しかし、この三月に私の記憶に残ったのは、朝生で行き交った議論の言葉ではなかった。
記憶に残ったのは、三月最終週に、たまたま二人の若い臨時社員から聞いた言葉だった。
ひとりは、こういった。
昨日は、午前三時まで履歴書を書いていました。
お祈りメールて、ご存知ですか。採用お断りの、通知のメールです。
もう、三十通のお祈りメールをもらいました。
もうひとりは、こういっていた。
お世話になりました。金曜日の今日で、この仕事も終わりです。
今日の夜、高速バスで東京に向かいます。
四月から東京で新入社員です。
採用試験を受ける前日は、新幹線で東京に行きましたが、帰りは高速バスを使いました。
だから、高速バスで夜を明かすのは、慣れているのです。
ふたりとも、臨時社員の期間は3月31日までだった。
アベノミクスはたしかに激しい副作用があるだろう。
しかし、もし、アベノミクスによって若者の雇用が確保されるなら、
私は喜んでアベノミクスを支持したい。
あれから二週間、日本の桜前線は、西日本から東日本に北上していった