誰も知らない南の島

いつか南の島にいきたい

水滴のひとつひとつが笑っている顔だ

2008年10月27日 | 谷本歩実柔道一本勝負

住宅顕信 17句



何もないポケットに手がある

若さとはこんな淋しい春なのか

水滴のひとつひとつが笑っている顔だ

春風の重い扉だ




鬼とは私のことか豆がまかれる

盃にうれしい顔があふれる

あけっぱなした窓が青空だ

初夏を大きくバッタがとんだ

月明かり、青い咳する




夜が淋しくて誰かが笑いはじめた

両手に星をつかみたい子のバンザイ

重い雲しょって行く所がない

お茶をついでもらう私がいっぱいになる

窓に映る顔が春になれない





気のぬけたサイダーが僕の人生

捨てられた人形がみせたからくり

ずぶぬれて犬ころ

その人の名は「スミタク・ケンシン」未完成―住宅顕信句集 (顕信文庫)

2008年10月26日 | 日本の詩歌
内容(「BOOK」データベースより)
23歳で白血病に倒れ、妻にも去られ、病室で幼子を育てながらわずか25歳で世を去ったひとりの俳人。生と死、孤独と絶望、その中で懸命に生き、そこからこぼれ落ちる魂の叫び。その人の名は「スミタク・ケンシン」カメラマンをめざす若者と顕信の俳句との新しいコラボレーション。
未完成―住宅顕信句集 (顕信文庫)
住宅 顕信
春陽堂書店

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住宅顕信読本―若さとはこんな淋しい春なのか

2008年10月26日 | 今、この本が面白い
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1987年、住宅顕信(すみたくけんしん)という俳人がひっそりこの世を去った。享年25歳。浄土真宗本願寺派の僧侶だった。10代はリーゼントにサングラス、16歳で年上の女性と同棲。22歳出家得度、以後、結婚、白血病の発病、離婚、病室での育児に句作と、普通の人の何倍かの早さと勢いで人生を駆け抜けた。そんな男の肖像と、ひりひり心ふるわす俳句の詰まった1冊。サブタイトル「若さとはこんな淋しい春なのか」は、彼の句である。
住宅顕信は、種田山頭火や尾崎放哉を師として、5・7・5の定型や季語にしばられない、自由律俳句をつくった。発病してから逝去までのわずか2年数か月に詠まれた句は281句。そのうちのほんの一端を紹介してみる。

あさり、うっかり閉じ忘れた口をとじる
月、静かに氷枕の氷がくずれる
かあちゃんが言えて母のない子よ
淋しさは夜の電話の黒い光沢
許されたシャワーが朝の虹となる

切りつめた最小限の言葉に、不安におののく心が見え隠れしている。本書と同時刊行の句集タイトルになった句「ずぶぬれて犬ころ」は、「骨まで/濡れて/一匹の子犬」と仏訳され、フランスの俳人にも深い共鳴を与えていると、日本放哉学会会員の見目誠は書く。国境を超え俳句が広がりをみせる現代でもある。本書では、夏石番矢のような俳人だけでなく、小説家辻仁成、小林恭二、長嶋有、精神科医香山リカ、映画監督石井聰互、俳優佐野史郎、プロレスラー新崎人生ほか、顕信と親しかった句友や編集者、ジャンルを超えた総勢22名の書き手によって、顕信の人と俳句の抗いがたい魅力が伝えられる。
ゆかりの品々や幼時からの写真をちりばめた、中村裕編略年譜が秀逸だ。また、各執筆者が引用した顕信の句が、巻末に50音順に掲載されていて、句集の役割をしているのもうれしい。(中村えつこ)
住宅顕信読本―若さとはこんな淋しい春なのか
辻 仁成,小林 恭二,石井 聡亙,香山 リカ,長嶋 有
中央公論新社

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ずぶぬれて犬ころ

2008年10月26日 | 名犬ミミポ
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空色の地に、胴の短いとぼけた顔の犬と水たまり、その犬を見つめる少年と遠くに白い雲が線描きされた表紙。少年の首に巻かれた赤い布が妙に目をひく、小さな絵本のような俳句版画集。
句の作者は住宅顕信(すみたくけんしん)という珍しい名前の俳人。彼は浄土真宗本願寺派の僧侶だった。1961年岡山市に生まれ、1987年白血病で死去。享年25歳。短い句作人生を全速力で駆け抜けた。

