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「30歳越えたら子宮摘出」日本保守党代表・百田尚樹氏の“人権無視提言”に「相当ヤバいね」「恐ろしい」批判集まる

2024年11月09日 22時31分02秒 | 社会

「30歳越えたら子宮摘出」日本保守党代表・百田尚樹氏の“人権無視提言”に「相当ヤバいね」「恐ろしい」批判集まる

Yahoo news  2024/11/9(土)   SmartFLASH

 

“子宮摘出”を主張する百田尚樹氏(写真・時事通信)

 

 先の衆院選で3議席を獲得し、比例全11ブロックの総得票数の割合が、公選法の規定する2%に達し、国政政党となった日本保守党。同党の代表を務める作家・百田尚樹氏の発言がネット上で問題視されている。

11月8日に配信されたYouTubeの生配信番組『あさ8』で、日本保守党の事務総長を務めるジャーナリスト有本香氏と百田氏が、日本の少子高齢化対策について話しました。

 

 女性の社会進出が少子化の原因のひとつであると議論した上で、有本氏が『子供を産むっていうことには時間制限があるってことを、子供たちに教えるべきだとは思います』と語ると、百田氏は『ほんで30歳を超えたら、子宮摘出手術をすると』と提言したのです。慌てて有本氏は『やめなさい、こら』と制すると百田氏は『いやこれSFやで』とまるで“冗談”であるかのように語りました。

 

 さらに同番組で百田氏は『女性は18歳から大学に行かさない』『25歳を越えて独身の場合は生涯結婚できない法律にする』とも提言しています。『(これが)ええ言うてるんちゃうで?』と前置きはしていたものの、まるで人権を無視したかのような“少子化対策”を語っています」(政治部記者)

 

 これにはX上でも猛反発する声が出ている。

女性は結婚、子供を産ませるぐらいの価値しかないですよってこと?だとしたら相当ヤバいね》

《これは例え話でも言っちゃいけないやつですね》

どうしたらこんな女性差別発言が 出来るんでしょうね》

産みたくても産めない方々はどうなるんでしょうかね》

日本保守党は恐ろしい思想集団

 

「議論の内容としては、過激な政策をとらない限り日本の晩婚化や少子化は止められない、という趣旨のようですが、例えとして出すにしてもあまりにズレた発想だと、ネット上では批判を浴びているようです。特攻隊をテーマにした『永遠の0』などの著作がある百田氏は、過激な発言で保守層から支持を集めてきましたが、今回の発言には“支持を撤回する”といった声も出ているようです。

 これまでは、どんな発言をしたところでいち作家の言葉で済んだかも知れませんが、今回の選挙を受けて、日本保守党は、国政政党になりました。国政政党は、税金が原資である政党交付金を受け取ることができる団体です。その代表者である百田氏は公人として重大な責任を負っていることになります。果たして、“SF”という言い訳でこれほど過激な差別的発言が許されるでしょうか明らかに一線を越えているのではないでしょうか」(政治部記者)

 

 国会ではどのような少子化対策を訴えるつもりなのか……。


金子勝 日本経済は投機の対象になり果てた「日銀が口先介入で利上げを打ち出すたびに円安に向かうワケ」

2024年11月09日 16時30分17秒 | 社会

日本経済は投機の対象になり果てた…金子勝「日銀が口先介入で利上げを打ち出すたびに円安に向かうワケ」

Yahoo news  2024/11/8(金) プレジデントオンライン 金子勝

日銀が金融政策決定会合で10月31日、政策金利の現状維持を決めた。金利の据え置きがもたらす影響とは何か。経済学者の金子勝さんは「この間の為替レートの推移を見ると、『投機筋』は政府や日銀の足下を見透かして動いていた」という――。

※本稿は、金子勝『裏金国家 日本を覆う「2015年体制」の呪縛』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

 

■投機の対象になり果てた日本経済

 新型コロナウイルスの世界的流行とともに、一斉に金融緩和が行われ、世界的に「投機的」なマネーがあふれている。 「裏金国家」日本は、投機筋にもてあそばれる国になった

 アベノミクスはインフレ下で政策的に完全に破綻したアベノミクスは10年も続けたために深みにはまり、もはや抜け出せなくなっている世界的金融緩和によって生み出された投機マネーにその弱点を突かれて、日本経済は投機の対象になり果てているのである。

