教科書によく出るシリーズ 源氏物語 光源氏誕生 桐壺
【本文】第二段落
⑯前の世にも御契りや深かりけむ、世になくきよらなる玉の男皇子さへ生まれ給ひぬ。⑰いつしかと心もとながらせ給ひて、急ぎ参らせて御覧ずるに、⑱めづらかなる児の御容貌なり。⑲一の皇子は、右大臣の女御の御腹にて寄せ重く、疑ひなきまうけの君と世にもてかしづき聞こゆれど、⑳この御にほひには並び給ふべくもあらざりければ、㉑おほかたのやむごとなき御思ひにて、㉒この君をば私物に思ほしかしづき給ふこと限りなし。
【口語訳】第二段落
⑯前世でも夫婦のご約束が深かったのだろうか、世の中にないぐらいのきよらかな宝石のような光輝く男の皇子までもがお生まれになった。⑰帝は皇子に早く会いたいと待ち遠しくお思いになられて、急いで皇子を参上させてごらんになると、⑱めったにないぐらい素晴らしい皇子のご容貌である。(※この皇子が光源氏)
⑲(この皇子の兄の)第一皇子は、右大臣の娘の女御がお生みになった方で後見人が勢力が重々しく、疑いも無く皇太子になられる方だと世の中で大切にお育て申し上げているけれど、⑳この光源氏の美しさには第一皇子はお並びになることができないので、㉑帝は第一皇子へは通りいっぺんの大切に思うご愛情であって、㉒この君(光源氏)を個人的に大切に思うものとしてお思いになり大切にお育てすることが限りないほどだ。
【語句説明】第二段落
⑯ここから光源氏が登場。まずは誕生のシーン。
・前(さき)の世・・前世 今の人生(現世)の一回前の人生。仏教の考え方・・生きている物は何回も生まれ変わる(輪廻という)。一回前の人生=前世での行いが、今の人生に影響する。
この話の場合、「前世で帝と桐壺更衣は夫婦になる約束をされた→現世で実現」
・御契り・・帝が(桐壺更衣と夫婦になるという)ご約束
・や(疑問 係り助詞)→けむ(結び) 過去推量助動詞「けむ」連体形
・世になく・・この世にないぐらいすばらしい ・きよらなる・・清らかで美しい
・玉の男皇子(おのこみこ)・・宝石のように輝く男の皇子=後の光源氏
光源氏は生まれた時から、「光り輝くイメージ」で語られる。
・さへ・・までも(追加の意味)
何に何が追加されているのか?
「帝が桐壺更衣を寵愛したこと」に追加して「皇子までもがお生まれになったこと」
・給ひ・ぬ 「給ひ」・・光源氏に対する尊敬 「ぬ」・・完了助動詞「ぬ」
⑰ 主語は帝 「せ・給ひ」という二重敬語、「御覧ずる」(ごらんになる)という最高敬語が使われている。
・いつしか・・早く 次に「会いたい」「見たい」等省略
・参ら・・謙譲語 (帝の御前に)参上する ・せ・・使役助動詞「す」連用形 させ
⑱・めづらかなる(ナリ活用形容動詞連体形)・・めったにないぐらいすばらしい
・児(ちご)・・子ども
・容貌(かたち)・・顔の様子 平安貴族は「かたち」を重視 メンクイだね。
⑲・一の皇子・・第一皇子 光源氏の兄になるが母親が違う。光源氏と比べると見劣りするので、後に皇位につくけれど「源氏物語」では気の毒な役回り。
・右大臣・・NO、2の大臣
・女御・・右大臣の娘である女御 第一皇子の母。「源氏物語」では敵役。
・御腹・・お生みになられた方 ・寄せ・・後見人
・まうけの君・・皇太子 ・もてかしづき・・大切に育て
・聞こゆれ・・謙譲語 申し上げる
⑳・御にほひ・・光源氏の美しさ 「にほひ」は嗅覚でない、視覚の美
・(一の皇子は)並び・給ふ・べく・も・あら・ざり・けれ・ば
「給ふ」尊敬語 一の皇子への尊敬 「べく」可能助動詞 「ざり」打消助動詞
「けれ」過去助動詞 意味は「一の皇子はお並びになることができないので」
ちなみに「ば」で、主語返歌が起きている。主語 一の皇子→帝
㉑・おほかたの・・通りいっぺんの
・(一の皇子への)やむごとなき御思ひ・・(一の皇子への)大切だと思う帝のご愛情
※一の皇子を大切だと帝はお思いになるんだけれど、その愛情は通りいっぺんのもの(で光源氏のほうがかわいい) 微妙な言い回しでしょ!
