★ウイズ・コロナ」東京は1月感染者数千人台、2月死者数二桁を超えるか>
★ゼロコロナから逃避「ウイズ・コロナ」東京は1月感染者数千人は2月死者(致死率1%)数16人を超えるか>
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2021/01/07 09:10
(渋谷 健司
<渋谷 健司(しぶや けんじ、1966年 -55歳。 )は、日本の公衆衛生学者。キングス・カレッジ・ロンドン教授[1][2]、世界保健機関(WHO)テドロス・アダノム事務局長上級顧問[3][4][5][6]、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室客員教授[7]、同元教授[8][9][10]、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)科学諮問委員[11]、一般社団法人JIGH(ジャパン・インスティテュート・フォ・グローバルヘルス)の代表理事[12]、及び 株式会社NO BORDER代表[13][14]である。元WHO職員[15][16][17]。
雅子皇后の妹、小和田節子と1999年6月に結婚、2017年秋に離婚。2018年春にフリーアナウンサー舟橋明恵と再婚[18][19] 。
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/Webオリジナル(特集班))
「変異株でコロナ感染爆発。日本は英国の失敗をなぞっている」WHO事務局長上級顧問が緊急提言」
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筆者は自粛を回避するためには、検査・追跡・隔離を拡大し、感染拡大の早期に徹底的にコロナを抑え込むこと、それが最大の経済対策であることを繰り返し述べてきた。しかし、日本では、Go Toキャンペーン=アクセル加速=で旅行や外食を促し、その一方で国民へ自主的努力=ブレーキ減速=をお願いするという曖昧=アクセル加速・ブレーキ減速=なメッセージが発せられてきた。これでは国民が混乱し、不信感が広がるのも無理はない。信頼こそがコロナ対策の上で、政府にとって最も大切な武器である。
■コロナ対策徹底のアジア圏諸国を見れば明らか
コロナ対策は数と時間との勝負だ。後手に回れば回るほど感染制御は困難になり、自粛やロックダウンを広範囲に、しかも長期間実施せざるをえなくなり、結果として、経済へのダメージがより大きくなる。
世界的第2波を逃れ、経済を回しているニュージーランドや台湾、ベトナムなど徹底したコロナの封じ込めを行ったアジア圏諸国の経済状況を見れば明らかなように、「ゼロ・コロナ(市中感染をゼロ付近に抑え込む)=コロナ撲滅社会=」対策こそが経済活動を維持するために必須だ。日本のように「ウイズ・コロナ=コロナ共存社会=」で一定の感染を許容してしまうと、結局は自粛要請や緊急事態宣言を繰り返し、社会経済活動は悪化していくだけだ。
■コロナ慣れと変異株による感染拡大に苦しむ英国=英国=コロナ共存社会=の失敗経緯事例=
日本には英国の失敗から是非学んでほしい。英国のイングランドは1月5日から3度目の全国的ロックダウンに入った。2度目のロックダウンを12月2日に解除したばかりだ。しかも、前回行わなかった休校措置も実施することになった。変異株のためだ。
英国は、夏のバカンス(英国版Go To Travel)後にGo To Eatキャンペーンを実施し、秋に入った9月に一気に感染が拡大。9月21日に科学顧問らは2週間の地域を限定したロックダウンを求めたが、ジョンソン首相は経済を止めない方針でこの要求を拒み、店舗の営業時間短縮や家族以外との会食を禁止するという小手先の対応で濁した。しかし、感染拡大に歯止めがかからず、結局、6週間を経て国全体で2度目のロックダウンに至った。
11月5日から始まった2度目のロックダウンでは、春先に初めて経験したロックダウンに比べ、市民は非常にリラックスした様子であった。一度に集まる人数や屋内会食などは制限されていたが、街に出ることは許されていたし、接触の機会も多々見られ、いわゆる「ロックダウン慣れ」の状況が見受けられた。それでも、クリスマス商戦を前に、足元の経済活動を優先させる誘惑に負けてしまったジョンソン首相は、感染者数が下がり切っていないにもかかわらず、4週間で早々にロックダウンを解除してしまった。
欧州ではクリスマスは特別だ。デパートは人混みでごった返し、クリスマスの準備をする人は市場に殺到した。政府は、行動制限を要請したが、人々の接触は止まらず、さらに、感染力の強い変異株がロンドンなどの英国南部を中心に急速に広がった。ジョンソン首相は、12月23日に実質ロックダウンともいえる行動制限を要請し、クリスマス時期の人々の接触を削減しようとした。それでも感染制御不能な状況に陥っており、最後の切り札であるロックダウンを実施した。
■変異株の恐ろしさ:感染性が50%増える方が、致死率が50%高くなるよりも被害は甚大!
