去る7月9日に公式より発表された、アニメ3期のシンボルロゴである。これを初めて目にしたとき、これは完全に大井川キャンプ編がメインだな、と受け止めた。予想通り、劇場版から時間軸を高校時代に戻して2期のストーリーの後からスタートするのだな、と確信した。
なぜかというと、シンボルロゴの各所のデザインの意味を、上図のように容易に解釈出来るからである。まずバイクが2台に増えていて、形状から志摩リンのビーノ、土岐綾乃のエイプであると判る。この二人がバイクで行動するストーリーは、原作の連載の現時点に至るまで大井川キャンプ編しか有りえない。
そうなると、他のデザインも大体分かってくる。左端の吊り橋は、大井川流域最奥の「デス・ブリッジ」こと畑薙大吊橋だろうし、そこへと続くグレーの帯も、二人のバイクが走っている道、つまりは畑薙までの「デスロード」に相当するであろう。そして、そのグレーの帯に並行する水色の帯は、間違いなく大井川を意味していると思う。
つまり、この3期のストーリーのメインが大井川キャンプ編であることをよく示すデザインである、と理解出来る。大井川キャンプ編は、原作コミックのほうでは第10巻の中半から第11巻いっぱいまでを占め、第56話から第63話までの8話にまたがる長編となっているから、アニメ3期においても1クール12話のうちの過半を占めるものと予想される。2024年度の放映が確定したのも嬉しい限りである。
そうなると、以前の記事で述べたように、原作コミックにて描かれた大井川鐡道の車輌は全てアニメ化されるものと考えられる。各務原なでしこが乗った本線の旧近鉄16000系と井川線のアプト式列車は確実に登場するだろうし、さらに上図の、第11巻の第63話の140ページに描かれるSL急行列車「かわね路」号も、当然ながら出てくるであろう。
御覧のように、各務原なでしこ達が塩郷の吊橋を渡っている最中に、下を走り抜けていった様子が描かれる。列車そのものは、タンク式の蒸気機関車が3輌の客車を牽引している姿で描かれるが、蒸気機関車のナンバープレートの番号までは描かれないので、どの形式の蒸気機関車なのかは不明である。
私自身は、Nゲージを楽しむ際の基本的なイメージを大井川鐡道と天竜浜名湖鉄道に置いて、それに準じたレイアウトと周辺環境をいずれは作り、聖地巡礼の際に見てきた車輌を可能な限り揃えて走らせてみたいと思うようになっているので、アニメ3期に登場することが確実になった車輌は特に買ってみようと考えている。SL急行列車「かわね路」号も当然ながら対象に含まれることになるわけで、とりあえずはこれをNゲージで揃えて再現してみようと考えた。
それで、実際に新金谷車両区で見た、SL急行列車「かわね路」号の牽引車を務める上図のC10形8号機がNゲージで製品化されていないかと調べたところ、そのものズバリの品がマイクロエースから2019年に発売されていたことを知った。新品はもう無いようなので、中古品での購入しか手がないだろうと思い、中古ショップや中古模型の通販サイトなどで色々調べた。
同時に、客車3輌のほうも出来たら揃えたいと考え、その型式が原作コミックの描写からは分からないため、大井川鐡道の公式サイトや関連資料をあたったところ、客車だけでも色々な種類の車輌があることを知った。それらのいずれかが3輌になっているが、どの形式の客車が該当するのかは、それ以上調べても全然分からないのであった。
それで川本氏に電話で相談したところ、SL急行列車「かわね路」号の車輌セットがカトーから2015年に発売されていたと知らされた。上図のパッケージデザインで、いまもカトーの公式サイトで案内記事が見られることも教えられた。
「ふーん、2015年に「かわね路」号の車輌セットが出てたのか・・・」
「うん、俺も買ったんで、持ってたよ。三年ぐらい持ってて、鉄道仲間の知人に売ったけどな」
「どういうセットなんかね?」
「2015年当時の標準的な編成やったC11-227と客車3輌の4輌セットやな。あれは買うた時に1万円ちょっとした筈なんで、いまは中古品でもそれ以上の価格がつくやろうな」
「ふーん、で、客車3輌ってのは、その型式とかは、実際の「かわね路」号のそれなのかね?」
「厳密には、2015年当時の編成やろうな、時期によって色々入れ替わっとるから。カトーのセットではオハ35が2輌とオハフ33が1輌、ってなってるけど、それが2015年当時の標準的な編成やったんやろ。その後は増やされて5輌とか7輌になって、C11-227だけじゃ大変になってきて、補助機として後ろに電気機関車のいぶきとか追加してたぐらいや」
「ああ、その補助機ってのは見たことある。千頭駅や新金谷車両区で何度か「かわね路」号の客車見たことあるけど、最後尾にぶどう色の電気機関車が付いてたな」
「大体は付いてる筈やで。C11-227やC11-190だけじゃ大変やからな・・・」
「ちょっと待て、「かわね路」号の蒸気機関車はC11-227やC11-190なのか、C10-8じゃないのん?」
「ああ、最近はC10-8が引いてるけど、以前はC11-227やC11-190が担当してたのよ。ホッさんはゆるキャンの漫画のあれの蒸気機関車を特定したいみたいやけど、あれはちょっと分からんな。C11-227とC11-190とC10-8は同じタンク式で外見もほぼ同じに見えるしな。それに、「かわね路」号の蒸気機関車は時期によって替わってるからな・・・」
「すると、原作者さんが取材した時期が分からないと絞り込めないわけか」
「まあ、そういうことやな」
「ホッさんは知らないやろうと思うけど、いま門出駅の付属観光施設に置いてあるC11-312もさ、以前は「かわね路」号を引いてたんやで。その頃には確かC10-8も交替機として運用されてた筈・・・」
「ふーん、あのC11-312も活躍しとったのか・・・」
「あと、確かC12-164も昔は「かわね路」号を引いてた筈。ホッさんもC12-164は見たことあるんやろ?」
「うん、新金谷車両区の転車台に乗ってるのを何度か見たよ。あれも「かわね路」号の担当やったのか・・・」
「あれは確か最近にレストアが決まったんと違うかね?再び動態に戻して運行するとか何とか聞いたけど、そうなったら再び「かわね路」号を担当するかもしれんな・・・」
かくして、大井川鐡道が保有している蒸気機関車の殆どが、SL急行列車「かわね路」号を牽引していたことを知るに至ったが、ゆるキャンの塩郷吊橋シーンにて登場する「かわね路」号の担当蒸気機関車の特定はついに出来ずじまいであった。各務原なでしこ達が見たSLが、どの蒸気機関車であったのかは、アニメ3期の放送を見るまでは分からないであろう。
なので、Nゲージでその姿を再現したくても、現時点では蒸気機関車と客車3輌の型式名が分からないので、どうしようもないわけである。
川本氏は冗談っぽく「そんなら、「かわね路」号の関連の機関車と客車を可能な限り揃えたらええんやないか?」と笑っていたが、私が「なるほど、そういう手もあるか、全部揃えとけば、そのどれかがアニメに出るわけやな・・・」と真面目に受け止めたので、慌てて「おい、本気にすんな、全部揃えるって、お前、幾らかかると思ってんや・・・」と打ち消しにかかってきた。
しかし、私自身は、ゆるキャン聖地巡礼で見かけた大井川鐡道の車輌は基本的に揃えたい気持になってきているせいもあって、川本氏の制止をそのまま受け取らず、果敢な行動に出ることになったのであった。 (続く)