京都新聞3月13日朝刊2面に、下記の記事が載っていた。
米国牛肉の輸入制限撤廃を 上院有力議員が対日決議案
米上院農林委員会のリンカーン委員長(民主党)とジョハンズ委員(共和党)は 12日までに、米国産牛肉の輸入制限撤廃を日本に求める決議案を提出した。 委員長の声明によると、超党派の上院議員17人が共同提案者に名を連ねている。
米議会は大規模リコール(無料の回収・修理)問題をめぐり、トヨタ自動車を厳しく 批判したが、4月に予定されるビルサック米農務長官の訪日を前に牛肉問題で 対日圧力を強める可能性もある。
日本は米国で牛海綿脳症(BSE)感染牛が見つかった2003年末に輸入を停止。
現在は生後20カ月以下の牛に限り輸入している。決議案は日本に対し、直ちに 市場参入機会を拡大するよう要求。輸入制限緩和を日本に働き掛けるようオバマ 政権に求めた。
リンカーン委員長は声明で、日本の輸入制限などにより「米国の牛肉生産業者は 03年以降、年間平均14億ドル(約1270億円)の損失を被った」としている。
2003年にアメリカでも狂牛病(牛海面状脳症)が見つかったから、日本はアメリカの牛肉の輸入を取りやめたのであった。
生後20ヶ月の牛に限ってなら輸入すると決めたのも、アメリカの絶っての要請で、
日本側が譲歩して、生後20ヶ月以下のものならばという事になったのであった。
それをリンカーン委員長は、
日本の輸入制限などにより「米国の牛肉生産業者は
03年以降、年間平均14億ドル(約1270億円)の損失を被った」としているのだそうである。
狂牛病という世界的に恐れられている病気を持った牛が混じっているのが分かったから、
狂牛病かどうか検査した上でだったら、輸入しても良いと言うのを、
牛の数が余りに多数であるから、検査する事はできないという売り手側の都合から、
生後20ヶ月未満の牛ならば、条件付でか買うことにしただけであって、
何も無いところに、日本が身勝手な条件を突き付けた訳ではなかった。
そういう事情が分かっていながら、まるで日本が我侭を言うせいで、
アメリカの畜産農家が、損害を蒙ったと言うような主張を、
アメリカ人は恥ずかしげもなく国会で演説するし、
日本に条件撤廃を強制せよと、決議案を提出して大統領に迫っているのである。
トヨタ自動車の不具合の所為で、人身事故が起きたと言って、
アメリカは国会で被害者に訴えさせ、
被害者の涙に、議員達は人の命の掛け替えの無さを、確認したばかりであったはずなのに、
狂牛病にかかることを恐れて、アメリカ牛を食べない自由を、日本人には許すなと、大統領に迫るというのだろうか?
数年前毎日放送の「ちちんぷいぷい」という番組でしていた、アメリカの驚くような訴訟事情を思い出す。
原告は泥棒をするために忍び込もうと被告の家の屋根に上ったところ、
屋根が腐っていた為に、足をとられて屋根から落ちてしまった。
被告人の屋根の管理の悪さが原因で、原告は大怪我をしてしまった。
だから、原告は被告人に治療費を払え、という訴えをしたのだそうである。
他人の家の屋根に、泥棒目的で上って、足を滑らして怪我をした時、
それを屋根の根太を腐らせたままにしていた、家主の所為で怪我をしたと、
訴えれる者や、その訴訟を引き受ける弁護士にも呆れたけれど、
それ以上に呆れたのは、この訴訟の判決である。
泥棒目的で屋根に上って怪我をした原告に、
泥棒に狙われただけの被告人は、治療費をはらわねばならないと、
裁判官は判決を下したのだそうである。
狂牛病の恐れの或る牛肉を買わなかったら、
「お前が買わないから、牛肉生産者は毎年14億ドル損をしている。」という主張をする人々と、
この屋根落下事件の原告側の人々との間には、
一脈通じる気風が有るような気がしてしまう。
トヨタ自動車が、数年後に、
アメリカがトヨタのが自動車を買わないから、トヨタ自動車は年間XX億ドルの損害を蒙ったと、
日本の国会でアメリカを非難したとしたら、アメリカ人はどう思うだろうか?