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祐さんの散歩路 Ⅱ

日々の目についたことを、気ままに書いています。散歩路に咲く木々や花などの写真もフォトチャンネルに載せました。

・ 核心答えぬ「安倍語」

2014-07-30 03:13:30 | 政治
アベシは嘘を平気でつく。しかも、よくある「~は断じてありえません。」の嘘。国会での討論も、質問と全くかみ合わないと毎日新聞でも報道されています。以下転載。


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特集ワイド:続報真相 集団的自衛権行使で犠牲は? なぜ解釈の変更でいいのか? 核心答えぬ「安倍語
毎日新聞 2014年07月11日 東京夕刊



「私には国民の命と平和な暮らしを守る責任がある」。安倍晋三首相は集団的自衛権を巡る議論の中で再三、そう強調した。だが、もう一つの重要な責任、国民に丁寧に説明して理解を得る義務は果たしているだろうか。国会や記者会見では、質問と首相の答えがかみ合わない場面も目立つ。「安倍語」を分析した。

 党内盤石、リスク避け

 今月1日、集団的自衛権の行使などを認める閣議決定後の首相記者会見で、こんなやりとりがあった。

 記者「自衛隊員が戦闘に巻き込まれ、血を流す可能性が高まるという指摘があるが、どう考えるか」

首相「今次閣議決定を受けて、あらゆる事態に対処できる法整備を進めることによりまして、隙間(すきま)のない対応が可能となり、抑止力が強化されます。我が国の平和と安全をそのことによって、抑止力が強化されたことによって、一層確かなものにすることができると考えています」

自衛隊員が実際の戦闘で死傷したことは一度もない。だからこそこの記者の質問は重みを持つのだが、安倍首相の答えはズレている。あえて解釈すれば「抑止力が強化されて平和と安全が確かになるから自衛隊員の血も流れない」ということなのか。外国通信社の記者も「平和を守るためには犠牲を伴う可能性もある。国民はどんな覚悟を持つ必要があるか」と尋ねたが、やはり直接の答えはなく、首相は「彼ら(自衛隊)は私の誇りであります。今後とも日本の国民を守るために、命を守るために活動していただけると確信をしております」。犠牲に触れる質問には正面から答えないと、決めているかのようだ。

さかのぼれば6月11日の党首討論でも似たような問答があった。攻める民主党の海江田万里代表。「油(石油)のために自衛隊員に命を捨てろというんですか」。少し色をなして応じた首相の言葉はこうだ。「機雷の除去は危険な任務であります(中略)自衛隊の諸君は身を危険にさらしながら日本人の命を守っているんです」「彼らに愛する家族がいることを私は知っています」。かみ合っているだろうか

「首相は野党が国民の感情に訴えようとしている、記者が戦争の危険を強調したがっていると見て、『同じ土俵に乗ってはいけない』と警戒しているのでしょう」。名古屋外国語大の高瀬淳一教授(情報政治学)が解説する。

高瀬教授はかつて、高支持率を維持した小泉純一郎元首相の政治手法を「言葉政治」と名付けた。党内基盤がさほど強くない小泉元首相が大目標の郵政民営化を成し遂げるには、世論の支持が不可欠だった。「劇場型」と呼ばれるほどインパクトのある言葉で国民に語りかけたのは、そのためだ。「安倍首相は違う。党内に自らを脅かす存在はおらず、国会でも自民1強状態だから、あえてリスクを取る必要はない。安保問題は国民に悪いイメージを与えかねませんから。とにかく丁寧な言葉遣いを保ち、失言せぬよう淡々と答弁することを心がけているようです。そのうちに国民の理解が得られる、あるいは反対の声が静まるのを待つ姿勢なのでしょう」

しかし、それでいいのか。歴代首相の発言を分析した「政治家の日本語力」の著書がある信州大の都築勉教授(政治学)は「論点をずらすのではなく、例えば『安全保障上のさまざまな事態が想定されるから、心積もりをしてほしい』といった言い方で国民の理解を求めることが首相の役割なのでは」と言うのだ。


 結論だけ、飛び石話法
「自衛隊員の犠牲」とともにもう一つ、「首相は正面から答えようとしない」と批判される問いがある。<なぜ憲法改正ではなく解釈の変更なのか>である。

