満月と黒猫日記

わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。

『バビロンまでは何マイル』

2006-06-25 03:31:52 | 

小説の感想です。

『バビロンまでは何マイル』(上下巻 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著、原鳥文世訳、東京創元社)

多元世界の出来事を管理し、助言や介入を行う魔法管理官(マジド)の最年少のひとりであるルパート・ヴェナブルスは、多元世界の中心に位置するコリフォニック帝国の非公式の裁判への立会いを命じられ、そこで皇帝の長子があっさりと殺される現場を目撃し、憤慨する。皇帝が滅茶苦茶な権力をふるうコリフォニック帝国はマジドたちから忌み嫌われていた。

そんなある日、ルパートが教えを受けたマジド、スタンがもう長くないとの連絡を受け、スタンの元へ向かう。スタンは自分がはもうすぐ死ぬと告げ、自分が死んだらマジドの定員が欠けるので、新しいマジドを選出しなければならないこと、それをルパートがやらなければならないことを告げる。ほどなくしてスタンは死んだが、実体のない幽霊としてルパートの新しいマジド探しを手伝うことになる。
新マジド候補は全部で5人。そのすべてと会って適任か否かを判断せねばならないが、彼らはひとりを除いて皆外国に住んでいた。ルパートはとりあえず同じイギリスに住む候補者、獣医学生のマリーに会ってみたが、印象は最悪だった。
他の候補者とどうやって会うか算段していたところに、ルパートはコリフォニック帝国で皇宮に爆弾が落ち、ひとりの貴妃を除いて皇帝も皇后も死んでしまったとの連絡を受ける。現場に急行したルパートは、生き残った最上位の将軍ダグロスに、どこかにいる皇帝の世継ぎを探せと要請される。それもマジドの職務のうちなので断れず、ルパートは皇帝の遺児探しと新マジド探しを同時に行う羽目に陥るが・・・?

というようなお話。


・・・いやあ、ジョーンズさんらしいゴチャゴチャ感に満ちた面白い作品でした!

主人公ルパートがどうもお高くとまった鼻持ちならない性格で、最初のうちはどうにも好きになれなかったのですが、次から次へと難題を押し付けられ、彼のせいじゃないのにどんどん悪いほうに転がっていく展開を見ているうちにだんだんと同情が愛に変わり(笑)、楽しく読めました。
マジド選びをいっぺんに済ませるため、候補者を一箇所に集めようと思い、魔法の力が強い力点を選んでそこに全員が来るよう術をかけるんですが、同時期にその場所(ホテル・バビロン)でSF大会(この場合ファンタジー大会かな)が開催されて、かなり滅茶苦茶なことになります(笑)。ちょっとくらい魔法を使っても、ケンタウルスが出てきても、ホテル内部の構造が変わってても「おお、すげー気合入ってんな!」で済みます。もうすごいよ、コスプレだらけだよ、ゴクリ!(笑)イギリスのファンタジー大会と言ったらやっぱりいいホビットさんたちやガンダルフは基本なんですねー。楽しそう。
SFマガジンなんかを読んでいるとこの手の大会は非常に頻繁に行われているようですね。一回行ってみたい気もしますが、わたし程度の知識ではディープに楽しむのは難しいかも・・・。

この作品は上下巻なんですが、上巻と下巻のルパートのマリーに対する態度の違いったら。もうツボですよ!(笑)

このところジョーンズさんのハードカバーの挿絵はほぼ佐竹美穂さんだったんですが、今回は違う方で後藤啓介さんという方です。なんか美麗な絵で素敵でした。表紙の色使いもうつくしいし、挿絵はルパートの感じの悪いメガネ野郎ぶりが非常によく出ていたと思います(笑)。

ただ、この作品、ジョーンズさんらしい伏線が蜘蛛の巣のごとく張り巡らされているので、初心者は読みづらいかもしれません。初心者は『星空から来た犬』『いたずらロバート』あたりがおすすめかも。それかクレストマンシーシリーズを最初から読んでいけば慣れていくと思いますよ。
コメント
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どっちにしろ馳夫さんはかっこいい。

