☆ 渋谷の教室にて

いつもの火曜日のように井の頭線渋谷駅の階段を降りていたら
すでに異臭が鼻を突いた。食べ物の腐ったような匂いが飛び込んでくる。
今日は何時もより蒸し暑く過ごし難い。

午後３時、道玄坂の方に歩いていくと、道には停車している車がいっぱい。
いつもと違う、どうしたのだろう？

教室のある貸しビルを上がると、授業が終わってドッと出て来た人が
次々と私に質問！
「消防車と救急車のサイレンがさっきからずっと聞こえてたけど
　何が有ったのですか？」
「えっ？　私は何も聞いていませんけど？」

実力コースの先輩達は「何があったのだろう？」と
仲間同士で声高に話し合いながら立ち去った。

３時３０分、授業が始まると私達にも消防車のサイレンの音、救急車の音が
ひっきりなしに聞こえて来て、先生の声も自分達の声も聞こえにくい。
集中できない。
後半は静かになったが、渋谷の街は建て込んでいるので気がかりだった。

授業の方はいつもの様に、若い人は「元気良過ぎる、トーンを落として」と
言われ、年配者は「白い蝶が飛び回っているのだから声の調子を上げて！」と
注意されながら終了。　いえいえ課題は「緩急」なのですが。

夕方５時半、
ビルの一室から吐き出され、帰宅ラッシュの人込みの中に巻き込まれ　
JR渋谷の駅から新宿駅に。　
キオスクの売店の夕刊紙には早くも「渋谷のスパで爆発」！

救急車や消防車のサイレンの音にもかかわらず、自分の心配しか
していなかったとショック・・・・

野次馬の私と痛みを知っている私と。