オホーツクミュージアムえさし。枝幸町三笠町。
2022年6月18日(土)。
稚内市宗谷岬を見学後、オホーツク海沿岸を南進して国道238号線から西の丘に昇り、「オホーツクミュージアムえさし」に14時20分頃着いた。16日(木)の18時ごろ、網走から稚内まで移動する途中で通過したが、「オホーツクミュージアムえさし」はマストのスポットなので立ち寄った。ミュージアムの北にある目梨泊遺跡を往復通過したが、埋め戻しされているようなので立ち寄らなかった。
「オホーツクミュージアムえさし」は、枝幸町やオホーツク海沿岸の歴史・自然を紹介する博物館で、特に、オホーツク文化を今に伝える「目梨泊遺跡」の出土品(国指定重要文化財)をはじめとした展示に特色がある。1000円でもおかしくない施設だが、観覧料は無料。
オホーツク文化、国の重要文化財204点を中心にした一大コレクション。
デスモスチルス、謎に包まれた生態を最新の研究成果から再現。
シャチ骨格標本、体長7mを超える国内最大級のシャチ骨格がお出迎え。
枝幸地方の自然、魚、鳥、昆虫、植物など多彩な標本で枝幸の豊かな自然を紹介。
枝幸・歌登のあゆみ、枝幸砂金や興浜北線など地域の歴史や生活文化を紹介。
体長7mを超える国内最大級のシャチ骨格標本、デスモスチルスなど。自然系展示室。
デスモスチルスは、主に海岸や浅海で暮らす、半水棲動物と思われている。化石でのみ知られる絶滅した哺乳動物の一グループ、束柱類(そくちゅうるい)に属す。1888年に最初に発見された歯の化石が、小さな円柱を束(たば)ねたような形をしていたので、デスモスチルスという学名がつけられた。
動物分類では、束柱目というグループに含められ、ゾウの長鼻目、ジュゴンなどの海牛目、イワダヌキ(ハイラックス)の岩狸目や化石でのみ知られている重脚目のものに近縁とされている。
化石は、北太平洋の両岸から知られていて、北米の西岸ではオレゴンからカリフォルニア、アジアの東岸ではサハリンから日本列島の北海道・本州の各地から発見されている。それらは第三紀の中新世前・中期(約2000万~1500万年前ごろ)の地層から出土している。
サハリンと日本では全身の骨格が発掘されていて、カバのような胴体にワニのように横に張り出した太い四脚がつき、体長は3m、体重は200~300㎏と推定されている。また、どのように歩行していたかという運動技能の復元もなされている。
デスモスチルスがいたころの日本列島は、現在とは違って、アジア大陸に連なっていた。デスモスチルスの化石骨といっしょにみつかる植物や貝の化石から、デスモスチルスは温暖な気候のもと、海岸地帯のマングローブ林で生活していたと考えられている。
デスモスチルス類は、体の構造から陸上での動きは鈍く、水中での生活が主であったとされ、食物としては海藻説、植物説またはゴカイや貝類説がある。しかし歯の形態からは、いろいろな食物をすり潰して食べていたことが推定されている。
デスモスチルスの仲間に、パレオパラドキシアというものがあり、全身骨格は岐阜県瑞浪市、岡山県津山市、アメリカのカリフォルニアで発掘されていて、それらの復元骨格がそれぞれの博物館で展示されている。
デスモスチルスの先祖には、より古い漸新世後期(約2700万~2400万年前)の地層からのコルンワリウス、ベヘモトプスが知られていて、さらに古い2900万年前のものとしては、北海道足寄町で発見されたアショローアAshoroaが知られる。
デスモスチルス類の系統進化の解明は犬塚則久によってされていて、それらの化石標本は、北海道の足寄動物化石博物館でまとまって展示されている。