異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説 『ボケ茄子の花 その四十一』

2019年01月06日 03時11分52秒 | 小説『呆け茄子の花』

二、三ヶ月なんとか出勤しながらも、

「日常」を暮らしていた尚樹が変事を聞かされた。

大きな病院であるので様々な「事業」を展開している中、

尚樹は病院の敷地外にある病院の患者さんが

日常訪れる「授産施設」にも日中勤務していた。

そこには尚樹と「障害者枠」で年齢ではちょうど10歳上で

一ヶ月遅れではあるが同時期に入職した『Tさん』が

勤務していたが、上司から

「今月いっぱいで『ここ』を辞めたいと言ってきているんです。」

と、告げられた。

Tさんは、PSW(精神保健福祉士)という国家資格を有していたことから、

あの部長が直轄する事務所で働いていたが、どうやら業務過多になったらしく、

「この授産施設の勤務を辞めたい」と申し出があった様である。

尚樹は上司と二人で「大変なんですね」と顔を合わせてしばらく話していた。

一ヶ月ほど月日は流れ、部長の直轄する事務所へ用事で出向いたところ、

いつもTさんのいるデスクに居なかったのを見て、

同室のひとに「Tさん居ないんですか?」と問うたところ、

「あ~、なんだかヒドイ風邪らしくて、週の頭から休んでいるんですよ。」とのことだった。

それから数日後にまた同室へ訪ねたところ、

「Tさんは風邪・・・」とのことで不在だった。

尚樹は「インフルエンザかな?」と思い気にもとめていなかった。

そんなことから、数日後に尚樹はひとずてに「Tさんが退職した。」

という尚樹にとっては喪失感が大きいニュースを耳にする。

 

 

 

その四十二につづく

 

 

 

 

にほんブログ村

にほんブログ村