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小説「第1部  ロシア動乱(スムータ)再び。 CIAによるプーチン失脚作戦」  越境攻撃の狙い

2023-06-05 13:47:54 | 軍事
筆者はhttps://blog.goo.ne.jp/ecaps16/e/03f0088c365950145d8ce0617fd9667a「ウクライナ危機PARTⅫ ロシア軍、崩壊か反乱の可能性。プーチンの短期決戦見積もりが大誤算。兵站が破綻し始めた。」で、ロシア分裂の可能性について言及した。
どうやら現実味を帯びてきたので、別視点から深堀してみよう。

そして起きるのは、「革命」ではなく「動乱」である。

◆小説「ロシア動乱(スムータ)再び。 CIAによるプーチン失脚作戦」

2023年5月22日、ウクライナ国境近くロシア南西部のベルゴロド州に装甲車両部隊が侵入、これをせん滅しようとロシア軍は砲兵、空軍に支援された約4200名、軍用車両約60台の部隊を投入した。これによりロシア国内で初めての地上戦が発生した。なお戦況は錯綜しており詳細は不明。ロシア側は「住宅35棟と行政庁舎が損傷した」、「ウクライナの武装勢力によるこうした行動には迅速かつ厳しく対処する」、「ウクライナ人数十人を殺害」、「侵入部隊をウクライナ国境まで押し戻した」と発表。ウクライナ側は関与を否定した。侵入部隊は、「打倒プーチン!」、「ウクライナに勝利を!」、「ロシアに自由を!」などを標榜する「自由ロシア軍」、「ロシア義勇軍」とみられている。

BBCニュースJAPAN 2023.5.23)


また6月1日にも越境攻撃があったとロシア国防省が発表した。同省によると、ベルゴロド州シュベキノ周辺で「親ウクライナ派武装勢力」によるとみられる砲撃とドローン攻撃が3回あり、いずれも撃退したという。この戦闘で侵入戦闘員を30人以上が死亡、4台の敵装甲車を破壊したとした。
ウクライナ側は関与を否定。

翌6月2日には、ベルゴロド州西側の隣接する3州、クルスク州、ブリャンスク州、スモレンスク州でも長距離ドローンや砲撃による小規模な攻撃があったが、死傷者や重大な事故の報告はなかったことは幸いだったと各州の知事や知事代行がウクライナを非難した。ウクライナ側は関与を否定。


●CIAとの会議

ウクライナ・キーフ。キーフ動物園から西北西約2km、シコルスキー通りに面したところに米大使館がある。

(Google Earth)


ロシアによるウクライナ侵攻の10日前、米国は一時的に大使館機能をリビウに移した。所在地は秘匿された。職員はポーランドなど国外から通勤することになった。だが空襲はあるものの侵攻はやがて頓挫。北からキーウに接近したロシア軍は押し返された。東部・南部から迫ったロシア軍もウクライナ軍の頑強な抵抗で遅々として進まなくなった。

ロシアは失敗した。我々はキーウに帰る
2022年5月頃から欧州各国は続々とキーウで大使館業務を開始した。
ロシア侵攻から約1年半近くになり、米・在ウクライナ大使館はおおいに増強された。まず空襲に備え地下施設が増築された。そして陸海空のC3I(指揮・統制・通信and情報)の強力な部隊・機関も米本土から派遣・移動してきた。大使館員たちは「まるでミニ国防総省が引っ越ししてきた」と噂していた。


大使館のエレベーター地下2階まで降りて、分厚い透明防弾ガラスで囲まれた歩哨ポストの前で、長身のキース・ピクスビー米・在ウクライナ大使はセキュリティーカードをカードリーダーに通した。
「やあフレッド。当直か?」大使は防弾ガラスの向こうのMP二等兵に声をかけた。
「おはようございます、大使。もうすぐ交代です」
「おつかれ、ゆっくり休んでくれ」認証OKが表示されて、開いた検問ゲートのドアを通り抜けながら、キースは二等兵に向かって片手を挙げながら言った。
「そうします」

