前回
⑨ニートクリスマス番外編 ハートで勝負
「話した?」
「話した」
「じゃ、次は」
彼女と新しいオンラインゲームを始め、俺は彼女と同じぐらいのレベルになっていた。急いで彼女に追いつこうと必死にレベルを上げていたが、レベルが近づくにつれ彼女はなんとなく不機嫌な気がした。ときどき、彼女の会話に「いきなりレベル上がるのは好きじゃない」とか「少しずつ上げるのほうが楽しいから」と、彼女なりの主張を語っていた。
それでも俺は彼女に追いつき追い越せと、彼女がログインするまでにレベルを上げ、新しいオンラインゲームについていった。
目が覚めてからオンラインゲームにログインし、一通りのことをやり、その後は彼女がログインしてくるのを待っている日々が続いた。彼女は以前、夕方に一度ログインしていたのにこの頃は夜中からログインしてくることが多くなった。
「こんばんはー」
「カノ、仕事帰りか?」
「うん、お邪魔しまーす」
「なにやってるの?」
「オンゲー」
「座ってるだけじゃん」
「人待っててさ」
「ふーん」
「最近はどうだ?」
「今度正社員になった」
「へー正社員か、よかったじゃん」
「アパート探そうと思ってて」
「アパート?なんで?」
「弟が結婚するから」
「!!」
「結婚って、弟がか?」
「できちゃったようで・・・」
「もしかしておなかにか?・・・」
「うん」
「いつ頃式挙げるんだ?」
「まだ、細かいことは決まってないけど」
「アララギも来るでしょ?」
「お、俺が!なんでさ」
「あたしからの招待」
「弟の結婚式に俺がか?」
「カノの知り合いで誰か来るのか?例えばクドウとか?」
「弟の結婚式にクドウが来るわけないでしょ」
「なんで俺が弟の結婚式に行くんだよ」
「来てほしいから」
「弟にも、お父さんお母さんにも言ったよ、あたし」
「披露宴だけじゃないから、言っておくけど」
「神主とかいる、あの席にもか?」
石野真子 プリティープリティー
プリティー・プリティー | |
クリエーター情報なし | |
Victor |
「わかってほしいんだけど」
(カノは表情を硬くした)
「当然でしょ」
「わかってほしいんだけど」
「おい!ちょっと」
「カノ!」
(カノは突然俺の足を抑えズボンを下げようとして・・・)
「カノごめん、式には行く」
「ごめん、カノ」
俺とカノは収まりがつかなくなっていた。
「俺たちまで、できちゃったはマズイよ」
「これゴムだから、つければいいし」
かつて子供の頃、アマゾネス軍団と呼ばれ、野性味にあふれていたあのカノが、俺の前で蘇った。
「ごめん、ちゃんと行くから」
「弟の結婚式に」
「アパート探さないと」
「せっかく正社員になったんだから、続けないとな」
「じゃね、あとでまた報告するから」
「うん、おやすみ」
「おやすみ」
「こんばんは、遅くなった」
「こんばんは」
「ここから見る景色、綺麗だよな」
「そうだね」
続く
次回
⑪ニートクリスマス番外編 明日になれば