 2023年後半以降、起きてきた円安バブルもその一つである。2024年3月4日、日経平均株価は、史上初の4万円台に乗った。約34年ぶりの株高である。

 だが、34年前の1989年末は、バブル経済絶頂期で、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた日本経済の「黄金時代」であった。この頃は、日本製品の国際競争力が強く、日米半導体協定に示されるように、日米間で激しい貿易摩擦問題が生じていた。

 そして1985年のプラザ合意以降は、急激に円高が続いている時代でもあった。1ドル=235円だった為替レートが、1990年10月には1ドル=130円台を割るほど急速な円高になっており、それでも当時の日本は貿易黒字を記録していた。

 

■円と株価の乱高下を主導したCTA

 案の定、急速な株高を修正するように、2024年8月2日には日経平均株価は2216円下落。8月5日には実に4451円という史上最大の落ち幅を記録した。

 その直後の翌日に3217円の史上最高の値上げ幅で3万4675円をつけた。この株価の乱高下は、財務省が4月29日、5月1日、7月11~12日を中心に合計15兆円を超える円買いドル売りの為替介入を行い、7月31日に日銀政策金利を0.25%引き上げたことがきっかけとなった。

 円は一時1ドル=141円まで上がった。この円と株価の乱高下を主導したのは先物取引を儲けの対象として、コンピュータで高速取引をするCTA(商品投資顧問業者)であった。ちなみにCTAは商品先物だけでなく、通貨や株価指数連動先物など広範な金融先物商品にも投資している。

 

■余ったカネが日本に流れ込んできたワケ

 では、なぜこれまで株高や不動産価格の高騰が発生してきたのか

 まず円安は〈ドル圏〉で取引する大企業の決算を通常以上に膨らませ、それが株高を生んだ。同時に円安は、外国人投資家にとって、日本株や日本の不動産を割安にし、外国人投資家の株投資、マンション投資を増加させた。円安だと外国からの旅費が割安になってインバウンド(外国人観光客)が増えるのと同じである。

 そこに、新型コロナウイルスの世界的流行に際して、世界中で大規模な金融緩和策がとられたために、世界中に金余りが生じた。

 その中で、2023年夏になると、中国の不動産バブル崩壊が深刻化し、中国の株式市場が下落を始め、米中の貿易摩擦で中国の対米輸出が激減するとともに中国への投資が減ってきた。その結果、余ったカネが円安の日本に向かって流れ込んできたのである。株投資だけではない。日本の大都市圏のタワーマンションは中国人投資家を惹きつけている。

 

■正反対の資金循環が成り立つ不思議な日本経済

 それに加えて、政府や日銀が株価を支える政策をとっていることがある。

 株価支持のために日銀によるETF(指数連動型上場投資信託受益権)の購入があったが、岸田政権は株関連投資に関して1800万円の非課税枠を設けた新NISAを設けて、株価を引き上げようとしている。これは明らかに金持ち優遇政策である。

 2022年の総務省の「家計調査報告」によれば、2人以上の世帯の平均貯蓄残高は1901万円で、3分の2の世帯はそれ以下の貯蓄額しか持っていない。

 非課税枠を1800万円に飛躍的に拡大する新NISAは、3分の1の世帯を対象にした「中高所得層」優遇政策なのである。それは、当初、金融所得課税の「1億円の壁」を超えて増税すべきとしていた岸田政権の分配重視の「新しい資本主義」とは全く正反対の政策であり、人為的にバブルを作り出して格差を拡大する政策である。

 しかしひどい円安は、日本人富裕層には外貨へ投資させ、それが一層の円安を招くという資金の流れがある一方で、外国人投資家には日本の株や不動産への投資を増やすという逆の資金の流れをも生む。

 いまの日本はアベノミクスの失敗の結果、この2つの正反対の資金循環が同時に成り立つ、不思議な構造が生まれている。それは2024年8月2日、5日の株のパニック売りを引き起こしたように、日本経済の体力が著しく弱まっているがゆえに、きわめて投機的で脆い構造になっている。

 

■金融政策の柔軟性を失った日銀

 「裏金国家」日本は円安バブルだけでなく、円や長期金利でも、投機筋にもてあそばれる国になった。

 経済衰退がじわじわ進んでいるが、GDP比2.5倍もの財政赤字を日銀の超低金利で支えないともたない。たしかに、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の利下げが予定されている。

