京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

朝の駅の風

2019-08-23 15:02:05 | 俳句

朝の駅の風
      金澤ひろあき
解き放つ 日没前にある自由
空き時間 片道切符の夢に乗る
空き時間 鬼だけ残るかくれんぼ
何騒ぐ 退職前の机ふく
記念の樹 被爆の傷と共に生き
泡盛の町に巨大な異国あり
道の奥 無弦の琴の持つ調べ
風邪に負けるなと八十過ぎの現役
今日六十歳しみとおってくる冬の陽
病名は呪文みたいでようわからん
死んだ友のさびしさ冬を裏返す
かりかりかりカリカリ仮の世年の暮れ
そんなもんだなおみくじは半吉
無理しなくなった冬眠のいっぴき
六十の正月あとの人生もうけもの
強がりを捨てた裸木になる
朝の駅の風はたらくにおいなんだ
仲直りしようと帰ってくるこだま
花選ぶ 職場に向かう最後の日
語り合うことまだある散るなよ桜
冷えた手をそっと包んで目が語る
星とともに起き退職の日の出勤
まんぼうが僕の余生のお手本よ
一オクターブ低くするなぐさめの言葉
雨慕情 モノクロ映画ある昭和
鳴らぬ笛 涙隠して道化役
少し足す 自問自答を塗り変える
少し足す意味なき選択かもしれず
選ぶ棚貫き通す自分色
検べる目 小さな花の生きる意味
匂う色 信じ続ける明日の花
事に寄せ 見えない指切り一度だけ
優しい肌 雲のちぎり絵母の顔
揃い立つ 大樹の跡を継ぐ新樹
相集う 時計の針は止めたまま
瞳美し 苦難の後に来る歓喜
幹叩き 讃歌は若く遠こだま
灯の記憶 いろはにほへと浅い酔い
目も愁う 事実を告げて荒れる海
車列の灯 喜怒哀楽の交差点

山科の滝

2019-08-23 08:00:27 | 俳句
山科の滝
             金澤ひろあき
 「へえ、こんな所に」ということが時々有りますね。滝というと山奥にあるというイメージです。確かにそういう滝が多いのですが、駅近の滝も有ります。
 山科駅の近くに毘沙門天や聖天さんをお祀りするお寺が有ります。以前、願い事がかなったことがあり、以来お参りしていますが、このお寺の奥に滝があるのです。夏だと行くまでは暑いですが、滝の近くは涼しいですよ。紅葉の頃はまた見事です。
 私はここと気が合うのか、行くと好調になります。また、この滝を訪れると必ず夕立になります。この夏お参りした時、ずっと晴れていたのが、帰りには激しい夕立になりました。何かが呼ぶのでしょうか。
 竜の棲む滝のとどろき底光 ひろあき