丘陵に、「田束山(たつがねさん)こちら」と掲げられた道案内が、歌津の目印。
丘陵は、伊里前川の脇にあり、向かって左が田束山方面、右が伊里前の町。
表示どおりに田束山へと行くが、少々戸惑いつつも、枝道に入らず道なりに行く。
震災の傷跡を過ぎ、棚田や緑が光る、里山の美しい風景に取り囲まれていた。
やがて、緑いっぱいの中に線を引いたように整備された道が見え、上り坂になっていく。
しばらく行くと、新しい施設が目に付いた。
出来たばかりの「払川(はらいかわ)ダム」だ。
素晴らしい。
でも高くて怖い。
足に力が入らず、前に出難いのを何とか進みながら、田束湖を眺めた。
直ぐ近くに右へと曲がる道があり、田束山への登り口となっている。
いよいよ田束山の山頂に近づく。
今年(2013年)は春に寒さがぶり返したので、ツツジの咲くのが遅いようだ。
(5/22は、まだ咲き始めで蕾多し。この年は6月上旬が見頃か。)
躑躅に囲まれた細道を行くと、先人が心を込めて納めた経塚があった。
そして山頂に着く。
山頂手前の「展望案内図」の近くへ戻る。
そこからの見晴らしといったら、何と見事なことか。
空と海と岬が一望できるではないか。
ツツジの紅色の向こうは、若葉茂る岬と海と空の青、青、青。
田束山から、里を越えて川を通ってあの海へ、自然の恵みは流れていく。
自然の巡りを大切にし、共に暮らすことを、ここは教えてくれる。