前の家には２匹の猫がいる。
１匹はもともとその家に飼われていた白い猫、もう１匹は４年前くらいからその家に住みついた黒い猫である。
黒い猫の方はもともと野良だったせいか、その家には入らず家の外ばかりいる。
白い猫の方は家の中で飼われていたが、家の中にいると外が気になるのか、黒い猫が気になるのか、外に出たがり、今では夜以外は外にいる方が多い。
今日も白い猫は黒い猫に誘われて、朝から外に出てバラの蔓の間を通り抜ける遊びをしている。
何が面白いのかブロック塀と家の壁の間にあるバラの蔓の間を黒と白の猫が追いかけるでもなく行ったり来たりしている。
しばらくして、疲れたのか白い猫はその家の車の前に座り込んでしまった。
そこへ、女子高生が自転車に乗ってやってきた。
この女子高生は毎朝自転車をこの家の隣の家に置いて駅に向かう。
女子高生は白い猫が気になったのか、白い猫が座り込んでいる前の道路の端に自転車を止め、白い猫の方へ歩いて行く。
いつもなら逃げてしまう白い猫は女子高生に抱かれ、その家の縁台に乗せられた。
女子高生は白い猫に向かいなにやら話しかけ自転車の方に振り向くと、白い猫は縁台から飛び降り、またさっきの車の前で丸く座りこんでしまった。
女子高生はもう一度、白い猫を抱き縁台に連れて行き縁台に乗せると、また何やら白い猫に向かって話しかけている。
白い猫は分かったような態度で縁台で丸くなり、女子高生は自転車の方に振り向くと、また白い猫は縁台から飛び降りさっきの車の前で丸く座りこんでしまう。
女子高生は時間が気になるのか腕時計に目をやり、もう一度白い猫を抱き上げて縁台に連れて行く。
白い猫を縁台に乗せると、白い猫に向かってまた何やら言っている。
分かったのかどうか、白い猫は丸くなる。
女子高生は安心した様子で自転車に向かうと、女子高生の足元を通り抜けさっきの車の前で丸く座り込んだ。
女子高生は諦めたのか、丸くなった白い猫の頭を何か言いながら撫で、立ち上がり白い猫に手を振り自転車を押して隣の家に入って行った。
白い猫は何も無かったように丸くなり目を閉じて座っている。
