連休
平成の終わり,令和の始まりの日に、書棚を整理しようと決意。書棚として表に出ているものは目につくのでなんとか眺めながら整理しているが、書架に眠ったものはすでに15年以上眠っている。終活としてこれらを整理しておかねば、残されたものが迷惑する。もうそのような歳だ。
というので、学生時代に手にしたもので、よく記憶していないものを1つづつ片付けよう。柳田謙十郎 社会主義と民主主義 現代をどう生きるか 1973年刊、日中出版 Amazonでは¥44
学生時代に買ったもの。当時、中国は文化大革命、ソ連は相次ぐ東欧侵略、共産主義世界に対する幻想が急速に失せていく時代。一方でアメリカはベトナム戦争で敗退し、世界は迷走している。日本共産党は中国から罵られ、中国共産党との間にあった日中友好協会は分裂させられる。
そんな時、戦前戦後を生き、1950年に共産党に入った京都大学の西田哲学教室出身の哲学者柳田が75歳の高齢にて記した共産主義賛辞の書。「共産主義の理念・理想は間違っていない。間違っているのはその理解の足りない世界の指導者たちだ」との主張。
当時、そのような主張を異口同音にのべる彼らの主張を耳にした記憶があるが、理想が実現するまで「相当に長く自由を制限され階級社会は社会主義でも続く」論に、何を求めて人々は生きるのか、との問いに本質的に答えているようにはやはり思えない。自由・平等・平和・博愛の順序を間違うと争いが起こるのが歴史の常だと思う。自由より前に平等があると抑圧が優先してしまう。
戦前戦後の長いトンネルを抜けて見つけた後半生の人生の選択、「共産主義の理想」を晩節に際し、間違っていたとは思いたくない、という「唯我独尊」の叫びでしかないのではないだろうか。後半を読んで異なる見方ができれば追加的に記そう。