 他方、財務省は恒久的な税源がないまま防衛費倍増政策を続けており、この間、日銀はなかなか利上げもできず、7月31日に0.25%利上げするのが精一杯で、なおも日米金利差は5%近く開いている。日銀はなかなか金融緩和を止められずに金融政策の柔軟性を失っている。

 この間の為替レートの推移を見ると、「投機筋」は政府や日銀の足下を見透かして動いていた。口先介入で利上げを打ち出すたびに、逆に円安に向かっているからだ。

 実際、マイナス金利解除とともに1ドル=150円を突破し、植田和男日銀総裁が国会で「利上げがある」と口先介入発言をしたあと、岸田文雄首相が訪米したとたんに、円安は1ドル=154円まで進んだ。4月26日の日銀の金融政策決定会合では利上げはなく、金融緩和継続を決めたことが分かると、為替レートは1ドル=155円台を突破して円安が進行し、ついに4月29日には一時1ドル=160円台をつけた。わずか3日で5円も円安が進行し、1カ月で9円も円安になったのである。

 

■財務省ももはや余力なし

 このまま行けば、同じく金融緩和を進めたトルコと同じく、自国通貨が投げ売りされ、猛烈なインフレに陥ってしまう事態が発生しかねない。慌てた財務省が具体的目標も展望もないまま4月29日と5月2日の2回を含めておよそ9.7兆円規模とされる円買いドル売り介入を行ったとされる。

 2022年9~10月、神田前財務官は3回の為替介入を行った際、「介入原資は無限にある」という嘘をついたことも知られている。外国為替資金特別会計(外為特会)は9兆円を失ったうえに、元の木阿弥になった。今回も外為特会で使えるドル預金は24兆円。1回の介入が3兆円だとすると、8回分である。

 さらに、外為特会から3.1兆円を防衛力強化資金に繰り入れることになっているので、もはや大規模な為替介入を行う余力を失っている。

 もし、外為特会のアメリカ国債を売って為替介入すれば、アメリカ金融機関に損害を与え、アメリカの長期金利に影響を与えるので、アメリカとの摩擦は避けられない。財務省はもはや大規模な介入はできない。長期戦は難しく、一時しのぎにすぎないことは明らかである。


「アベノミクス」が国民生活に与えたヤバすぎる影響が判明!「光熱費」も「食費」も高くて「賃金」は崩壊…庶民生活を破壊しつくした”犯人”の正体

2024年11月09日 15時55分55秒 | 社会

【最終検証】「アベノミクス」が国民生活に与えたヤバすぎる影響が判明!「光熱費」も「食費」も高くて「賃金」は崩壊…庶民生活を破壊しつくした”犯人”の正体

Yahoo news  2024/11/8(金)  現代ビジネス  中原圭介(経済アナリスト)

 

安倍晋三元首相のアベノミクスとは何だったのか… ほとんど変わらない「手取り賃金」  

アベノミクスとは、私たちの生活にどういった影響をもたらしたのだろうか。

今回は、2013年に始まったアベノミクスの最終的な検証として、2012年以降の客観的なデータをもとに、簡潔に結論と要点だけを申し上げたい。

 

政治や大手メディアが現実を直視できなかった10年余りのツケは甚大だ。

アベノミクスでは賃上げの実績がことさら強調されてきたが、それは「春闘」に代表される大企業を中心とした賃上げに限定されていた。全体の7割を占める中小企業では、賃金は思うように伸びてこなかったのだ。

厚労省の統計データによれば、全国の現金給与総額は2012年の31万5334円から2023年の32万9777円へと、11年間で4.6%しか上昇していなかった。

おまけに、賃上げ分の大半は社会保険料の負担増により相殺されてしまい、可処分所得はほとんど伸びていなかったと言えるだろう。

 

「生活コスト」は大幅に上昇…!

しかしその一方で、生活コストは大幅に上昇してきた。アベノミクスがもたらした円安や低金利の影響によって、生活に不可欠な基礎支出(住居費・光熱費・食費)と呼ばれるモノの価格上昇が大きかったのだ。

まず、住居費の高騰についてだ。不動産経済研究所の統計データによれば、全国の新築分譲マンションの価格は2012年の3824万円から2023年の5911万円へと、11年間で54.6%も高騰した。

円安と低金利の双方によって、建築資材価格の高騰、住宅ローンの急拡大、投資マネーの過剰流入などが起こり、新築価格の高騰を招いてきた。

新築価格が高騰すれば、それに連動して中古価格や家賃相場も大幅に上昇する。その結果として、住居費の負担が大幅に増えてきているというわけだ。

 