種田山頭火や尾崎放哉の句を愛し師とした顕信は、5・7・5の定型や季語にしばられない、自由律俳句をつくった。発病してから逝去までのわずか2年数か月に詠まれた全281句から、51句が選ばれ本書に収められている。タイトルの「ずぶぬれて犬ころ」ももちろん彼の句。わずか9文字に込められた顕信のおののき。ページを開けば、ぶっきらぼうを装う、裸の心が詰まった短詩の数々が、防ぎようもなく直に読者の胸をたたく。

あけっぱなした窓が青空だ
初夏を大きくバッタがとんだ
若さとはこんな淋しい春なのか
点滴と白い月とがぶらさがっている夜
重い雲しょって行く所がない

松林誠の版画は、子どもが描いたパステル画の趣で、無邪気と同時に、寂しさ、疲れ、ユーモアなども醸し出している。版の汚れをそのまま取り込む現代的な手法が、死後15年を経てなお、顕信を現在に新鮮によみがえらせる大きな効果を上げている。(中村えつこ)


ずぶぬれて犬ころ
住宅 顕信,松林 誠
中央公論新社

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夜が淋しくて誰かが笑いはじめた/住宅 顕信

2008年10月23日 | 谷本歩実柔道一本勝負
父が子に残してやれるものはなにか
顕信は、我が子に残したものは句集だった
そんなものが何になるというのだ


病室での育児のなかで、
彼は何を考えていたのか。

彼は、自分が生きて
病室を出ることがないことを
知っていた

限りある
生の中で、
彼は子を育て
句を読んだ

顕信が子育てした時は短かく
顕信が読んだ句は少なかった

しかし、今も、われわれが彼の句を読むとき
顕信は生きている

そして我が子を見守っている



住宅顕信全俳句集全実像―
住宅 顕信池畑 秀一
小学館

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クロバー・サクソホン・カルテットを聴く     岡山県立美術館のコンサート その2

2008年10月19日 | 白い大理石の床の上の演奏会
サクソフォンが四種類あることを知ったのは、この演奏会の夜だった。
アルト・サックスの意味が始めてわかった。
テクニックの面では、どのかたも卓越しておられた。
これから表現力についても、どんどん磨かれていくだろう。
延びしろのある演奏だった。

最前列で聞かせていただいたので、演奏家が大曲を演奏することは、精神的にも、肉体的にも大変なことであることが良くわかった。

もうすぐ、彼らの始めてのCDが発売になるという。
音楽家にとってCDを出すことが、どんなに大変なことであるのかも、初めて知った。



クローバー
クローバー・サクソフォン・クヮルテット
キングレコード

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分山貴美子の口笛を吹こう   岡山県立美術館のコンサート その1

2008年10月19日 | 白い大理石の床の上の演奏会
岡山市立美術館の床は白い大理石が敷き詰められている。
その上でギャラリーコンサートが開かれるというので五日間の通し券を買ったところ、その通し券で岡山県立美術館で開かれるコンサートも聴けるというので、まず県立美術館のコンサートに出かけた。

演奏者の分山 貴美子さんは、口笛の第一人者であり、口笛演奏という器楽部門を確立されようと努力されている方だった。
何事によらず、ひとつの分野を一から始められようとされる方だけあって、演奏だけではなく、プロデュースされていく力も兼ね備えられていて、しかも、チャーミングな雰囲気がある。

それにしても、くちぶえの表現力には驚かされる。
彼女の口笛との最初の出会いは、幼少の頃飼っていたセキセイインコだったという。

だからいまでもオウムが好きだそうだ。

口笛を吹こう (角川SSCムック)
分山 貴美子
角川SSコミュニケーションズ

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くちぶえ天国
分山貴美子,関口和之
ビクターエンタテインメント

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同じ空の下

goodquestion.jp

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ミミポ馬に乗る その4

2008年10月04日 | 名犬ミミポ
乗り方を先生が実演してくれた。馬に飛び乗って乗馬するのだ。これはとても無理だ。安心してください。踏み台を用意しますからと先生がおっしゃった。優しい先生で良かった。踏み台に登って左足を左のあぶみに懸けてお腹を鞍の上に載せ、ここで一旦左足をあぶみから外して右足を右側のあぶみに入れ、改めて左のあぶみに足を入れると、気がつけば馬上の人になっている。先生はひとを馬に乗せるのがうまい人だ。