晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

情況ノート第2回

2007-05-06 20:03:09 | Weblog
 近年、人間の国境を越える移動が著しく増大している。

 20世紀初頭は、ヨーロッパから工業労働力として北アメリカへ、アジア(中国、インドなど)から熱帯の原料生産地への移民が盛んであった。

 第2次世界大戦後は、<南>の発展途上国から、<北>の高度資本主義国への移民が増大している。
 1950年代、ヨーロッパは、周辺地域や旧植民地国からの外国人労働者の受入国へ転換した。アメリカは、1960年代後半以降移民の受け入れが増大している。日本も、1980年代後半以降、アジアや南米からの受け入れが急増している。

 高度経済成長期の受け入れ理由は、労働力の不足であったが、低成長期になってからは、労働条件の劣悪な職種(3K職場)、途上国の農村過剰労働力の流出、移民による移民の連鎖的移民などにより、移民が継続して増大している。

 移民の過程モデルがある。
第1段階は、若い労働力の一時的な移民で本国への送金が行なわれる。
第2段階は、滞在が延長され、同一出身地域の者同士の社会的ネットワークが形成される。
第3段階は、長期滞在となり、家族が呼び寄せられ、エスニックコミュニティが出現する。
第4段階は、定住が進む。しかし、エスニックな特性は維持される。

地域における移民の存在は、流入地域と流出地域の双方を包含した新たな社会空間(国民的枠組みを超えた社会空間)を形成する。

 近年、<南>の国家の支配層には、富裕な地域に移住した人間やその子孫を取り込むことを戦略として選択する傾向もある。

 また、<北>の人々にとっては、移民のグローバリゼーションによって、<南>の「厄介な事」が、今後ますますもたらされるという意識が生じている。(私たちの中にある内なる排外主義が時々現出します。)

 「移民・社会空間・グローバリゼーション」竹野内真樹より



 拓銀本店ビルの解体が進んでいます。ここで働いていた頃に、妻と出会った思いで多い建物ですので、何か感傷的になってしまいます。


コメント
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