世界遺産・国特別史跡・大湯環状列石。大湯ストーンサークル館。秋田県鹿角市十和田大湯。
2022年10月4日(火)。
「大湯環状列石発掘調査報告書」鹿角市教育委員会 2017年3月刊より。
野中堂環状列石。
大湯環状列石は、河原石を菱形・円形・楕円形に並べた組石の集合体が外帯と内帯の二重の同心円状(環状)に配置されている配石遺構である。
環状列石の最大径は万座環状列石が52m、野中堂環状列石が44m。配石遺構は万座で100基以上、野中堂は60基以上ある。
その外輪と内輪の中間帯には、一本の立石を中心に細長い石を放射状に並べ、その外側を川原石で三重四重に囲んでいる。その形から「日時計」といわれており、万座と野中の両方の遺跡にある。
野中堂環状列石の中心から万座環状列石の中心を結んだ線は、夏至の日没方向と一致している。
2つの環状列石に使われている川原石の6割は「石英閃緑ヒン岩(せきえいせんりょくひんがん)」とよばれるもので、環状列石から約2~4km離れた大湯川から運ばれてきたものであることが分かっている。
中央の立石は大湯の東方約7~8kmにある安久谷(あくや)川から運んだと推定されている。
環状列石隣接地の発掘調査も行われ、各々の環状列石を取り囲むように掘立柱建物、土坑、貯蔵穴、遺物集中域(遺物が集中的に発見された場所)が同心円状に広がっていることが分かった。
環状列石周辺や台地縁の発掘調査も進んでおり、万座環状列石の北東・北西側台地縁からは竪穴住居、北東50メートル地点からは環状配置の掘立柱建物群、野中堂環状列石南側30メートル地点からは配石遺構群が発見されている。