岳 -ガク- Blu-ray豪華版(2枚組) | |
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東宝 |
岳 -ガク-
2011年/日本
撤退する勇気が必要なとき/最も大切なものを捨ててしまわないために
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 80点
演出 80点
ビジュアル 90点
音楽 70点
私の読書の楽しみの一つは誤読だ。いや、別に誤読したいと思ってはいない。思い込みが激しいだけだ。そんなわけで、この映画もおもっいきり間違って見てしまったかもしれない。
人はなぜ山に登るのか。人はなぜ山岳漫画を読み、山岳映画を見るのか。山とは、人生の中で最も大切な体験を意味するのではないか。そこでは、登山とは、人生の挑戦である。そうだとすれば小栗旬のようないい男が、なんでわざわざ冬の山なんぞに登るのかよくわかる。
昔、日本のメジャー映画会社の締め付けが厳しいとき、ある映画スターが独立プロを作って映画を撮った。題名を黒部の太陽という。その俳優にとって映画は山であり、映画の製作は山に登ることだった。そして黒部の太陽は水力発電用のダムを建設による電源開発の物語でもあった。話はどんどん岳のレビューから離れて心配だ。
電力会社の人たちは、日本のエネルギーが自分たちが支えているという誇りがある。だから彼らにとって山とは電源開発である。そこでは、登山とは原子力発電所の建設であった。
ここで、話は、岳のレビューに戻る。
冬山の登山で必要なものは何か。それは前に進む勇気ではない。冬山での前に進む勇気は時に死に直結する。危険を感じたら撤退する勇気が必要なのだ。山は待っていてくれる。だから、無理をせず、次回の登山に期待し、今回は撤退しよう。
無理をして、最も大切なものを失ってはならない。いや、もうすでに、山では、多くの命が失われている。原作の岳でも、映画の岳でも山で多くの人が命を落とす。しかし、それでも人は山に登る。長澤まさみでも登る。
電力会社の人にも撤退する勇気が必要な時があり、今がその時ではないか。日本のためにエネルギーの確保の努力をしていることはよくわかっている。しとし、なぜ、エネルギーを確保することが大切か考えて欲しい。それは、日本人を幸せにするためだったはずだ。
山頂を目指すあまり、最も大切なものを捨ててしまっては、なにもならない。
本当に、考えさせられ、市毛房江さんが作るナポリタンの大盛りがとても旨そうな、いい映画だった。