季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

教えたがり?出しゃばり?

2020年07月17日 | 音楽
知り合いの女性が最近YouTubeに投稿し始めた。30歳を過ぎてからドレミから習い、8年目にしてテンペストのフィナーレに挑戦している。嬉しかったのだろうか、譜面を今日から読むという段階から毎日上げている。

時々発表会などで聴いたことがあるけれど、仕上げに時間はかかるらしいものの、とても素直な良い演奏をしている。大学に勤めていた頃、試験のたびに苦虫を噛み潰したようになった意味のない堅苦しさが無く気持が良いのだ。

しかし何日か過ぎた頃何となく様子がおかしいのである。訊いてみたところ次のような次第だと言う。

コメント欄にテクニックについてあれこれ書く人が現れて、やれハノンを弾くが良いだの果ては教えてあげるだの、そんな内容だと言う。

彼女はごく自然な喜びをもって弾くのであり、自分をルビンシュタインと同列に置いているわけではない。僕にしてみれば最も質の良い素人なのだ。

そこへ冷や水をかけるようなコメントをする玄人だか素人だかがいるというのは信じ難い。

そうした人に限って自分のこととなると穴倉に閉じ籠っている。

似た光景はあらゆる処に見られるようだ。ホビーの領域でも参入する人が減る一方だそうだ。以前からやっている人が新参者に対し舌打ちしたりその人の持っている道具についてあれこれ言ったりして新参者にとって居心地悪い場となっていると聞く。

それでは確かに単純な楽しみは奪われてしまうだろう。単純な楽しみの先にしか高度な楽しみはないのである。そして難しいのは高度な楽しみの奥に単純な楽しみを失わずに持ち続けることだ。



著作権

2020年07月03日 | 音楽
YouTubeにシューマンのアレグロを上げたところ、著作権侵害云々という通知が来た。

当該箇所とやらを聴き直してみたが当然のことながら何もない。そこのメロディが誰かの作ったメロディと似ているのだろうか?

しかしそれならそちらがシューマンのメロディを盗んだのだ、逆ではあるまい。

検索して分かった?のはチェックは機械が自動でするということ。であるからこの通知が来ても思い当たる事がなければ無視して良いのだと。それでも気味が悪いのでアップロードを控えている。

思い出したことがある。

随分前のことだ。近隣の市の警察署から電話があった。その年の元旦夜どこを走っていたのかという問い掛けである。

僕はとっさに海外へ逃げようと思った。しかしここは落ち着きを取り戻し、その時間は多分A市を走行中だったと答えた。

ところがまさにその辺りで事故、ひき逃げがあった。しかも僕の乗った車種が目撃されているというではないか。

僕は動揺した。自慢ではないが僕は記憶力が弱い。もしかしたら警察の言う交差点を通ったのかも知れない。

色は?警察官は重ねて尋ねた。頭はフル回転したがどう答えたら良いのだろうと一言でいえば空回りしたのであった。

正直者の僕はシャンペンゴールドと答えた。それしか思いつかなかった。あとから考えるとすっかりひき逃げ犯モードに突入していたようである。

はい、ありがとうございました。警察官はあっさりと自白した。もとい、言った。何のことはない、目撃者によって車種も色も特定されているのであった。

僕はここでひき逃げ犯モードから解放されてひとりの人間として応対できるようになった。

いやぁ、大変ですなぁ、それにしても僕のボロ車と同じ型が同じ頃走るなんて奇遇ですなぁ、と軽口も飛び出した。

普段僕はそういった反応をする事はない。車で人や建物とぶつかった経験がないからもしやという自信のなさがもたらした態度だったのだろう。

今回のYouTube騒動も、ネット上の何が何だかわからない世界で何となく利用している不安定な心理があり、そのせいでアップロードをためらったのであろうか。