 再び6月11日の党首討論。

 海江田代表「どうして憲法改正の手続きを取る必要がない、閣議での変更だけでいいとお考えなのか」

首相「アジア太平洋の安全保障上の状況は厳しさを増しています(中略)安保法制懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)から出された報告書について、与党において真剣に議論しております。議論の結果、政府として立場を決定し、閣議決定します(中略)自衛隊が行動できるようにするためには法改正が必要であります。法改正の際には当然、国会でご審議いただくことになります」

質問に真正面から答えず、必要のないことを時間を使ってだらだらとお答えになった」。ぶぜんとした海江田氏にそう言われても首相は動じなかった。かつては「言語明瞭、意味不明瞭」と評された首相もいた。ときには言葉をあいまいにするのも一つの政治テクニックだろう。だが、ことは国の針路に関わる。

「安倍さんの説明方法は、まるで『飛び石』を渡っているようなんですね。自分の信念から導かれた結論をぽんぽんと断片的に提示するが、それぞれがどうつながっているかの説明が乏しいんです」。前出の都築教授は言う。「例えば『自分には国民の命を守る責任』があり『日本を取り巻く安全保障環境が変わった』から『憲法解釈を変更して集団的自衛権を行使できるようにする』と言う。しかし、どんな変化があり、なぜ解釈の変更という方法を選ぶのかはよく分からない。野党やメディアは論理の一貫性を求めているのだから、かみ合うはずがありません」

NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子さんは、1日の会見での首相の「日本が戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなっていく。再び戦争をする国になることは断じてありえない」という言葉を聞き、「あの時と同じだ……」と思った。

特定秘密保護法案を審議する昨年11月26日の衆院国家安全保障特別委員会。「秘密が際限なく広がっていくという懸念は全く当たりません」と首相は胸を張った。12月9日の記者会見でも「知る権利が奪われる、通常の生活が脅かされるといった懸念の声もいただいたが、そのようなことは断じてありえない」と言い切った。「あの時と今、首相の言葉に共通しているのは『私が言うのだから信用してくれ』と訴えるだけで、その根拠ははっきりしないことです。これでは首相を支持している人以外には届かない」


 ◇「憲法73条違反」を問え

情緒に訴えようとする「安倍語」の特徴は会見で使われるパネルにも表れている。首相は1日の会見で、日本人を運ぶ米国艦船と幼子を抱く母親の姿を重ねたイラストを使った。「またか」と思った人も多かったろう。同パネルを掲げるのは5月15日に続き2回目。「日本人の命を守るため自衛隊が米艦を守れるようにするのが今回の閣議決定だ」と首相は訴えた。「閣議決定では、集団的自衛権の行使が可能なのは邦人救助のケースに限らない。あのパネルで国民の情を揺さぶることで、本当にやりたいことを隠しているようにもみえる。私は『情緒的煙幕』と呼んでいます」と都築教授。

14、15日には、今回の閣議決定についての集中審理が衆参両院である。いずれは関連法案が政府から提出され、本格審議も始まる。野党は「安倍語」の壁をどう乗り越えればいいのか。

 高瀬教授は「首相が唱える『積極的平和主義』とは何かを、きちんと説明させるべきです。首相自身が持ち出した新しい概念なのだから、最終的に何を目指しているかを引き出さなければならない」と指摘する。

「私だったら、集団的自衛権による武力行使は憲法違反ではないか、と質問しますね」。そう語るのは首都大学東京の木村草太准教授(憲法学)だ。「内閣の事務を定めた憲法73条には、一般行政事務に加え、外交や条約締結はあるが、集団的自衛権が行使された場合の対外軍事活動はどこにも書かれていません

 そもそも今回の憲法解釈変更は「憲法が権力を縛る立憲主義に背く」と批判されてきたが、安倍首相は「立憲主義にのっとって政治を行っていく、当然のことであります。その上で、私たち政治家はこうしたことができない現状から目を背けていいのかを皆さんに考えていただきたい」(5月15日の会見)。「首相は立憲主義と矛盾しないと考えているのだから、どこまで行っても平行線」(木村准教授)なのだ。「それよりも『73条に反し違憲ではないか』と具体的に問えば、首相は困ると思いますよ」

 とはいえ野党がよほど腰を据えなければ「安倍語」を突き崩すのは難しそうだ。【江畑佳明】