第11管区海上保安本部(那覇市)によると、12日午前3時8分から同5時59分頃にかけ、沖縄県石垣市の尖閣諸島・久場島沖の接続水域(領海の外側約22キロ)内に、中国海警局の公船2隻が入った。同日午前9時現在、すでに同水域内に入っていた2隻を含め、計4隻が魚釣島沖の接続水域内を航行している、12日午前8時35分頃には、同県・久米島沖の排他的経済水域(EEZ)内で、中国の海洋調査船がワイヤ状のものを海中に投入しているのを海上保安庁の航空機が確認。同11時半現在、EEZ内で活動している
中国はリオデジャネイロオリンピックが開幕した5日から、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の接続海域に中国公船を送り込み、領海侵入を繰り返した。周囲には中国漁船300隻も航行、民兵が乗る船もある。公船には機関砲のような武器が確認されている
今年3月、陸上自衛隊の駐屯地が開設され、尖閣有事の緊張が続く中国に最も近い「国境の島」でもある。これまで沖縄本島以外の南西諸島に自衛隊の基地はなく、離島防衛の「空白地帯」だったが、基地誘致をめぐる昨年2月の住民投票で賛成派が勝利、戦後初の自衛隊配備が実現した、自衛隊誘致を推進した与那国町の外間(ほかま)守吉町長は2005年の就任以来、人口減少が止まらない島の厳しい現実を訴え、誘致による町の活性化に島民の理解を求めた、「もともと私の前任だった尾辻(吉兼)町長が『この島には警察官2名、2丁の拳銃しかない』と離島防衛の現実に誰よりも危機感を募らせ、自衛隊誘致の話が持ち上がった。でも尾辻さんは志半ばで亡くなられ、バトンを引き継いだ私も、過疎が進む島の活性化のために自衛隊誘致が必要だと思うようになった」、いま島には全人口の15%を占める自衛隊関係者が移住し、隊員の子供たちが島の学校に転入したことで、長く続いた複式学級が解消された。むろん消費も活発になっており、本年度は約3千万円の税収増を見込んでいるという、沖縄の本土復帰の翌年、与那国町議会は自衛隊配備要請決議を可決した過去がある。それから43年。ようやく実現した自衛隊誘致が、新たな火種となって今も燻り続けている。
(iRONNA編集部、川畑希望)