福岡伸一「生物と無生物のあいだ」感想

2009年04月21日 21時37分41秒 | 巻十六 読書感想
一応、他者のレビューを一切見ないで書きます。
こんな話題本を今さら臆面もなく読むのが凄いでしょ。

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
福岡 伸一
講談社

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非常に示唆に富んだ書であった。
本来なら、ブックオフで買っていいような本ではない(笑)

我々の身体は、分子レベルにおいて常に流動しているらしい。
1年会わなくても「お変わりありませんね」との言葉が交わされるが、
とんでもない、
我々は完全に別の構成要素に入れ替わっているのだ、と。
この身体は、実体を持った個体ではなく、
常に「高速で入れ替わっている」、
「たまたまそこに密度が高まっている分子のゆるい「淀み」」。だと!

---------- キリトリ -----------

なぜ生命体はこの大きさなのか?
原子があんなにも極小なのに、我々はこのサイズなのか?
気まぐれな微粒子の誤差を薄めさせる…
すなわち生命体の秩序維持のためだった!

---------- キリトリ -----------

…てな感じに、驚きの連続である。
表層的な意味でのオドロキにとどまらず、
詩的感覚が刺激される、そんな感覚だ。

たかが新書の「あとがき」で泣けそうになったのは初めてだわ。

---------- キリトリ -----------

「ノックアウトマウス」結末の件(くだり)は心底感嘆した。
「狂牛病」の話もなるほど納得した。膝を打った(打ってねぇけど)。
「動的平衡」、意味は完全に理解していないけど、
まさに我々生命体はダイナミックに動き続けているのだな。

---------- キリトリ -----------

理系とか文系のカテゴライズになんの意味も無いと知る。
著者はそのキャリアから言ってバリバリの理系な筈だが、
この文章能力は一体なんなのだろうか。
下手な文筆本業家よりよっぽど文学的示唆?に富み、詩的。
俺のようなゴミカスのような阿呆が言うのもなんだが、
こうした途方もない才能に嫉妬を覚えるのも心地よいものである。
ごちそうさまでした。

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