本稿の執筆時点において、日本では、新規変異株による新型コロナウイルス患者が水際対策(もしくは空港検疫)を中心に少なからず報告されている。ただし、英国への渡航歴のない感染例の報告もあり、留意すべき事態だ。日本での検査体制や遺伝子解析のキャパシティを考えると、すでに国内に入り込んでいる前提で対応することが重要だ。英国では、9月から変異株による感染者が報告されており、英国から日本へ入るルートが多岐にわたることを踏まえれば、12月25日から開始した水際対策の効果も限定的であろう。根本的な国境管理の強化が望まれる。
この変異株は極めて厄介だ。感染性が50~70%高いと言われているのみならず、小児での感染の増加も報告されている。現時点で、重症化率や致死率は今までの株と相違ないと考えられているが、安心材料にはならない。新型コロナウイルスを含む感染症の制御においては、感染性が50%増える方が、致死率が50%高くなるよりも被害は甚大なのだ。
■変異株への「基本戦略」東京-1月感染者数千人と2月死者(致死率1%)試算例
感染症対策で最も大切な指標の一つは、感染者1人が、何人の感染者を生み出すかという感染性を示す指標だ(実効再生産数:R)。
例えば、今の東京のように1000人の新規陽性者数を想定し、
実効再生産数:R=1.1、世代時間(最初の患者が感染してから、他の人に感染させるまでの期間)が平均6日(6-1=5日間平均)、致命率(or致死率)を1%と仮定しよう。
(※以下、「^」は累乗を表す記号。「1.1^5」=「1.1×1.1×1.1×1.1×1.1」の意)
この中から1カ月後に予想される死亡者数は、16人と計算できる(新規陽性者数1000×(実効再生数1.1^5(世代日ー1))×致死率1%)=16人。
もし致命率(致死率)が50%増えるとどうなるだろうか。
死亡者数は、当然ながら増加し、50%増の24人=16人∔8人となる。
死亡者数=(1000×1.1^5×(1%×1.5))=24人。
一方で、感染性が50%増加した場合(実効再生産数R=1.1が1.5倍になった場合)、死亡者数は122人へと急増してしまう(1000×(1.1×1.5)^5×1%)。(※なお、厳密に国際比較を行う際には、診断されていない感染者数も考慮した感染時致命確率〔IFR: Infected Fatality Risk〕という指標が用いられる)
コロナの感染性が増えるということは、急速に感染拡大をするということであり、致死率が変わらなくても、重症者や死亡者が大幅に増えるということなのだ。だからこそ、コロナ対策は数と時間との戦いなのだ。しかも、通常のウイルスでは感染力が増すと致死率は低下する傾向があるが、コロナは発症前の感染(無症状感染)が多く、感染力が増しても致死率が低下しない可能性がある。
変異株と言っても、対策の原則は変わらない。しかし、その基本を強化し、徹底的に行うことが不可欠である。マスク、手指衛生、3密対策の重要性は、相当程度国民に浸透しているが、これらの対策により100%感染経路が遮断されることを保証するものではない。
今後、三権分立・普通選挙・議会制・自由民主主義・人権尊重・議員内閣制弧状列島日本中央行政府及び自治体がやるべきことは、緊急事態宣言で「感染経路を遮断」し、できるだけ感染者数を下げた後は、政府財政=ヒト・モノ・カネ=支出により「感染源」の検査・追跡・隔離を拡大し、早期に「感染源」を摘みつつ自粛を回避=マスク、手指衛生、3密対策=し、「免疫をつけるため」にワクチンの普及と日本経済=GDP=消費+投資+政府支出+(輸出ー輸入)=復旧新興という基本戦略が必須か。