宇多田ヒカルとレクイエム、と、生と死。

2006年06月21日 17時59分00秒 | 巻十一 いろんなおんがく
先日NHKで放送された、「トップランナー」。
宇多田ヒカルさんがゲスト。半生?を語る。

「歌いたくなることは、泣きたくなることと同じ。」
だそうだ。キタヨコレ。
一青窈さんも確か言っていた。
「泣くために歌っている」…たしかこんな感じ。
二人のニュアンスは違うけれども、
泣くというこの上ない感情の吐露はすなわち、
歌うという自己表現と同じ地平線にあるのだ。
だから、たぶんこの二人が僕は好きなのだと思う。

宇多田さんにとって元気の出る音楽。
モーツァルトの「レクイエム」。
↓これは僕の愛聴盤。

モーツァルト:レクイエム
ヤカール(ラシェル), ウィーン国立歌劇場合唱団, ベンケル(オルトルン), ホル(ロベルト), エクビルツ(クルト), ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス, モーツァルト, アーノンクール(ニコラウス)
ワーナーミュージック・ジャパン

このアイテムの詳細を見る


---------- キリトリ -----------

僕が想う、宇多田ヒカルの魅力。のひとつ。
それは死の影。いや、生命を見据えた視線とでも言おうか。

偶然であろうが、
「レクイエム」とは
死者のために祈る鎮魂ミサ曲なのだ!

たとえば、このジャケット。↓
DEEP RIVER
宇多田ヒカル
東芝EMI

このアイテムの詳細を見る


僕はこの写真を見るたびに、
変な話だが「死者」の表情を思い浮かべてしまうのだ。
モノクロに包まれし彼女の表情。
全ての生と全ての死を司る神官のようではないか。

ちょうどこの時期、
宇多田ヒカルは確か、
卵巣腫瘍の病に苛まれた。
つまりは、自己と自己の遺伝子に関わる、
生と死の狭間。
だから、この表情にある深みを僕は決して無視することはできない。

---------- キリトリ -----------

たとえば、新作「ULTRA BLUE」。
誰が言ったか、
ア式フットボール(イワユルさっかー)日本代表ちーむの
精神鼓舞楽曲にされてるらしい。
余計なお世話だ!ヤメテクレ!あけてくれ!(「ウルトラQ」第28話)

ブルーは、
とてつもなく深くて
この上なく沈鬱で、
誰よりも青緑で、
何よりもブルーな感情なのだ。
浮ついた衝動になど金輪際引用して欲しくない。


それで、「ULTRA BLUE」。

ULTRA BLUE
宇多田ヒカル
東芝EMI

このアイテムの詳細を見る


この中でも、彼女は死について語る。
生命とかについても語っている。

「日曜の朝」では「お葬式」。
「This Is Love」では「遺伝子」。
「COLORS」では「喪服(黒い服)」。…

宇多田ヒカルは常に、生と死の影の中にいる。

それは、僅か10代そこそこで「世界」に足を踏み入れ、
「世界」に認められた運命。
彼女はまだ23歳なのだ。
その彼女が、
だからそんな彼女が、
この僕に死の意味を
そっと囁く。
密かに教えてくれる。
誰もいない昼下がりに、
僕の精神の柔らかい一部分を刺激して止まないのだ。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«  勝ったみたいだね(対ロッテ... | トップ | 久保田抹消…だそうだ。 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おはようございます。 (女豹)
2006-06-22 06:23:23
とても共感します。

それに素晴らしい感性の持ち主ですね。

宇多田さんも 朱 厚照さんも。

MSNでヒッキーの特集していて、

彼女の魅了されました。

時にびっくりするような歌詞が

含まれていたのはこういうことだったんですね。



TBこちらこそありがとうございます
返信する
ありがとうございます。 ()
2006-06-23 19:19:07
>女豹さん



私の場合は全然素晴らしくない感性なんでアレですが…(;・∀・)



宇多田さんの歌詞にはハッとさせられることが多いですね。

天性のセンス+人生経験なんでしょうか。
返信する

コメントを投稿