キースが会議室のドアを開けた。20名ほどが入れる会議室だった。大小のモニターが壁とテーブルに4つ。テーブルの中央には音声会議用装置も置かれていた。部屋には6人の男がテーブルに座っていた。キースが会議室に入ると全員がドアのキースに顔を向けた。
「おはようございます。大使」キーウ支局長のフィリップ・パークスが声をかけてきた。他の者もボソボソと挨拶をした。
「遅れて申し訳ない」キース大使はスタッフ会議で遅れたと言い訳をした。
「これから始めるところです」如才ないパークス支局長が答えた。キース大使が席についた。


<メンバー紹介>

パークス支局長がメンバーを紹介した。CIAには作戦、情報、科学技術、行政の4本部があるが、5人は作戦本部のエージェントと工作員だった。1人だけロシア人が混じっていて、元SVR(ロシア対外情報庁)の職員だったという。
特別行動センター長のマシュー・ヘンリーは米本土ラングレーからオンラインでの参加だった。

(画像生成AIで作成)


作戦本部
・欧州部長:ジェイ・シーキンズ
・キーウ支局長:フィリップ・パークス

 ・SACセンター長:マシュー・ヘンリー(オンライン参加)
  ・SOG(特殊作戦グループ)
   地上班指揮官:ウォルト・ジェナー
   地上班チーム・ナンバー2(装備と特別プログラム部門):クリス・トラバース

  ・PAG(政策行動グループ)
   指揮官:ルーカス・レンフロ
   ロシア人協力者:フョードル・ザハロフ


注:SAC(特別行動センター)。氏名(Mグリーニー、Tクランシー「米露開戦」他から借用)

<ベルゴロド越境攻撃の戦況:少なくとも5エリアを占領>

(Wiki 「2023年ベルゴロド州への攻撃」)


メンバー紹介に続いて、モニターの前に立ち戦況図を示しながら越境攻撃の戦況を説明した。
「ご承知のとおり今回のウクライナ北部国境に隣接するロシアのベルゴロド州、クルスク州、ブリャンスク州、スモレンスク州での攻撃は、元ロシア兵が中心となっている「自由ロシア軍団」(リーダー:イリヤ・ポノマレフ)と極右のロシア人が集結して立ち上げた「ロシア義勇軍団」によるものです」

「兵員数としては中隊規模クラスの自由ロシア軍団とロシア義勇軍団との連合部隊は、2023年5月22日1200から翌23日2200の間に、ロシア・ベルゴロド州のシチェティノフカ、ゴルコフスキー、コジンカ、ゴーラ・ポドル、グロトヴァを占領し、引き続き交戦中です」(Wiki)


<反プーチン組織結集のためのリクルート継続中>

「かれらを一本化・組織化して武器装備を支給・訓練したのがSOG地上班の指揮官、彼、ウォルト・ジェナーです。ウォルト、説明してくれ」パークス支局長はテーブル対面のジェナー地上班チーム・リーダーにバトン・タッチした。

元レンジャーで長身痩躯のジェナー指揮官がリクルート現況を説明した。「自由ロシア軍は去年の3月、ロシア義勇軍は去年の8月に立ち上がった組織です。我々がリクルートしているロシア人反政府組織はこれだけではありません。他にも、去年8月末にプーチン寄りのロシア極右思想家アレクサンドル・ドゥーギンの娘を自動車ごと爆殺した「国民共和党軍」とも連携をしています。またロシア国内で閲覧されているテレグラムにもリクルート動画を継続して流していて、国外に脱出したロシア人やロシア国内からの反応も続いている状況です。

自由ロシア軍団、ロシア義勇軍団、ロシア国内の反体制地下組織への武器・装備等の提供、ウクライナ軍への反ロシア軍団移動等の情報連絡・補給支援要請および調整、越境ロシア州での情報収集、リクルート補充兵の身元調査などを担当しているのがASPB(Armor.and.Special.Programs.Branch)です。こちらにいるチーム・ナンバー2のクリス・トラバースが担当しています」ジェナーが隣に座るクリスを紹介した。そして目で続きの説明するよう合図した。


