文部科学省によると2月15日現在、85大学がウクライナ人学生423人を受け入れている。その8割、336人は短期留学生や科目等履修生、聴講生など卒業を目指さない「非正規生」だ。
短期留学生の在学期間に法令上の定めはないが、1年以内としている大学が多い。日本政府はウクライナからの避難者に就労も可能なビザを発給しており、在学期間の終了が直ちに帰国を意味するわけではないが、戦争の長期化で、大学の避難学生支援は新たな局面を迎えている。
昨年9月から半年の予定で2人を非正規生として受け入れた東北学院大(仙台市)は4月以降も在学を認めるが、担当者は「避難学生はいつかは進学や就職などを選択しなければならなくなるが、その支援や指導は経験がなく、手探り状態だ」と明かす。
支援資金の確保も課題だ。
埼玉大は、大学の基金を取り崩しながら、避難学生3人に月額9万2000円の生活支援金を渡している。15人を受け入れている京都大では、寄付金から1人あたり月8万円の生活費を支給している。
難民の留学支援を行っている一般財団法人「パスウェイズ・ジャパン」の石井宏明理事は「大学側は、避難民の学生が当分帰れないという前提で責任を持って受け入れる必要がある。本人の希望をくみ取って次の道を探して支援すべきだ」と指摘。同法人は今月18日、避難学生の集会を都内で開き、進学や就職相談に乗る。
■編入や大学院進学も…ICUに通う5人
日本の大学に編入して卒業を目指す避難学生も出てきた。
国際基督教大(ICU、東京)では昨年5月から、ウクライナ人学生5人を聴講生として受け入れた。このうち4人は今年4月から、1人は9月から、同大への編入学や大学院進学が決まった。
ICUではこれまでもシリアなどから逃れてきた学生を受け入れてきた。その経験から、ウクライナ人学生にも学業に加え、学外でのアルバイトで日本社会に溶け込む体験を積むことを奨励している。ICUのフォッセ・ヴィルヘルム教授は「避難学生たちが学部や大学院を卒業・修了するまで、大学として支援を続けていく」と話した。 読売新聞