異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説 『ボケ茄子の花 その二十』

2016年09月01日 22時04分38秒 | 小説『呆け茄子の花』

破産は弁護士には「日常」起こることだろうが、一般人には「非常時」だ。

尚樹は弁護士の言われるままに資料を集めたのだが、

資料が揃って、あとは弁護士が資料をまとめ、

裁判所に提出するだけだった。

尚樹と弁護士とは電話連絡だけで済んでいた。

「場合によっては、裁判所へ来ていただく必要があります。

もちろん私が同行しますし、難しい質問はされませんが、

心配しなくて良いですよ。」

尚樹には、西京地方裁判所に知人がいた。

尚樹は、今回の自己破産を知られるのを警戒した。

その旨も弁護士に告げたが、事もなげに弁護士は

「個人情報の流出は許されないので、その点も心配しなくていいですよ。」

結果が出るのは来年の1~3月の間と言われ、

尚樹は、内心「アバウトだな」と思いながらも、ただ静かに待つのみであった。

世間はもうクリスマスを終え、待ちは年末の雰囲気であった。