<越境攻撃の狙い>

中肉中背だががっちりした体格のクリス・トラバースがモニターの前に行き説明を始めた。
「今回の越境攻撃の狙いはいくつかあります」モニター画面にパワーポント資料が映し出された。

① ロシア国内ももう安全ではない。ロシア国内の不安醸成。
② ロシア軍の戦力分散。ベルゴロド州、クルスク州、ブリャンスク州、スモレンスク州にも国境警備兵力を割かせる。
③ ベルゴロド州を現ロシアから解放。自由ロシア共和国(仮)を樹立。反体制・反プーチン勢力の集結地として宣伝。


(Wiki 「2023年ベルゴロド州への攻撃」)


<グレイヴォロンの戦い> Novaya Gazeta Europe2023.5.25(越境攻撃に参加した人物へのインタビュー)

「今回の越境作戦は来る反転攻勢の一環でもありますが、「ロシア国内を攻撃しない」というウクライナ側ドクトリンを堅持するため、ウクライナ軍の戦闘支援のない厳しい侵入攻撃になりました。

ウクライナ側の砲兵支援があれば、グレヴォロン国境付近の防御態勢を簡単に破壊できたのですが、彼らは120mm迫撃砲で対処しながら前進、国境検問所までの道路は対戦車豪で通過できず、迂回して畑を横切ることになりました。悪いことに侵入前夜の悪天候のため、ぬかるみに行動を阻まれる悪条件が重なりました。

国境警備はコンクリート壁、30mm砲と重機関銃装備の4ないし5台のBTR-90(装輪式水陸両用装甲兵員輸送車)と国境警隊が守備していましたが、戦車2両を先頭に前進すると、ロシア側は全員逃げ出しました。検問所制圧後、周囲の民間人に家から出ないよう警告して、コジンカ、グロトヴォ、ゴーラ・ポドル制圧に分散して発進し占領。作戦開始から数時間後、砲兵、Su-25(攻撃機)、戦闘ヘリに支援されたロシア部隊が反撃を開始したので、越境攻撃軍団は一旦国境付近まで後退しました。

彼らには対空車両、対戦車車両がないので仕方がないことです。その代わり彼らには携帯式のスティンガーやジャベリンをたっぷり支給しています。グレイヴォロン近くで敵ヘリMi-8(武装輸送へり)を撃墜したようです。なかなか上手く使用して対抗していますよ」
「なぜ対空自走砲車両など支給してやらないのだ?旧式の在庫もないのか?」キース大使が疑問を発した。
「支給しないのではなく、支給してもすぐには使えないのです。これはF16提供問題と同じ問題です。高度に機械化された兵器は全て英語仕様でできていますから」ジェナー指揮官が答えた。大使もすぐ自身の愚問に気づいた。「そうか。習熟問題か」


<越境作戦でのCIA地上班の狙い>

「反ロシア軍団への武器供与の見返りとして要求しているのは、ロシア側情報の収集です。CIAとしてはグレイヴォロンにある

・行政庁舎(内務省の現地本部、FSB治安局)の情報
・ベルゴロド22核保管施設の情報


ですが、今回は残念ながら上手くいきませんでした。
FSB庁舎の占領はしたのですが、ロシア軍は砲撃で破壊してきたのです。民間人の死傷者も出たのですが、彼らは意にも介さない攻撃だったようです。ロシア軍は庁舎も民間施設も区別なく地域一帯を砲撃してきたようです。

それと核施設の占拠・搬出は彼らだけでは当然無理と分かっていたので、せめて情報だけでもと考えていましたが、どうやらロシア側が搬出を始めたようです。

鹵獲兵器はBTR-80 、BTR-82(装甲兵員輸送車)、R-330Zh(電子戦ジャミング通信ステーション車)。
情報対象としては国境検問所制圧時に鹵獲した文書類や地下室に隠れていた国境警備隊員の捕虜が戦果として報告されています」
「宝物の情報が掘り出されることを願うよ」僅かな戦果報告にがっかりするCIAメンバーに、いい言葉が見つからなかった。