㉒・この君=光源氏 ・私物・・個人的に大切に思うもの
・思ほし・・尊敬語 お思いになる 主語は帝
【本文】第二段落
⑯前の世にも御契りや深かりけむ、世になくきよらなる玉の男皇子さへ生まれ給ひぬ。⑰いつしかと心もとながらせ給ひて、急ぎ参らせて御覧ずるに、⑱めづらかなる児の御容貌なり。⑲一の皇子は、右大臣の女御の御腹にて寄せ重く、疑ひなきまうけの君と世にもてかしづき聞こゆれど、⑳この御にほひには並び給ふべくもあらざりければ、㉑おほかたのやむごとなき御思ひにて、㉒この君をば私物に思ほしかしづき給ふこと限りなし。
【口語訳】第二段落
⑯前世でも夫婦のご約束が深かったのだろうか、世の中にないぐらいのきよらかな宝石のような光輝く男の皇子までもがお生まれになった。⑰帝は皇子に早く会いたいと待ち遠しくお思いになられて、急いで皇子を参上させてごらんになると、⑱めったにないぐらい素晴らしい皇子のご容貌である。(※この皇子が光源氏)
⑲(この皇子の兄の)第一皇子は、右大臣の娘の女御がお生みになった方で後見人が勢力が重々しく、疑いも無く皇太子になられる方だと世の中で大切にお育て申し上げているけれど、⑳この光源氏の美しさには第一皇子はお並びになることができないので、㉑帝は第一皇子へは通りいっぺんの大切に思うご愛情であって、㉒この君(光源氏)を個人的に大切に思うものとしてお思いになり大切にお育てすることが限りないほどだ。
【語句説明】第二段落
⑯ここから光源氏が登場。まずは誕生のシーン。
・前(さき)の世・・前世 今の人生(現世)の一回前の人生。仏教の考え方・・生きている物は何回も生まれ変わる(輪廻という)。一回前の人生=前世での行いが、今の人生に影響する。
この話の場合、「前世で帝と桐壺更衣は夫婦になる約束をされた→現世で実現」
・御契り・・帝が(桐壺更衣と夫婦になるという)ご約束
・や(疑問 係り助詞)→けむ(結び) 過去推量助動詞「けむ」連体形
・世になく・・この世にないぐらいすばらしい ・きよらなる・・清らかで美しい
・玉の男皇子(おのこみこ)・・宝石のように輝く男の皇子=後の光源氏
光源氏は生まれた時から、「光り輝くイメージ」で語られる。
・さへ・・までも(追加の意味)
何に何が追加されているのか?
「帝が桐壺更衣を寵愛したこと」に追加して「皇子までもがお生まれになったこと」
・給ひ・ぬ 「給ひ」・・光源氏に対する尊敬 「ぬ」・・完了助動詞「ぬ」
⑰ 主語は帝 「せ・給ひ」という二重敬語、「御覧ずる」(ごらんになる)という最高敬語が使われている。
・いつしか・・早く 次に「会いたい」「見たい」等省略
・参ら・・謙譲語 (帝の御前に)参上する ・せ・・使役助動詞「す」連用形 させ
⑱・めづらかなる(ナリ活用形容動詞連体形)・・めったにないぐらいすばらしい
・児(ちご)・・子ども
・容貌(かたち)・・顔の様子 平安貴族は「かたち」を重視 メンクイだね。
⑲・一の皇子・・第一皇子 光源氏の兄になるが母親が違う。光源氏と比べると見劣りするので、後に皇位につくけれど「源氏物語」では気の毒な役回り。
・右大臣・・NO、2の大臣
・女御・・右大臣の娘である女御 第一皇子の母。「源氏物語」では敵役。
・御腹・・お生みになられた方 ・寄せ・・後見人
・まうけの君・・皇太子 ・もてかしづき・・大切に育て
・聞こゆれ・・謙譲語 申し上げる
⑳・御にほひ・・光源氏の美しさ 「にほひ」は嗅覚でない、視覚の美
・(一の皇子は)並び・給ふ・べく・も・あら・ざり・けれ・ば
「給ふ」尊敬語 一の皇子への尊敬 「べく」可能助動詞 「ざり」打消助動詞
「けれ」過去助動詞 意味は「一の皇子はお並びになることができないので」
ちなみに「ば」で、主語返歌が起きている。主語 一の皇子→帝
㉑・おほかたの・・通りいっぺんの
・(一の皇子への)やむごとなき御思ひ・・(一の皇子への)大切だと思う帝のご愛情
※一の皇子を大切だと帝はお思いになるんだけれど、その愛情は通りいっぺんのもの(で光源氏のほうがかわいい) 微妙な言い回しでしょ!
㉒・この君=光源氏 ・私物・・個人的に大切に思うもの
・思ほし・・尊敬語 お思いになる 主語は帝
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