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時代劇映画「一命 」を、どう評価するか

2013年01月01日 | 新作邦画
かつての時代劇「切腹」が、生と死の物語であるとすれば、そのリメイクである「一命 」は若者の就職活動の挫折の物語である。

敵役の井伊家家中の面々は、よき時代に大企業に就職したサラリーマンたちである。
そして、切腹詐欺を試みる浪人達は、まさにデフレ不況下の現代の就職浪人たちに見える。
しかり。瑛太は、若者の挫折と絶望を見事に演じた。

時代劇は、歌舞伎の時代から、現代劇よりもリアルに同時代性を持った真の現代劇なのだ。
たとえば、歌舞伎十八番の忠臣蔵は、幕藩体制へ疑問を時代設定を過去にずらし、しかし、幕府のお膝元の江戸で上演された。

そして、映画「一命 」のなかで最も活躍する小道具「竹光」は銀箔すらはられていない木刀である。

その竹光を携えて井伊家家中の抜刀の面々に立ち向かう海老蔵の死闘は、超円高のなか海外で戦う日本の輸出産業従事者の死闘に似ている。

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2013年01月01日 | 無題
作家キングの明るい部分の映画。

むろん、実際の刑務所の塀の内側が明るいわけがない。
そして、塀の中の受刑者のほとんどが無実ではないだろう。
だとしたら、ほとんどすべての受刑者が厳しく処遇されているとしても、それは、当然のことではないだろうか。

しかし、塀の中にも冤罪の受刑者は必ず存在する。
死刑囚ですら、処刑後に無実が判明することがある。
まして、それより軽い刑に服するものに冤罪の者がいないわけがない。
だから、無実の受刑者の希望の物語が、原作及び映画の主設定だ。

また、冤罪ではない真の受刑者といえども、光を求め、希望を求める者は必ず存在する。

そうであるからこそ、実際に罪を犯し、それを悔い、人生の大半を刑務所の中で過ごした受刑者が希望を求め続ける副設定こそ、原作者キングが、そして本映画の監督が描きたかった、もうひとつの物語である。

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