中野笑理子のブログ

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北海道からの電話

2017年11月18日 | 日記
実家で昼食の支度をしていた12時前、固定電話が鳴りました。
自宅ではスマホで事足りるので固定電話が鳴ることはめっきり少なくなりましたが、実家の固定電話は日に数回は着信があります。

デイサービスの送迎の連絡以外は殆どが勧誘電話ですが、着信番号をクグってみるとリサイクルショップ(貴金属の押し売りならぬ押し買い)に通販型の生命保険会社、ネット設定サービス会社などが多いです。
万が一、母がひとりの時に出てしまい何かを買ってしまったり、生命保険の契約書が届いたりすると後々面倒なので、それらの番号はすぐに電話機の着信お断り設定のお断り番号に登録します。

母が気づく前にいち早く受話器をとった瞬間、私はターミネーターのように82才の老女の声色と口調に変身しました。
すると少し訛りのある話し方の若い女性の声で「もしもし、お母さん?」と言うではないですか。
これはオレオレ詐欺ならぬ新手のワタシワタシ詐欺か? と、思わずワクワクドキドキ。
「北海道からかけてるんだけどぉ」
はて、母をお母さんと呼ぶほどに親しい北海道在住の娘さんの知り合いがいるとは、聞いたことがない。
しかも受話器の向こうからは娘さんの声以外に、電話をしている多くの人の声が聞こえる。
ははーん、これは勧誘電話だな。
名前を訊くと、おぐらひなこですと名乗り、ひなちゃんって呼んで、と言い、お母さんには前にお世話になったから電話したと言うのです。
面白そうなのでハイハイと素直に娘さんの話を聞くと、カニの販売勧誘でありました。
こちらに口を挟む余地を与えない立て板に水のマニュアルトークで、5Lサイズの冷凍ズワイガニを送料込み15000円の着払いで送るので、到着日はいつが良いかと訊くのです。
到着日も何もこちらは買うとも買わないとも言っていないのに、お母さんには前にお世話になったからと親切をチラつからせながらも流暢に具体的な日にちをあげて、こちらが何か言おうとすると「1番早くで23日だけど、いいかなぁ?」と甘えるような優しげな口調で訊くひなちゃん。
ここで思わずハイと言ってしまったら売買契約成立とばかりに電話を切られて、後日5Lどころか解凍したらカニの匂いの塩水しか出て来ないような冷凍カニが送られて来て15000円を払う羽目になってしまう。
ひなちゃんはきっとベテランなのでしょう、思わずハイと言ってしまうような達者なしゃべりなのです。

私は心を鬼にして言いました。
さっき息子から電話があって100万円宅急便の人が取りに来たから、お母さんもうお金ないのよ~。
一瞬の間があり、そうなの~、残念だけどじゃあ仕方ないね~、とオレオレ詐欺は完全スルーで、ひなちゃんは電話を切ってくれたのでした。
ひなちゃんの番号を、そのあとすぐに着信お断り設定に登録したのでありました。