ふくらく通信

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シロウオの 力賜る 伊里前:南三陸町歌津(2013年5月22日の記録)

2017-09-29 12:04:21 | 東北被災地の歩み:南三陸・石巻

小満の翌日だった。

若葉はきらめき、森では木々が、衣みたいに藤の花を羽織っている。

志津川湾を正面に見て左に曲がり、うねる坂道を進んで歌津へと向かう。


伊里前川には、ぎざぎざに折れ曲がる形に、石が積まれていた。

「ざわ」と呼ばれる、漁の仕掛けだという。


この仕掛けで、シロウオを獲っている。


歌津のシロウオは、ハゼの仲間で、産卵のために遡上するもの。

海でも獲れるが、伊里前川に遡上したのを「ざわ」で捕まえるのが、いわば名物。


「ざわ」では、キアシシギも並んで待っていた。


いただきます。

そして命は廻る。


川で獲るシロウオは、少し飴色ががり、ぬめりもある。

朝に獲ったシロウオが、福幸商店のマルアラさんで売られていた。

何と、昼過ぎでもまだ生きているではないか。


買って仙台まで帰り、台所で思わず叫びながら飛び上がった。


夕餉にする段になっても、まだ数匹生きていたからびっくりだ。

思えば、海へ出て川へ戻るのだから、小さくもなかなか強い。


歌津で教わった通り、塩を振ってざっと洗ってぬめりを取り、韮も入れて卵とじにした。


かき揚げや、熱いご飯に乗せたシロウオ丼もこしらえた。

淡白だが、だしが出て美味しい。


伊里前川でのシロウオ漁は、4月5月6月と、春から初夏にかけて行われる。

自然の廻りは、恩恵でもある。

巧く付き合えば、小さくも、生きる強さを見せるシロウオも来て、元気をくれる。


          シロウオの 力賜る 伊里前 



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