「光熱費」と「食費」の負担が重くなった

次に、光熱費の上昇も大きい。日本はエネルギー資源の大部分を海外からの輸入に頼っているため、円安によって発電コストが大幅に上がるのは避けられない。

経産省の統計データに基づくと、家庭向け電気料金は2012年以降の10年間で45%も高騰した。2023年以降も大幅に上昇しているはずだったが、政府が巨額の補助金を出して料金を抑え込んでいる状況にある。

食費の上昇も甚大だ。家庭の食卓では海外生産の食料が60~70%を占めているので、円安によって価格は大幅に上昇せざるをえなかった。その証左として、消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は2013年以降、急上昇の傾向を維持している。

総務省の統計から計算すると、エンゲル係数は2024年1~8月累計で29.6%と過去最高を更新した。10月以降に多くの食料品が値上げされたことで、さらに高まっていく見通しだ。国民の生活水準の悪化が甚だしいというわけだ。

 

「実質賃金の下落」が尋常でなかった

アベノミクス以降、大手メディアで喧伝された割には、給与は大して伸びていなかった。社会保険料の負担が増えたことを考えると、ほとんど伸びなかったと言っても過言ではない。

その一方で、生活に必要不可欠なコストは増加の一途を辿ってきたのだから、国民の生活水準が下がり続けてきたのは当然の結果だ。厚労省の統計データを加工して計算すると、2012年から2023年までの11年間で、実質賃金は8.3%も下落していたのだ。

アベノミクス以前の11年間、すなわち、2001年から2012年までの期間には、小泉構造改革、世界金融恐慌、東日本大震災など、国民の生活を著しく悪化させる出来事があった。この期間の実質賃金は6.4%の下落だったので、アベノミクス以降の11年間のほうが下落率は大きかったことが分かる。

これは、アベノミクスがいかに国民に痛みを強いる政策だったか、如実に表している(『衝撃!日本人の賃金が「大不況期並み」に下がっていた』参照)。

 

この状況をつくったのは、政権・与党だけではない

国民の生活がここまで悪化した責任は、誰にあるのだろうか。

私は政権・与党だけにあるわけではないと考えている。

アベノミクスの初期から今の状況が懸念される事実があったにもかかわらず、それを指摘して追及できなかった野党にもあるし、政権・与党の主張を垂れ流してきた大手メディアにもあるからだ(『野党も気づかない、アベノミクスの「4つの間違い」にすべて答える』参照)。

アベノミクスが国民生活に与えた影響は、今となっては明々白々だ。「給与はデフレ、生活費は高インフレ」という、以前より悲惨な状況をつくりだしたにすぎないのだ。

国民の暮らしは今現在、アベノミクスの大きなツケを払わされている。国や家計の負債が増加し、生産性が上がらない中で、国民はアベノミクスの後遺症と今後も付き合わなければならないだろう。

 

さらに連載記事『「インフレで賃金が上がらない理由」はこれだ…!「永田町の政治家たち」に告ぐ、日本を没落させた「政治の不作為の真実」』でも、アベノミクスについて検証しているので、こちらもぜひ参考としてほしい。


石破政権の与野党「部分連合」が招く財政赤字拡大、総花的政策は“インフレ被害者”の政治不満強める

2024年11月09日 13時44分56秒 | 社会

石破政権の与野党「部分連合」が招く財政赤字拡大、総花的政策は“インフレ被害者”の政治不満強める

Yahoo news 2024/11/9(土)   ダイヤモンド・オンライン  一橋大学名誉教授 野口悠紀雄

 

 政権維持でも政治は不安定化 財政赤字が拡大しインフレに

 これまで2年間、世界的なインフレと円安で、日本はインフレに見舞われた

 この問題が完全に終わったとはいえないうちに、日本国内で新たな懸念が生まれた。それは、財政赤字の拡大によるインフレの危険だ。

 総選挙の結果、自民・公明の与党勢力が激減し、石破茂首相は、国会での首班指名を得るために野党の国民民主党と経済対策作りや来年度の予算編成、税制改正での連携に踏み出した。

 今後、他の野党も含めて、一部の政策で協力する部分連合によってさまざまな意見を取り入れ、総花的・八方美人的な政策が行われる可能性が強い。

 このため、負担の引き上げが難しくなる半面で、歳出増の圧力が強まり、財政赤字が拡大するだろう。

 財政赤字が拡大すれば、金利が上昇しインフレ率が高まるというのが伝統的な経済学の見方だ。

 インフレは、低所得層や年金生活者などの弱者ほど打撃が大きい。「部分連合」で政権は維持できるかもしれないが、政治や社会の不安定化が強まる。

 

「MMT」が言うようにはいかない  歳出バラマキの影響は金利や物価に影響

 少数与党など政権基盤が弱い政府は往々にしてバラマキ的な政策を行う。他方で、増税や社会保険引き上げなどの負担増は後回しにされるだろう。これが経済にいかなる結果をもたらすだろうか?

