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『90分でわかるデカルト』

2004-11-28 01:36:09 | よむ
本当に90分かかりませんでした。親切な本です。

有名なフレーズや名前のおかげで何となく知っているようで、
その実知らないことってわたしにはたくさんあります。
英語の試験でデカルトについての英文が出題され、
改めてデカルトの人物像を知りたくなりました。

小さい頃に読んだ伝記を思い起こす本でしたが、
内容はなかなか。
さくっとではありますが哲学の流れと思想の背景がわかりやすく書かれてあります。

『方法序説』について、特筆すべきはその叙述スタイルにあるという指摘に興味を惹かれました。

「考えてもらいたい。いままで誰も到達しなかったような独創的な哲学的洞察を得たとしよう。
これを人々に伝えるにはどうしたらよいだろうか?誰もが理解できるくらい明瞭に書くにはどうしたらよいだろうか?途方もなく難しい問題である。」(p.46引用)

自分の思考のプロセスを分かりやすい文章で自伝的に仕上げることによって
デカルトはこの問題をもっともシンプルな方法でクリアしたと作者は言っています。

ポイントは、読者にその思考が「何だ、たわいもないことじゃないか。ぼくだってそう思うよ。」(p.47引用)と思わせるところだそうです。

今日はもう一冊『悪の対話術』(福田和也著・講談社現代新書)を読み終える。
悪と銘打ってはいるが伝統的正統派の視点から現代が分析されている。
特に最終章で指摘されていた「自意識」と「自己愛」と「対話」の関係は、
わたしにとっても生き生きとした問題であり、目指すべき方向のひとつを
明確に言葉にしてくれている。


『90分でわかるデカルト』ポール・ストラザーン著・浅見昇吾訳・青山出版社

秋の夜長にこの一冊