世界遺産・国特別史跡・大湯環状列石。野中堂環状列石。秋田県鹿角市十和田大湯字万座・字野中堂。
「日時計状組石」は、各々の環状列石の中心から見て北西側にあり、外帯と内帯の間に位置し、この環状列石中心部から日時計中心部を見た方向が夏至の日に太陽が沈む方向になっている。このような組石は北秋田市の伊勢堂岱遺跡にもある。
2022年10月4日(火)。
岩手県一戸町の世界遺産・御所野遺跡の見学を終え、15時30分ごろ大湯環状列石横の道路を過ぎた。見学者用駐車スペースが見当たらなかったので、そのままガイダンス施設の大湯ストーンサークル館に向かい、受付で尋ねると、野中堂環状列石の横断歩道横に駐車スペースがあると教えられた。このころから、雨が降ってきたので、まず遺跡を見学したのち大湯ストーンサークル館を見学した。
南の野中堂環状列石から北の万座環状列石方向。
大湯環状列石は、縄文時代後期(約4,000年前)の遺跡で、秋田県北東部の鹿角市に所在し、米代川の支流である大湯川沿岸、山岳丘陵の末端にのびる舌状台地の先端部、標高約180mの台地上に立地する。食料となるサケ・マスが遡上し、捕獲できる河川の近くであり、後背地には落葉広葉樹の森が広がっていた。
これまでの発掘調査により、それぞれの配石遺構の下から副葬品をともなう土坑が検出されていることにより、環状列石を構成する配石遺構は「配石墓」であり、その集合体である環状列石は「集団墓」である可能性が高いと考えられている。
同時に、隣接する掘立柱建物や周囲から出土した祭祀の遺物などから、葬送儀礼や自然に対する畏敬の念を表す儀式を行った「祭祀施設」であったと考えられている。
万座(まんざ)環状列石(最大径52m)と野中堂(のなかどう)環状列石(最大径44m)の二つの環状列石があり、いずれも大小の川原石を菱形や円形に組み合わせた複数の配石遺構を環状に配置し形成されている。
組石の集合体が外帯と内帯の二重の同心円状(環状)に配置され、その外輪と内輪の中間帯には、日時計状組石といわれる一本の立石を中心に細長い石を放射状に並べ、その外側を川原石で三重四重に囲んでいる。万座と野中の両方の遺跡にある。
二つの環状列石のそれぞれの中心の石と日時計状組石は一直線に並ぶような配置となっていることから、両者を関連づけて構築した可能性は高いと考えられる。また、この直線上は夏至の日没方向ともほぼ一致する。
組石は大きいほうの万座では48基、野中堂のほうは44基ある。中央の立石は大湯の東方約7-8kmにある安久谷(あくや)川から運んだと推定されている。
それぞれの環状列石を取り囲むように、掘立柱建物、貯蔵穴、土坑墓などが同心円状に配置されている。また、環状列石の周辺からは、土偶や土版、動物形土製品、鐸形土製品、石棒、石刀などの祭祀・儀礼の道具が数多く出土している。
まず、野中堂環状列石から見学。
横断歩道を渡り、万座環状列石へ向かう。外帯の外に低い展望台がある。
万座環状列石の北西外に近接する配石遺構。
このあと、大湯ストーンサークル館へ向かった。