2006-06-25 02:42:15 | 雑記

皆様ごきげんよう。いい黒猫だよ、ゴクリ!黒猫でございます(わかってるよ)。

髪を切りに行きましたが大して切られず終わりました。イヤ、自分で指定したんですが。自分が何を望んでいたのかわかりません・・・ただ、けっこうパーマをかけてもらったのでスタイリングは楽になりそうです。
ところで今日は、明日までに返さなきゃいけない本があり、まだ読み始めてもいない本があったので、初めて本を持ち込んでみました。あさのあつこさんの『弥勒の月』

・・・美容院にいる間に四分の三まで読み終えました。パーマかけるとホントに長い。

『弥勒の月』、大人向けかつ時代物と、あさのさん初挑戦なんじゃないでしょうか。確認してませんが。
小間物問屋の妻が身投げした原因を探る同心と岡っ引きの話です。面白かったですが、後味はうん・・・ちょっとアレでした。
色んな時代物を読んでいると江戸の町には辻斬り出過ぎだよと思わずにはいられません。しかもお武家様にはうかつに手出しもできないと来てる。うかうか夜道も歩けやしねえや。辻斬り出なくても妖怪出るし(それはアンタの読書傾向の問題じゃないの)。お江戸は恐ろしいですね。


夕方になってからジムに行ったんですが、ジムで上記の本の続きを読み終えて、もうちょっとやろうかどうしようか、と考えていたら、TVでLotR始まった。(※LotR=Load of the Rings の略)馳夫さん(=アラゴルン)が登場するまでは見にゃ!と思わず戸田奈津子字幕で(脳内で)叫び、馳夫さんが登場する躍る子馬亭のシーンまでジムにいました~。毎日LotR流してくれたらわたしはきっともっと運動できる(笑)。インド映画を流してくれたら3時間くらい平気で居るでしょう(無茶言うなよ)。つか途中から踊り出すよ(笑)。

わたしの通うジムは沿線で一番古いジムで、設備もちょっぴり・・・いや、かなりお粗末なので、TVも各ドレットミルに1台ずつとかじゃなくて、二箇所に街頭TVっぽく据えられているだけです。もちろん音も聞こえません。でもLotRなら大丈夫お構いなく、脳内で台詞を勝手に補って見ました(笑)。何度も観ているんですがやっぱりホビット庄が素晴らしい出来栄えですよね。あそこに住みたい。できれば袋小路屋敷に。そしてホビット並みに飲み食いしまくりたい(笑)。

それにしても『旅の仲間』(映画)の馳夫さん初登場シーンは、本当にはっとするほど原作本の寺島龍一氏の挿絵にそっくりです。あそこで毎回鳥肌立ちます。本をお持ちの方はご覧になってみて下さい。どっちにしろ馳夫さんはかっこいいということで皆様異論はありますまい(笑)。
映画では美術や衣装で協力し、愛蔵版で挿絵を担当したアラン・リーとジョン・ハウの挿絵もとてもとてもうつくしいのですが、やはり寺島さんの挿絵で最初に読んだので、こちらが大好きです。『王の帰還』でパイプ草を吸いながらみんなを迎えるピピンとメリーのまったり具合なんかもう最高だと思います(笑)。

わたしはゴクリ(映画ではゴラム)も好きなのですが、旅の仲間ではほとんど登場しないんでしたね・・・残念。「いいスメアゴルだよ、ゴクリ!」と「いとしいしと」いう名台詞とともに大好きなキャラクターです。本当に憎たらしい時もあれば、本当に哀れな時もある、非常に人間的な悪役です。イヤ、元はホビットだけど。

あと映画では古森及びトム・ボンバディルのシーンがまるまるカットされているんですよね・・・トムも大好きなわたしとしては悲しいところです。
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