居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

新羅の森

2012-10-15 16:11:16 | ポエム

新羅の森

 

おまえあそこえいったか
亡霊が住んでいる森へ

アソボ-くんがそういった
アソボ-くんはしっている
いつも下草のなかを
ひょいひょいとバッタの様に
あるきまわる

その朝はやく
アソボ-くんがやってきた
きょうのアソボ-くんは
小脇にノートブックを一冊抱え
さあ 出発!と小声で言った

出発ってどこえ?
アソボ-くんは言った
点検にいくんだよ
あの森を
少し低音でそう言った

大勢の昔の人々が
何かを語り合い論じ合っていた
ノドが乾くと下草の上の
すき通った玉露をのみながら

その議論はたちまち高熱をはっして
森の大樹がごーっとうなった

アソボ-くんはその記録を
手にしたノートブックに書き留めた

次の日アソボ-くんが
行方不明になった
僕の机のうえにいつの間にか
アソボ-くんのノートブックがおいてあった

                 

             

 

                                               *新羅の森・・・新羅三郎の塚のある円城寺の山麓の森