季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

ボクシングと音

2024年06月10日 | 音楽
ボクシングの井上尚弥選手は余りの強さ故このスポーツに関心の無い人にまで知られるようになった。先月のタイトル防衛戦も結果は圧倒的な勝利だった。

内外の往年の名選手、記者達から数え切れぬほどの賞賛が集まったのは言うまでもない。

その中で偶然目にしたアメリカの名トレーナーの発言がとりわけ関心を引いた。井上選手のパンチの音を聞いてみろ、こう言うのだ。音については会場で観戦した人々からもしばしば耳にする。

僕は会場で観戦したことはないので、ただうなづくしかないのだが、アメリカのトレーナーは続けて「大きな音がするのはダメなのだ。大きな音はエネルギーが散っていることなのだ。KOできるパンチではない」と言った。

僕が面白いと思ったのはこの点だった。ふと思い出したのは昔オーストリアでスキージャンプを観戦した時のことだ。着地が理想的に行かないとバタンという大きな音がする。綺麗な着地ではそんな音はしない。

そこから更にピアノで「鳴る」と言われる音は今では大きな音の事を言っているに過ぎず、スポーツにおける音の方が遥かに分かり易いではないかという羨望にも似た感情を持った。評論で鳴らしに鳴らしてなどの形容が何の疑問も持たずに許されるのが残念なのである。




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