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中国経済はハリボテか…「官製バブル」の裏で発表されていた「不都合なデータ」

2024年10月11日 10時28分54秒 | 社会

やはり中国経済はハリボテか…「官製バブル」の裏で発表されていた「不都合なデータ」

Yahoo news  2024/10/11(金)  現代ビジネス   真壁昭夫(多摩大学特別招聘教授)

 

株価は急騰したが…

9月末まで中国本土株は9営業日続けて上昇した9月24日の金融緩和、不動産支援策、株価維持策の発表、26日の中央政治局会議で明らかになった財政支出拡大方針の表明などを見る限り、中国政府はこれ以上の景気後退懸念の高まりは容認できなくなっていると考えられる。

主要投資家の一部は、中国の経済政策運営スタンスが変化したと判断し、これまで売りに回っていた本土株など中国関連の資産を急速に買い戻したようだ。中には、中国株を空売りし続けたところ想定を上回る経済対策発表に直面し、やむなく空売りした銘柄を買い戻さざるを得なくなった投資家もいる。

また、商品市況にも影響は表れた。9月上旬、シンガポールで取引される鉄鉱石の先物価格は2022年以来の安値水準で推移していた。しかし9月30日、不動産市況の支援策などの発表を材料に鉄鉱石の先物価格は急反発し、一時11%近く上昇した。

今回の経済政策の発表後、金融緩和、財政支出の拡大方針がこれまでより明確になったとの見方は強まっている。

29日、中国人民銀行(中央銀行)は既存住宅ローンの金利を10月31日までに引き下げるよう銀行各行に指示すると発表。広州、上海、深圳、北京なども住宅購入規制の緩和や解除を相次いで発表した。政策対応のスピードはかなり速い。

しかし、中国の景気が持続的に回復に向かうかは現時点で疑問符が付く。

 

中国経済はいまだ厳しい状況

気になるのが、中国の国家統計局が9月27日に発表した、8月の“工業部門企業利益(工業利益)”だ。工業利益とは、主な事業の年間売上高が2,000万元(4億円)以上の工業部門の企業収益を経済全体で集計したデータ。これが前年同月比で17.8%減と大幅な落ち込みを見せているのだ。

30日に発表した製造業PMI(購買担当者景況感指数)も、景気の回復と減速の境目である50を下回った。製造業の景況感は5カ月連続で悪化していることになる。

さらに、9月後半以降に政府などが発表した中国関連のデータを確認すると、個人消費、設備投資、雇用・所得環境など経済の基礎的な条件(ファンダメンタルズ)も悪化の一途を辿っている。

おそらく、中国政府にとってもこううした景況感の悪化は想定以上だったのではないか。中でも、前述の工業利益の減少幅は大きく、中国政府にとっても都合の悪いデータだったはずだ。

 

近年、中国政府は民間企業のリスクテイク支援よりも、国有、国営企業などに対する産業補助金や工場用地などの供与を優先してきた。EV分野のBYDや通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)、半導体受託製造企業の中芯国際集成電路製造(SMIC)など政府との関係が強固といわれる民間主要企業向けの支援を厚く実施し、政府主導の経済運営を推進したと考えられる。

中国政府はこれらの支援等を通じて国内企業の世界市場におけるシェアを高め、外需を取り込もうとしてきたのだろう。輸出が増えて企業業績が拡大すれば、雇用や所得の機会は増加し、個人消費も下支えされるからだ。

ただ、供給サイド重視の中国政府にとって、工業利益の大幅減は、年初来に実施したEV販売補助金の拡充などの支援が、十分な効果を発揮していないことを意味するのではないか。

 

家が売れない…

政府の指針通りに主要メーカーの利益が増えていない状況が続くと、中国の国民は政策の効果を疑問視するようになるだろう。

そうしたリスクに対応するため、前出の工業利益発表後の29日、中国人民銀行は住宅ローンの引き下げを迅速に行うよう国内行に指示したと考えられる。広州市などの住宅取得規制の緩和発表にも、工業利益の落ち込みなどは影響したのだろう。

とはいえ、住宅分野においても都合の悪いデータがすでに出ている。9月30日、中国房産信息集団(CRIC)が発表した速報値によると、9月の大手不動産デベロッパー100社の新築住宅販売額は前年同月比37.7%減だった。

住宅価格の下落に歯止めがかかるには時間を要するとの懸念は高まっている。中国政府はこの問題に対しても、住宅在庫の圧縮、家計の住宅ローン負担軽減、生産活動の持ち直しなどを目指し、追加の経済対策を打つことになるだろう。金利の引き下げや住宅、耐久財の購入支援の拡充などは当然考えられる。

今後も、雇用や所得、個人消費の環境が悪化すれば、追加の対策を打つと予想される。しかし、中国政府がいくら人々の心理から先行き不安を払拭しようとも、国内には手付かずの大きな問題が横たわっている。そしていまだに中国政府は解消に乗り出そうとしていない。

 

つづく記事〈このままでは中国が「不況」を世界各国に輸出しかねない…!中国のハリボテ経済が抱える「恐ろしい爆弾」〉では、その大問題について解説する。

 

このままでは中国が「不況」を世界各国に輸出しかねない…!中国のハリボテ経済が抱える「恐ろしい爆弾」

中国は景気後退を回避できるのか?

