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天売島フェリーターミナル。北海道羽幌町。
2022年6月20日(月)。
左が焼尻島。右が天売島。
焼尻島。
焼尻島12時25分発の高速船に乗船。天売島には12時40分に着いた。天売島からの帰りは15時50分発のフェリーで羽幌港には17時25分に着く予定である。
島内の道路は、海鳥繁殖地に沿って時計回りに一方通行(6月1日〜8月31日)。一周10kmの道路は、展望台に寄りながらゆっくり歩いても3時間、自転車だと2時間。
天売島は、北海道北西部の日本海に浮かぶ離島。留萌振興局管内の苫前郡羽幌町にある羽幌港から30km西にあり、天売島の東側に並んで浮かぶ焼尻島とともに羽幌町に属している。面積5.47km2、周囲約12km、人口は273人(令和3年9月時点)。島の名は、アイヌ語の「テウレ」(魚の背腸)もしくは「チュウレ」(足)に由来すると言われている。
ウミガラス(オロロン鳥)の日本における唯一の繁殖地であり、「海鳥の楽園」と呼ばれる。海鳥は8種100万羽が生息すると推計されている。
島の北西海岸は断崖が続き、ウミガラス(オロロン鳥)やウトウ、ケイマフリ、ウミウ、オオセグロカモメなどの海鳥の繁殖が確認されている。ウミガラスについては日本国内で唯一の繁殖地である。1938年(昭和13年)8月8日に「天売島海鳥繁殖地」として国の天然記念物に、1982年(昭和57年)3月31日には、国指定天売島鳥獣保護区(集団繁殖地)に指定されている(面積546ヘクタール、うち特別保護地区117ヘクタール)。
羽幌町では海鳥など野生動物の保護を目的に2012年4月に『天売島ネコ飼養条例』が施行され、野良猫の増加抑制策を進めた。殺処分は避け、飼い猫登録制の導入、野良猫への餌やりの禁止や捕獲したうえでの飼い猫としての譲渡、去勢手術で対応した。2014年に200匹以上いた野良猫はほぼいなくなり、雛が襲われなくなったことで2015年に約1000羽へ減ったウミネコが2019年は約5000羽へ回復した。
ウミネコの巣は1987年時点の約3万カ所から2013年時点の998カ所へ激減したが、2019年には2616カ所に再び増えた。上記のような、小笠原諸島の事例を参考にした猫対策だけでなく、空気銃によるハシブトガラスの駆除、デコイによるウミガラスの営巣地誘導といった対策もとられた。
現在では緑に覆われた島となっているが、明治時代以降、入植者(ニシン漁従事者)による乱伐、山火事の発生により島内の森林の大半を喪失する状態にあった。生活に必要な水資源に事欠くような状況となったため、第二次世界大戦後、北海道が治山事業により植林を開始。厳しい自然環境の下、育成は困難を極めたが1980年代から1990年代にかけて、ようやく成果が見られるようになった。
1990年(平成2年)8月1日には、周辺の暑寒別山系や焼尻島等とともに暑寒別天売焼尻国定公園に指定されている。
原付バイクをレンタルして、天売港のある北東部から南西方向へ時計回りに一周を始めると、海岸沿い道路の海側にウミネコが群れていて、近づいても逃げない。
赤岩展望台。
赤岩展望台一帯の斜面は直径20センチほどの穴を掘って巣を作るウトウや草地に営巣するウミネコの繁殖地で、5〜7月には海鳥たちの子育てが間近で観察できるチャンスがある。
ヒナの餌を運ぶウトウとウミネコの攻防が見られる。約40万つがいともいわれるウトウが、夕暮れから一気に帰巣すると、巣穴付近でもたついたウトウとウミネコの餌の攻防が始まる。
日中は海上で生活し、夕暮れに口いっぱい小魚をくわえ、ヒナの待つ巣穴めがけてすごい勢いで帰ってくるウトウ。この餌のおこぼれをねらうウミネコが巣穴周辺で待ちかまえる。ウトウはウミネコよりも遙かに小柄で体力ではとてもかなわない。しかしウトウには、水平線の彼方からツバメのような早さで飛来し、正確に自分の巣穴めがけて飛び込めるというレーダーのような優れた能力がある。
6月中旬にはエゾカンゾウが海鳥観察舎付近の丘に咲く。
海鳥観察舎。
島の最高点に近接していて、西海岸の壮大な断崖絶壁群のスタート地点であり、海鳥繁殖地の中心ポイントに設けられている。
目も眩むような西海岸100メートルを超える断崖絶壁が海鳥観察舎付近から始まる。日本海の強風と荒波をもろに受けた厳しい自然の爪痕は、海鳥たちにとって外敵から身を守る最適な繁殖地である。
海鳥の繁殖期は4月から8月まで、シーズン中、観察舎内に設置されている50倍の無料望遠鏡を覗くと断崖の岩棚ではウミウの子育て、岩礁で遊ぶ赤い足をしたケイマフリなどを見ることができる。
観音岬展望台から。
かつてはウミネコの一大繁殖地として知られ、今も数多くの海鳥が生息する百数十メートルの断崖絶壁を一望できる。
天売港上の高台から焼尻島。
天売港。
予定通り、天売島から15時50分発のフェリーで羽幌港に17時25分ごろに帰り、道の駅「はぼろ」で車中泊。翌朝は、7人を喰い殺した史上最恐の人喰いグマ事件で有名な苫前(とままえ)町の三毛別(さんけべつ)羆(ひぐま)事件復元地から見学を始めた。