
わたしはタクシードライバー。少女時代からレディースに入り、原チャリで何度も免停を経験し、現在は二種免許を取ってドライバーをしている。

ドライバーは一日中、街中を駆け巡る。男であっても女であっても駆け巡る。

わたしはレディースにいた頃から駆け巡っていたが、ドライバーはとにかく駆け巡るのだ。

駅で待機していると客がくる。客がくればわたしは乗せる。

「お客さん、どちらまで?」
「あの、ソ、ソソソ、ソープランドまで」
「どちらのソープランドですか?」
「あああ、あの、この街、初めてなので」
「運転手さん、ソープの場所、教えてください」
「承知しました」
ドライバーの仕事は楽しい。わたしにとって天職だ。わたしも客も楽しさを求め乗車し、観光地案内やグルメなお店探し。そしてソープランド巡り。わたしは客の要望に応えるためにおすすめの場所まで駆け巡るウーマンドライバー。
アンルイス 恋のブギ・ウギ・トレイン
![]() | 恋のブギ・ウギ・トレイン |
クリエーター情報なし | |
PASSION |





「お客さん、こちらです」
「ありがとうございます」
レディース時代のダチが働いているソープランドを紹介してやった。

けど、わたしは男が嫌いだ。もの心ついた頃から男という人間が嫌いだった。レディースに入ってた頃は、無我夢中でレディースの仲間とで男たちとタイマンの日々。あの頃、わたしはレディースが楽園に思えた。

「はあー今日の仕事は終わりだ」

わたしは仕事を終えると急いで家に帰るのだ。

家には旦那が待っている。旦那?どうして、わたしに旦那がいるかと?わたしにだって旦那ぐらいいるわよ。

男嫌いだったわたしを唯一恋に落としたわたしの旦那。彼はサラリーマン。ある日、彼はわたしのタクシーに乗車し、ハプニングバーを訪ねた。わたしはハプニングバーがわからず、ラブホテルの前で止まった。その時、彼との恋が始まり、そのまま彼とゴールイン。男嫌いのわたしにハプニングが起きたのだ。

わたしは旦那が待つ家に帰ることがなによりの幸せ。
「ただいま、あなた」
「おかえりー」
「今日は何して待ってたの?」
「いつものように暖炉の前で暖まってたよ」
「まるで子猫ちゃんねー」
「一日中、暖まってたの?」
「そうだよ、一日中」
「サラリーマン、お疲れ様」
わたしの旦那はとてもやさしい。けっしてわたしに怒ったりしない。家ではいつもジャージを着ていて、暖炉の前で一日中ぬくぬくしているサラリーマンなのだ。

そんなわたしの家にも天敵がいる。

わたしの姉。旦那がわたしの家に来てからも、家から出ていかないでいる居候なのだ。

「ご飯先に食べたから」
「そう」

「あなたたちの分も作ってあるから、早く食べて」
「あと、お風呂沸いてるから」
「そう」

姉はわたしと違って男好きで肉食系女子。わたしの居ない間に旦那を誘惑してるんじゃないか?と思うと、運転中もおちおちと眠れない。
「それがわたしの不安な種なのだ」

つづく
次回
うーまんどらいばーリンダ