<越境作戦でのPAGの狙い>

「ルーカス、君からの報告は?」モニター画面のSACセンター長、マシュー・ヘンリーが話題を変えるために、PAG指揮官、ルーカス・レンフロに発言を促した。切れ者と噂のレンフロが慌てることもなく徐に口を開いた。
「まず鹵獲した文書類の分析結果と国境警備隊員の捕虜の尋問をしたいと思います。国境警備任務はFSBの担任ですから、こちらのフョードル・ザハロフ氏に同席してもらい、通訳と情報評価を兼ねてもらいながら、グレヴォロンスキー地区、ベルゴロド州、FSB関連の情報を収集分析したいと思います。

これから取集できる情報を加味しながら、自由ロシア軍団、ロシア義勇軍団が占領した地区の住民への慰撫作戦を展開して味方を拡大していく案を練っています。
親軍団、親ウクライナ、反プーチンのプロパガンダ拡散も同時並行で行います。ウクライナでのロシア軍による残虐な戦争犯罪行為も各メディアを通じて広報していきます」卒なく答えるルーカス。

「ロシア大統領選は来年2024年3月だ。プーチンを失脚させるポイントは2つ。

・ウクライナ反転攻勢でのロシア軍敗退
・ロシア国内の社会不安増大、プーチンの威信失墜


が不可欠だ。のんびりする時間はないぞ。もっと社会不安を煽る具体策を考えろ!」海兵出身のマシューは、ルーカスのようなハーバード大を鼻にかけて他を見下すような雰囲気の男が嫌いなのだ。
ルーカスは大勢の前で恥をかかされて怒りを覚えたが、内心を抑えて答えた。
「そうですね。ロシア南部の州が越境した侵入者に脅かされていることを煽るために、生成AIで作ったプーチンの声で戒厳令や総動員令を放送するのはどうでしょう?」
「すぐにできるか?」
「できます。科学技術本部の技術システム研究・開発部と国外ラジオ放送部と事前に話していて、ハッキング・メニューに入れてあります」
マシューはルーカスの抜け目なさに舌を巻いたが、ルーカスの頭の良さは認めざるを得なかった。

(NHK ニュースウォッチ9 2023.6.6)



<SBU(ウクライナ保安庁)とは必要な時のみ連携>

「SBUとはどう連携している?」ピクスビー大使が訊いた。
「ソ連・ロシア時代から旧KGBの体質を受け継ぐ機関ですから、ロシアとの二重スパイが隠れている懸念があります。かれら(SBU)も我々(CIA)も秘密工作を行うので、情報漏れを防ぐにはお互い知らない方がいいという非公式な基本合意ができています。
重要なヒューミント(人的)情報の共有や相手方の支援が必要な場合のみ、その都度お互いの関連部局間で調整するという取り決めになっています」マシューSACセンター長が答えた。
「ただC3PY(ウクライナ対外情報庁:2004年にUSBから対外諜報機能が分離)のSSSCIP(ウクライナ国家特別通信局)とはNSAがシギント・エリント共有を担当しています」

注:NSA(国家安全保障局)、シギント(通信傍受)、エリント(レーダー波・ミサイル誘導電波などの電子情報傍受)

(ナショナルジオグラフィックCH「アメリカ国家安全保障局」)



<反転攻勢作戦とプーチン失脚作戦、そしてクレムリン突進作戦>

「ピクスビー大使。以上が反転攻勢へのCIA担当の「形成作戦」の現状です」マシューが説明した。
「ありがとう。マシュー。概況は理解できたよ」キースが感謝した。
「では私の方から、反転攻勢作戦とプーチン失脚作戦の概略をご説明します」
「ワクワクするね」
「ただプーチンは失脚しても亡命する可能性があります」
「それはまずいな。あのクソ野郎に天寿を全うさせてはいけない」
「同感です。そのため失脚時にすぐさま「クレムリン突進作戦」を発動して物理的に「消去」することも視野にいれています」

続く。


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