響きや身のしなりは
瞳の奥の深い森に棲む
特別なイキモノのように
とうとう得体がない
獰猛な心理学の書を投げ出した学生が
目的もなく走り去る靴音に似ている
愛
単色で塗ると
好きであることが見える色
そのページがめくられた剥離のあとで
淡い木陰になって
茫洋とした空気のなかで
再生される
やっかいな白紙
それでいて
おいしいたべものである
林檎のたくらみ
果皮は目にまつわりつき
油脂をさされるような
不安をそそる
暗夜の空の円月
培う術は不明
語韻の響きや身のしなりは
瞳の奥の深い森に棲む
特別なイキモノのように
とうとう得体がない
獰猛な心理学の書を投げ出した学生が
目的もなく走り去る靴音に似ている