 特に大きな問題は生じないという考えもある。

 その代表が現代貨幣理論(MMT)だ。これは、自国通貨を発行する国では国債が内国債である限り、財政支出をいくらでも国債で賄うことができるという考えだ。

 この考えは一見したところ、もっともらしい。

 なぜなら第一に、国債が内国債である限り、自分自身に対する負債なので、格別の負担は発生しないように思われるからだ。

 第二に、完全雇用経済では、財政赤字が拡大して需要が増加した場合に経済全体の需要が供給を超過してしまうので物価が上昇するが、不完全雇用経済であれば、遊休資源の活用によってGDPが増大するから、金利や物価には影響が及ばないように思われるからだ。

 MMTをそのまま信奉し主張している政党は少ないが、先の総選挙の公約などを見ると、多くの党が減税などを言う一方でさまざまな歳出拡大策を唱えている。

 例えば、国民民主党も「未来志向の積極財政」を掲げて、所得税基礎控除の引き上げガソリン代値下げ(トリガー条項発動による揮発油税上乗せの停止)、事業主への社会保険料負担助成教育国債の発行による教育や子育て政策の無償化――など打ち出している。

 「賃金上昇率が物価(上昇率)プラス2%に達するまで」という前提だが、こうした政策が実施されれば、財政赤字は大幅に拡大するだろう。そして金利や物価にも影響が出てくる。

 

財政赤字が増加すると金利は上昇  人為的に抑えると債券市場は混乱

 マクロ経済学は、財政赤字が拡大すれば、金利が上昇しインフレ率が高まると予測する。その理由を標準的なマクロ経済学の道具である「IS・LM分析」と「総需要・総供給モデル」で説明すると、次の通りだ。

 IS・LM分析は、物価水準を一定にしてGDPと金利の関係を示すものだ(図表1参照)。財市場での均衡を表わす金利とGDPの関係がIS曲線で表わされ、貨幣市場における均衡をもたらす金利とGDPの関係がLM曲線で表わされる。

I:投資 (Investment)、S:貯蓄 (Saving)、L:流動性選好 (Liquidity Preference)、M:貨幣供給 (Money Supply)

 縦軸に金利、横軸にGDPを取った図においてIS曲線は右下がりだ。なぜなら、金利が低ければ投資支出が増えてGDPが増大するからだ。

 一方でLM曲線は右上がりだ。なぜなら、GDPが増えると取引需要の貨幣(取引の決済などに用いられるマネー)に対する需要が増える。貨幣の供給が一定であれば、資産保有目的のマネーの需要を減らす必要があり、そのためには金利が上昇する必要があるからだ。

 財政赤字が拡大すると、追加需要(財政支出、または減税で増加した消費支出)が発生するので、IS曲線が右にシフトし遊休資源が活用され、このためGDPが増加する。

 ところがLM曲線は右上がりなので、IS曲線の右方シフトによって均衡点が右上方に移動する。つまり金利が上がる

 なお、ここでいう金利は実質金利だから、物価が上昇すれば名目金利はさらに上がる

 だが日本の現状では、金利上昇を抑えるような動きが起きる可能性がある。日本銀行が利上げを躊躇するかもしれない。あるいは政府が日銀に圧力をかけて金利の引き上げを認めないかもしれない。

 石破首相は、つい先ごろまでアベノミクスに対して批判的な意見を述べていた。しかし、自民党総裁に選出されると180度転換し、日銀総裁に利上げを牽制するような発言をするようになった。

 こうした“圧力”のために日銀が利上げできなくなると、資金調達市場が混乱する可能性があり、債券市場で円滑な資金調達ができなくなる。ちょうど2022年の秋に生じた状況の再現だ。この時には、金利上昇圧力が強まったにもかかわらず、日銀はイールドカーブ・コントロール政策に固執し、長期金利(10年国債金利)の上昇を指し値オペなどで強引に抑えたため、スプレッド(国債との金利差)が取れない地方債や社債による資金調達に障害が出た。

