2021年11月23日、大学での勤務が珍しく午前中のみで終わったので、午後は天龍寺再訪を思い立って嵐山へ向かった。2月の天龍寺拝観の際に大方丈本尊像の実見を後送りにしていたからであった。普段の通勤ルートから外れて地下鉄の東山駅から西の終点の太秦天神川駅まで乗り、嵐電の天神川駅に移動した。
ホームに上がって3分ほどで、嵐山行きの列車がやって来たので、乗り込んだ。
嵐電に乗るのは2月以来であった。私は京都市内の移動には市バスを利用することが多く、嵐山方面に向かうにも丸太町通のバス路線に乗って、途中の景色を楽しみつつのんびりと揺られるのが常であった。
京都市内の幾つかの私鉄のうち、よく利用するのは叡山電車、次いで京阪電車であり、嵐電はたまに乗る程度であった。だから、今回のような機会があると、楽しくなってきてテンションが上がってくるのであった。
嵐電の嵐山駅に着いて外に出た。コロナ緊急事態宣言が解除されて観光客が戻ってきていた時期であったから、なかなかの人出で参道筋は賑わっていた。
思ったよりも大勢来ているな、とは思ったが、外国人の入国禁止措置は継続されている時期であり、外国人観光客は全く見当たらなかった。日本人観光客ばかりで占められる嵐山の景色は、大学生の頃以来だったかな、と思った。
今回の目的地、天龍寺の門前に着いた。前回2月の訪問時に見ていなかった大方丈本尊像を拝し、さらに時間的余裕が無くて見ていなかった範囲、旧伽藍の遺構を検証してみたい、と考えて知的冒険心に胸を躍らせた。
紅葉の時期であったから、天龍寺の紅葉も鮮やかに境内地の景色を彩っていた。観光客が多かったのもそのためであっただろう。
観光客の殆どが紅葉を見上げ、撮影し、愛でていた。私も同様であった。
なかなか立派な紅葉で見応えがあった。これを見るだけでも、嵐山まで来た甲斐があったというものである。
実は、天龍寺に秋の紅葉シーズンに行くのは、今回が初めてであった。前回2月の拝観が、初の天龍寺参拝であったから、この寺においてはまだ様々な感動が新鮮に味わえる、と思った。 (続く)