ラフマニノフ 交響的舞曲 ヴラディーミル・アシュケナージ指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管詳細 |
「疾走する悲しみ、涙は追いつかない」
小林秀雄は、モーツァルトの音楽を評してこう言ったらしい。
それならばこの「交響的舞曲」の特に第3曲目はさながら
「疾走するダンス、とどまることは許されない」とでも言おうか。勝手に。
ラフマニノフ「交響的舞曲 作品45」。
1940年作曲。
欧州の地を離れ米国へ向かう船の中で、彼は第二次大戦の勃発を知った。
生きるということは、
おそらくこの音楽のように
踊ることをやめるな、舞い続けるのだ、肢体が限界に至ってもなおとどまる勿れ、
と宣言され続ける いわばダンスのようなものなのかも知れない。
そんな一種の強迫観念のみぞれの中で、
自分もまたたぶん多くの人々と同じように
絶えることなく踊り続ける。
絶望という名の希望のダンス。
望みかなうまで踊る望みなき終点なお見えぬ舞曲。
だからラフマニノフは疾走する。
掴み所なきリズムで幻惑しつつ
陽炎のような甘美なメロディで奏でつつ
突き破るべき殻を探す事に一生費やすかのように
あしたもダンスを踊り続ける。
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