 また、日銀がイールドカーブ・コントロールの撤廃に追い込まれることを見越した海外ヘッジファンドからの激しい投機に見舞われた。

 

財政赤字拡大で物価も上昇  需要曲線がシフト、均衡点が移動

 以上で述べたのは、物価水準が一定に保たれる経済の分析だ。しかし、物価の変動を考えると、財政赤字拡大の影響はそれだけにとどまらない。

 これを分析するために、総需要・総供給のモデルを用いる(図表2参照)。これは物価が変動する場合に、経済全体の均衡における物価とGDPの関係を示す分析だ(この場合にも金利は動いているのだが、表には表れない)。

 この分析では、縦軸に価格を、横軸にGDPを取る。

 価格を所与とした場合にIS・LM分析から得られる均衡のGDPを、さまざまな価格についてプロットした直線を総需要曲線(AD曲線)という。

 IS・LM分析からすぐに分かるように、総需要曲線は右下がりだ。

 他方で、供給面を考えると、価格が高いほど供給が増えると考えられるので、総供給曲線(AS曲線)は右上がりになる。これはフィリップスカーブと呼ばれる経験則から導き出された考えだ。

 財政赤字が増加すると、総需要曲線が右に動く。ところが、総供給曲線は右上がりなので、物価が上昇する。つまりインフレがもたらされる

 以上をまとめると、財政赤字の拡大によってGDPの増加と金利の上昇、そして物価の上昇がもたらされることになる。

 

「インフレ被害者」の 政治的な不満が強まる

 多くの人の所得は、賃金という形で名目値で決められている。インフレが起こると、その実質価値が低下する。したがって、インフレに対しては名目賃金を増やし、実質賃金を一定にしなければならない。

 しかし、それができる企業とできない企業がある。大企業の場合には可能だが、中小企業では難しい場合が多い。フリーランサーの場合にはもっと難しい。

 一般に、取引の力関係で弱い立場にいる人は、インフレになったからといって、販売価格の引き上げを取引先に要求することは難しい。

 インフレの被害者は制度的に賃上げから外されている人々だ。

 年金受給者もそうだ。年金も名目値で決められているが、日本の年金制度ではインフレスライドがあるので、実質価値を維持できるように思われる。しかし実際には、現役世代の人口減少を勘案するマクロ経済スライドによって年金額が実質的に減額される。

 これまではインフレ率が低かったので発動されないことが多かったが、インフレ率が高くなれば発動される。そうなると、年金の増額は物価の伸びよりも抑制されるため給付水準は目減りし、インフレによって年金の実質価値が下落する可能性がある。

 インフレによって利益を得る人は高所得である場合が多いのに対して、インフレによって被害を受ける人は低所得である場合が多い。つまり、インフレは逆進的な税率の税のようなものだ。インフレが最も過酷な税であると言われるのは、もっともなことだ。

 したがって、貧富の差がますます拡大し政治に対する不信と不満が強まるだろう。


京都国立博物館特別展「法然と極楽浄土」

2024年11月09日 09時00分46秒 | 京都府

京都国立博物館特別展「法然と極楽浄土」。

2024年10月22日(火)京都へ行き、4つの美術展を見てきた。

京都国立博物館特別展「法然と極楽浄土」。

京都市京セラ美術館「京都市立芸術大学移転記念 特別展 巨匠たちの学び舎 日本画の名作はこうして生まれた 」、

「Gucci Cosmos 」

京都文化博物館「生誕140年記念 石崎光瑤 若沖を超えろ!絢爛の花鳥画 2024.9.14 〜 11.10」。

 

京都国立博物館「法然と極楽浄土」の特集を、NHKEテレ日曜美術で見た。東京国立博物館では開催済み。「山越阿弥陀」は普遍的な画題だ。

11月12日から12月1日まで展示される「国宝 綴織當麻曼陀羅」(奈良・當麻寺)は前期では同種絵画が展示されていた。当麻寺には、1980年代から一度行こうと思っていたが、当麻曼荼羅は非公開、練供養会式 は 4月14日に限定なので、ようやく2000年代後半に伽藍のみ見学した。

