夢のあと
つわものどもでなかっても
夢のあとは儚いけれど
そうとばかりにおわるものでもない
へんな暗がりの街で
夢がテーマーでなくて
そこに築かれた
まぼろし風の現実があるからだ
美醜こもごも
それは存在する
おおきな自分の思いや
すてさるべき自分の膨らみ
どうしてもこだわる
どうしてもきえない
どうしてもふっかつ
どうしてもがつづき
そんなこといっていても
いつかふっとわすれる夢は
ほんとうの夢ではないよ
夢のあと
つわものどもでなかっても
夢のあとは儚いけれど
そうとばかりにおわるものでもない
へんな暗がりの街で
夢がテーマーでなくて
そこに築かれた
まぼろし風の現実があるからだ
美醜こもごも
それは存在する
おおきな自分の思いや
すてさるべき自分の膨らみ
どうしてもこだわる
どうしてもきえない
どうしてもふっかつ
どうしてもがつづき
そんなこといっていても
いつかふっとわすれる夢は
ほんとうの夢ではないよ
しんだひとのいったことば
しんだひとがいったことばを
いきのこったひとがきいても
そのことばをそのいみを
読書のように
受験勉強のように
花実はなさないで
オサナゴの頭をなでるように
いつくしみ可愛がりしないと
しんだひとのいったことばは
いきているひとにのりうつって
ともにいきていくことはできない
いくら手足をふったとて
からくり人形のような
タマシイのない
形だけのことばになってしまう
本棚にかざった本のように
開かない頁の堆積
前後の頁もなく
視覚的な嵩張りにしかない
意味不明の物体だ
しんだひとのいったことばを
あまり沢山受け取ってしまわずに
自分で引き継げるだけを
そっとうけとることを
みにつけないと
懐かしい人
一年生になったら
担任は女の先生
教壇での動きが美しいセンテンスのように
今も記憶されている
若きプリマドンナです
毎日必ずお経をあげる祖母
チ-ンと小さな鉦をならして
全部覚え込んだお経
諳んずることのおどろき
それから人形のように
ひょろっとしたしづかな佇まい
老バレリ-ナです
国語の時間
孫悟空のお話をねだると
国語の授業は寄せに早変わり
お寺の住職だった先生
戦争なんぞ忘れさせてくれた
尊い時間を分かち合えた
男のト-ク・ダンサ-です
目的
いまぼくは
目的がない
このまままっすぐにゆくと
山のふもとで
みちがなくなる
右にゆくと
残飯のしゅうせきじょうだ
左にゆくと
ハンカチーフの染めもの場だ
まわれみぎすると
ああ
さっきまであったはずの
みちがない
ここではじめて
ぼくは
目的を
きめないといけないのだ
そのばにしゃがみこんでも
日がくれ夜があけるだけで
前へすすめない
ぼくは
左にゆくことにした
ぼくのハンカチーフを
染めるために
コウメイ.セイダイ
ちいさな男が
おおきな男に
メールで
抗議した
おおきな男は
ひとつきかかって
ちいさな男を
こっぴどくやっつけるために
慎重にかんがえて
やっとリメールしてきた
なるほど と
ちいさな男は納得せざるを得なかった
おおきな男は
そしきのにんげんで
ちいさな男は
こじんのにんげんだった
こじんは
あつまらないと
そしきのにんげんになれないのだ
そのかわり
こじんは
きえてしまって
そしきが
また
そしきと
あらそうのである
こじんもそしきも
ときには
いれかわるとよいとおもうよ
こじんがそしきになり
そしきがこじんになるというように
コウメイ.セイダイ
天然よ
さまざまなる
天然の化学物質が
いかなる難事をも
着々とこなして
身体髪膚
五臓六腑
それらを生かし続ける
人間脳よ
目にもとまらぬ早業と
ミクロの単位の精確さで
人間の生命を
日夜生かし続けるという事は
意志という天然物質が
波を讃える風のように
お脳の中を吹き荒れて
つまりお脳は荒天のなか
揺らいでいるからこそ
我らが命
たゆたえる
さらば天然よ
おまえは
なにものだ
少年時代
そのとき
ぼくは
堂々としたものは
何かとかんがえた
ぼくは
川や河を思い出した
河はとつくにだから
電車で一時間
徒歩で三〇分の
おおきな川へ
散らされた蜘蛛の子のように