9月下旬、中国政府が急速な経済対策を発表したことにより、中国経済の先行きに弱気だった主要投資家の一部は、慌てて本土株など中国関連資産に資金を振り向けた。その結果、中国企業の株価は急騰。日本株の買い持ち・中国株の売り持ちを急速に解消せざるを得なくなる投資家もいた。

ただ、こうした動きが続き、中国の景気が持続的に回復に向かうかは現時点で疑問符がつく。

前編記事〈やはり中国経済はハリボテか…「官製バブル」の裏で発表されていた「不都合なデータ」〉では、中国の先行きの暗さを示唆する各データについて解説した。

 

では今後の展開はどうなるのか。

短期的に追加の経済対策によって中国の株価が上向き、住宅価格の下落ペースが緩和する可能性はあるだろう。それに伴い、一時的に中国の消費者信頼感が上向き、個人消費が反発するような変化が起きる展開も想定される。

実際、そうした見方から、これまで非保有としてきた中国株を急速に買い戻す投資家も増え、国慶節の連休中、深圳などの大都市でマンション購入を検討する人も急増しているようだ。

問題は、今後に出てくるものも含め経済対策が景気の下げ止まり、持続的な持ち直しにつながるか否かだ。少なくとも9月後半に発表された経済対策の政策運営方針が続く限り、中国経済が本格的な回復に向かうか不確実な部分が残る。

一つの要因は、依然として中国政府が供給サイドの支援を重視しているとみられることだ。

 

国有企業を優先するも…

バブル崩壊から経済を立て直して成長率を高めるには、需要サイドの支援が必要だ。1930年代の米国が行ったように、公共事業などを増やして雇用と所得の機会を増やす。その上で規制緩和などを実施して起業や成長期待の高い分野での産業支援を実施し、需要を創出する。

しかし、9月26日の中央政治局会議の内容からは、供給サイド優先から需要サイド支援へ政策の軸足を移す考えは読み取れなかった。

米ピーターソン国際経済研究所の試算によると、2024年6月時点で時価総額上位100社の中国企業で国有(混合所有含む)は67%の一方、純粋な民間企業のシェアは33%に低下した。2021年に中国政府がIT先端企業への締め付けを強めて以降、主要企業に占める民間企業の時価総額、売り上げともに低下傾向だ(国進民退)。

今なお国有企業などを重視し、先端分野を中心に民間企業への締め付けを重視する政策指針に変更はないと考えられる。

米国株式市場で新規株式公開(IPO)を断念したネット通販会社の“SHEIN(シーイン)”は、英国でのIPOを目指しつつ代替案として香港上場も検討していると報じられた。中国政府によるデータ管理、民間企業の創業経営者による資産の海外移転などの監視もあり、同社の資金調達の選択肢は少なくなっているように見える。

ただ、中国では国有企業なども業績懸念が高まっている。

 

「不況」を輸出しかねない

2024年上期、世界最大手、中国宝武鋼鉄集団傘下の宝山鋼鉄は、売上高、純利益ともに前年同期を下回った。同社が予想した以上に川下(消費者)の需要は減少し、収益を得ることが難しい。大手企業の競争力向上に向け、中国政府が主要企業の経営統合を指示することも考えられる。

しかし、中国政府は過剰生産能力の解消には一向に着手しようとしない。

こうした状況が続けば、この問題はさらに深刻化するかもしれず、場合によっては中国の過剰生産能力はさらに膨張し、結果として中国が世界に“不況”を輸出するという構造が鮮明化する恐れがある。過度に安価な製品や鋼材が流出し続ければ、各国企業の業績は悪化しかねない。

加えて今後は、企業や投資家が自由に意見を交換し、中国での成長の機会を模索すること自体が難しくなるだろう。情報統制を強化するからだ。

9月30日、中国政府は2025年1月1日にネットワークデータ安全管理条例を施行すると発表した。自国の経済、安全保障にかかわる内外のデータ処理に関し、内外の企業に対して政府の命令に従うよう徹底する。国民生活に悪影響を与える恐れがある場合、法的責任も追及する。社会と経済への統制は強まるものと考えられる。

主要先進国の企業は、法律や条例の適用基準があいまいとの懸念を示したが、中国政府は配慮を示していない。状況によっては、中国でビジネスチャンス発掘を目指す企業の取り組みが中国政府によって摘発され、何らかの罰則を科されるリスクも高まっているようだ。

 

リスクは常につきまとう

こうした展開を踏まえ、日米欧などを中心に、中国では主要企業などと合弁事業を継続しつつ、米国、インド、アセアン地域の新興国などに経営資源を再配分し、収益性向上を目指す企業は増えるだろう。収益源の分散化の必要性はますます高まっている。

引き続き、中国政府の発表には注視が必要だ。中国政府が景気後退リスクに配慮して一連の経済対策を発表したことは重要だが、景気が本当に回復するかは見通しづらい不良債権処理の遅れ、国有企業重視の経済・産業政策、情報統制など、今後の中国の政策内容を慎重に評価する必要性は高い。

さらなる政策発動観測から中国株、銅や鉄鉱石価格などのボラティリティーが高まり、主要投資家が思わぬ損失に直面、中国の金融市場が不安定化するという事態も大いにあり得る。



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