スギやヒノキ等の人工林が利用期を迎えつつある中で、効率的な木材生産の実行が林業再生に向けた重要な課題となっています。また、森林資源の循環利用・林業の成長産業化に向けては、現実の森林資源の量や質等をより正確に把握することが必要です。
近年の情報通信技術(ICT)の進展に伴い、森林資源情報の把握や林業経営の効率化にICTを活用する動きが国内各地で始まっています。
従来の森林調査は、立木の形状(直径や樹高等)を人間が目で見て測り、記録・計算する必要がありましたが、森林計測においても、レーザ計測のデータ解析技術の進展は著しく、計測やデータ処理は大幅に省力化されたこと等から、森林情報把握の効率化や木材生産の収益性向上等へ活用が期待されています。
10月13日(金)に出雲市多伎町において、「森林3次元計測システム(OWL)」実演会が開催されましたので参加してきました。
OWL(開発製造:株式会社アドイン研究所)は、レーザ計測装置と専用ソフトを使用して、森林を計測し解析するシステムです。
赤外線レーザ装置による計測状況(1地点での計測時間は45秒)
この日は、面積400m2(20m×20m)のヒノキ人工林を9地点で計測しましたが、PCでの専用ソフトによる解析時間はわずか4~5分でした。(現場での計測時間は、林内の移動時間を含め15分程度でした)
解析結果としては、胸高直径・樹高・材積・矢高(曲がり)などがリスト化されたほか、立木位置図、3次元立木マップなども表示されました。
3次元立木マップの例 OWL(株式会社アドイン研究所) パンフレット画像
人力による森林調査(計測・結果整理)に比べると、格段に短時間で効率的に処理できるこのシステムに感心させられました。また、3次元立木マップ等の機能は森林所有者等への説明にも有効なツールになると思いました。
森林のレーザ計測を始め、ITCを活用した林業の展開・普及が、林業の成長産業化や若い人達が林業に参入しやすい環境に繋がることが期待されます。