一目散に向かっていた
ついた川は川ではなく
小川の少し大きな
半端な川だった
でも流れる水は
矢のように早い
フェンシングのファンデヴのように
すばやかった
笹舟は浮かぶどころか
最初から翻弄されて
転覆してきえていった
その川のかたわらでは
あ そうだ
あ そうだ
と叫んでいる
子供がひとり
それは
ぼくの少年時代の
姿そっくりの
影法師を
ひかりながら流れる川のうえに
うつしていた
向こう三軒両隣
昔々ありました
ムコウサンゲンリョウドナリ
新年のご挨拶
それぞれが
五軒の家に挨拶回り
名前も顔も知っているのに
名刺をもって
コトシモドウゾヨロシクオネガイシマス
といって回りました
いつのまにか
ムコウサンゲンリョウドナリは
無くなりました
子供もネズミもボッカブリもイトドも
みんないなくなりました
今は・・・・・
めにもみえないものたちが
文字どおりの暗躍で
めにもとまらぬはやわざで
世界をつくりかえています
ムコウサンゲンリョウドナリは
おいてきぼりにあいました
そしてこわされすてられて
週二回
ゴミ収集車が
せっせと
回収しています
*ボッカブリは ゴキかブリの関西弁 *イトドはカマドウマの古名
要望
こうしてほしい
そうはいかない
どうすれば
いいのだろう
どうにもならないので
なにもできないから
ヨウボウは
お願いのナキガラ?
無理を銜えた
ジャッカル
巣穴の
オサナゴのために
とにかく
ヨウボウを銜えたまま
ウロウロ
憂鬱
憂鬱という気分が
のたうちまわる
ル-ムのすみからすみまで
粘着テ-プをしきつめたように
ぼくにくっ付いてくる
塵埃また塵埃は
草臥れた
草原だ
やがて夜明けの微風
芳しい花の芯を
くちにするまで
ぼくは忍ぶ
それでも
憂鬱は
芳しいものまで
奪い去る
携帯で電話する
さんざめく
笑い声が
憂鬱の小波をたてて
耳核に
入り込む
溶け去らぬ因子
消せない消しゴム
白紙に
消せない消しゴム
と書いたら
消しゴムで幾ら消そうとしても
消せなかった
消せる消しゴム
と書いたら
消しゴムで直ぐ消せた
何故だろうと考えた
消せない消しゴム
と書いたときに
特別な事はなかったのに
どうしてだろうと考えても
消せないのは消せなかった
それから
消せない消しゴムは
使っていない
ただし
どれが消せない消しゴムなのか
区別がつかない
使ってみて
はじめてわかるのだが
赤い鳥
鳥たちが
美しい聲で鳴いている
その森の在りかは知っていた
鳥語を勉強して
鳥と話せるようになったぼくは
春になったある日
その森を訪れた
すると
懸命に巣を掃除している黄色い鳥がいた
その黄色い鳥は昔の友達だった
良く気張っているねというと
さっき青い鳥が飛び立っていってしまって寂しいんだ
あなたが赤い鳥になったら帰ってくるよ
そういって飛んで行ってしまったんだ
そういって聲もださずに鳴いている
これはもう鳥ではないと
ぼくはおもった
ちょっとまってろよ
といってぼくは街にかえった
ペンキ屋さんで赤いペンキを買って
黄色い鳥のところへもどった
赤い鳥にしてやるから
しずかにしてうごくなよ
そういって丁寧に黄色い鳥に
赤ペンキを塗って赤い鳥にしてやった
ところがペンキが乾くと
羽と羽がくっついて飛べなくなってしまった
これは大変だ
ぼくはシンナ-を買ってきた
結局ぼくはその鳥を
もとの黄色い鳥にしかできなかった
そのうちきっと赤い鳥になれるよ
ぼくはくちにださずにそういった
静かな森で鳥たちが鳴いていた
空
もう直ぐ
14階建のマンションが
ぼくの部屋から
空をうばい
マンションの住人たちに
分配される
空ばかり見ている人間ではなかったから
そのことがしらされても
・・・・・であったが
この・・・・・は
鬱陶しいなと思い始めたが
空は身を乗り出せば
見えない事はないから
御時世というおおきな流れに
さからってもおぼれるだけだろう
空のために
水死体にならないで
窓から身を乗り出すトレ-二ングに
力を注ぐべきだろう
ガラガラという音を
毎日たてて寒空をみるために
窓を開け
空をみている
首がだるくなるほどに
一応
空にサラバといいながら