無残な姿 ~海上護衛艦、関門海峡で衝突
[発信!北九州] 2009年10月28日
10月27日午後8時前、北九州市と山口県下関市を結ぶ関門海峡で、海上自衛隊佐世保基地所属の護衛艦「くらま」と韓国籍のコンテナ船「カリナスター」が衝突、両船で火災が発生した。
コンテナ船「カリナスター」は、間もなく火は消し止められ、護衛艦くらまは午後11時20分頃までに鎮火、28日早朝に門司港に接岸した。
護衛艦「くらま」は10月25日に相模湾で行なわれた第26回自衛隊観艦式を終え、佐世保基地に帰港する途中であり、ナムソン海運が所有する「カリナスター」は釜山港から大阪へ向かっていた。
現場となった関門海峡は右側通行が原則。海上衝突予防法では、対向してくる船と接近した場合、双方が右に舵を切って衝突を回避すると定められている。護衛艦「くらま」の艦首部分は左から右に衝突を受けたような破損状況のため、くらまの左前方から来たコンテナ船と衝突した可能性が高い。貨物船は右船首部分が大破しており、くらまは船首が大きく損傷している。
幅600mしかない航路を「くらま」が航路中央左側に寄りすぎて航行していたのか、貨物船が航路中央の左側に舵を切った可能性など、あらゆる角度から今回の衝突事故の検証が行なわれる見込み。なお、28日午後より事故調査委員会による現地調査が開始される。
今回の事故は自衛隊側の責任ではないかもしれない。
然しながら、曲がりなりにも軍艦が、民間の輸送船にぶつかられて、
民間船以上のダメージを受けてしまうと言うのはどう考えたら良いのだろう?
軍艦と言うのは、有ってはならない事ではあるが日本が軍事攻撃を受けた時に、対処する事を前提に作られている船のはずである。
戦闘態勢の時には、相手船は積極的にぶつかってくる事も想定されるはずである。
それなのに、自衛隊の海上護衛艦が平和な自国の海で、外国の貨物船にぶつかられただけで、
船の中でも一番頑丈に作られているはずの船首部分に、悲惨なダメージを受けてしまうとは!
造られて30年以上になる老朽船であるとは言え、
先日観艦式の式典に選ばれて出て来たばかりの、バリバリの現役の船であったはずである。
補修や補強の予算は、充分に取ってあった筈であろう。
それが今回の事故で、自衛隊の装備は見掛けは立派でもすぐ破れる、
張子の虎のような体たらくであった現実が、白日の下に曝されたのである。
一事が万事で、この手抜き体質は自衛隊の装備全体に及んでいるのかもしれない。
普通の船にぶつかられただけで、大破するような船をちゃんと修理もしないで、麗々しく観艦式までさせるようないい加減な管理状態の下、
防衛力増強と言ってやたらと武器の種類ばかり増やしても、どうなるものでも無いのではないだろうか?
出入り業者との馴れ合いから、検査をいい加減にして見逃す体質が出来ていたと見られる今回の事故を期に、徹底的に自衛隊の設備全般を細部に亘って検査しなおして、悪徳業者の排除と場合によっては処罰を、徹底的に行わねばならないのではないだろうか?