みたり*よんだり*きいたり*ぼぉっとしたり

映画のこと、本のこと、おもったこと。

あなたの傍にいたい。

2004-12-10 13:08:01 | みる
光の加減で頭髪の中にきらりとする白い一本を見つけることが、わたしには怖ろしいことだった。
夕方に化粧を直そうと鏡をのぞいた時、意外なほど疲れが出ている顔に、思わず目をそむけた。

わたしは若さを失うことを受け入れることができなかった。

もう本のタイトルも忘れてしまっているが、
森瑤子が”38歳を境に男の目が私に留まらなくなった”その愕然とする瞬間を鮮やかに書いていたのを、20代の頃に読んだ。

男の視線で自分が支えられている。

そんなものが?!
とわたしは思わない。
そんなものが支えになっているから揺らぐんだ、
といえば確かにそうだろう。

性的な男の視線をうざいと感じそれを跳ね返すように生きる若い世代の女性を、宮台真司は指摘している。
そういう意識の持ち方もあるのだ、と気づいたときには、
すでに男の視線を自分の内に取り入れることとわたしという存在は深く結びついていたのだった。

『恋愛適齢期』でジャックニコルソン演じるハリーは言う。
「君と居ると愉快だ」
30歳以上も歳の離れた美女を次々と恋人にするハリーが、
思わぬアクシデントのために50代のエリカを演じるダイアンキートンと時間を共にして、
そのエリカにつぶやく言葉だ。

『恋愛適齢期』ナンシー・メイヤーズ*ジャック・ニコルソン*ダイアン・キートン