京博だけではコスパが悪いので、ネットで検索すると京セラ美術館と京都文化博物館にも興味を引く展示があった。前提として障害者無料の美術展を抽出。

JR東海道線の名古屋から京都まで、障害者割引で往復2600円。8時ごろ名古屋駅を出て、京都駅に10時30分ごろ着いた。バスも考えたが歩くことにして11時ごろ京都国立博物館に到着。行列はないが、展示室には多くの入場者がいた。京博には2022年10月の特別展「京(みやこ)に生きる文化 茶の湯」以来。

国宝級の名品は11月6日からの後期に多く出品されている。

撮影は原則禁止で、後半の「仏涅槃群像」のみ撮影可能だった。

「仏涅槃群像」

京都国立博物館特別展「法然と極楽浄土」 2024.10.8 〜 12.1。

浄土宗の祖・法然(法然房源空、1133~1212)は、平安時代末~鎌倉時代初めの混迷期、「南無阿弥陀仏」の名号を称えることによって誰もが等しく阿弥陀仏に救われ、極楽浄土に往生できることを説き、多くの支持を得ました。

本展では、令和6年(2024)に浄土宗開宗 850年を迎えることを機に、法然による開宗から、弟子たちによる諸流派の創設と教義の確立、徳川将軍家の帰依によって大きく発展を遂げるまでの歴史を、国宝、重要文化財を含む貴重な名宝によってたどります。

第1章 法然とその時代

相次ぐ戦乱、頻発する天災や疫病、逃れられない貧困など、平安時代末期の人々は苦悩に満ちた「末法(まっぽう)」の世に生きていました。この時代に生を享けた法然は、比叡山で天台僧としての修行を積みますが、43歳の承安5年(1175)、唐の善導(ぜんどう)の著作によって専修念仏(せんじゅねんぶつ)の道を選び、浄土宗を開きました

「南無阿弥陀仏」と称えるだけで救われるという教えは、幅広い階層の信者を得ます。しかし、既存仏教からは念仏停止が強く求められ、ついに法然は75歳のとき、讃岐(香川県)へ配流されるに至りました。やがて帰京しますが、その翌年に80歳で往生を遂げます。

本章では、浄土宗の歴史のはじまりである、祖師法然の事跡や思想をたどります。

第2章 阿弥陀仏の世界

法然は、阿弥陀如来の名号「南無阿弥陀仏」をひたすらに称(とな)える専修念仏をなにより重んじました。貴賤(きせん)による格差が生まれる造寺造仏などは必要ないと説いており、法然自身は阿弥陀の造像に積極的ではありませんでした。しかし、それを必要とする門弟や帰依者が用いることは容認していたようで、彼らは阿弥陀の彫像や来迎するさまを描いた絵画を拝しながら、日ごろ念仏を称え、臨終を迎える際の心の拠りどころとしたのです。

多くの人々の願いが込められた阿弥陀の造形の数々は、困難の多い時代、庶民にまで広がった浄土宗の信仰の高まりを今に伝えています。

第3章 法然の弟子たちと法脈

法然のもとには彼を慕う門弟が集い、浄土宗が開かれました。法然没後、彼らは称名念仏(しょうみょうねんぶつ)の教えを広めようと、それぞれ精力的に活動をおこないます。

九州(鎮西、ちんぜい)を拠点に教えを広めていった聖光(しょうこう、1162~1238)の一派である鎮西派は、その弟子良忠(りょうちゅう、1199~1287)が鎌倉などを拠点として宗勢を拡大しました。

また、証空(しょうくう、1177~1247)を祖とする一派である西山(せいざん)派は、京都を拠点に活動を展開し、『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』を図示した「綴織當麻曼陀羅(つづれおりたいままんだら)」を見出し、その流布に大きな足跡を残しました。

第4章 江戸時代の浄土宗

浄土宗中興の祖聖冏(しょうげい、1341~1420)が伝法制度を確立し、その弟子聖聡(しょうそう、1366~1440)江戸に増上寺(ぞうじょうじ)を開くと、体系化された浄土宗の教義は全国へ普及されていきました。その流れは三河において松平氏による浄土宗への帰依へとつながり、末裔の徳川家康が増上寺を江戸の菩提所知恩院を京都の菩 提所と定めたことにより、教団の地位は確固としたものになりました。

本章では、将軍家や諸大名の外護(げご)を得て飛躍的に興隆した江戸時代の浄土宗の様子をたどり、篤い信仰を背景に浄土宗寺院にもたらされ、現代に伝えられた、多彩でスケールの大きな宝物を紹介します。